今日は12分のタイムトライアルからハーフやフルマラソンのタイムを予測できるクーパーテストについてご紹介します。
クーパーテスト(クーパー走)とは
クーパーテストとは心肺機能(最大酸素摂取量)を簡易的にチェックする方法です。
特別な装置がなくても、ストップウォッチと走りやすいコース(安全に全力で走れること)があれば簡単に実施することができます。
クーパーテストを実施するメリット
トレーニングの成果を確認できる
クーパーテストのスコアを定期的にチェックすれば、心肺機能の変化をおおよそ予測することができます。
変化がわかると実施しているメニューがきちんと狙い通りの成果をもたらしてくれているかを確認することができます。
思っているような成果につながっていればそのまま継続する確信がもてますし、そうでなければメニューの見直しなどを検討するきっかけを与えてくれます。
ハーフやフルマラソンのタイムを予測することができる
クーパーテストのスコアがわかると、下記に紹介する一覧表を用いることで大会での記録をある程度予測することができます。
予測タイムがわかると、実力を冷静にとらえることができてオーバーペースで突っ込んでしまうリスクを軽減することができるでしょう。
練習においては目標タイムを達成するためにあとどれくらいスピードを高めないといけないかの目安がわかります。
目安がわからないまま闇雲に練習をするよりもモチベーションを維持しやすくなるでしょう。
自分の課題を把握して練習の優先順位をつけられる
クーパーテストによる記録の予測はあくまで心肺機能をベースにした予測値です。
よって5kmや10kmのような短いレースほど予測の精度が高いのですが、ハーフ・フルと距離が長くなるにつれて予測にばらつきがでてきます。
これは、長い距離になるほど記録を出すためには心肺機能だけでなく持久力やレースマネジメント能力が求められるからです。
実際に試してみるとクーパーテストでのフルマラソンの予測タイムと同じタイムで走れる人は市民ランナーでは少数派です。
言い換えると、クーパーテストでのフルマラソン予測タイムよりも実際のタイムが著しく遅い人は持久力に課題があるということがわかります。
よって、そういう人はLSDなどで走行距離を重視した走り込みの期間を長くしたり、30km走などの長い距離のペース走をメニューに取り入れるなどのアイデアが浮かんでくるでしょう。
逆にクーパーテストでの予測タイムと実際のタイムが近いという人は十分な持久力があると考えられるので、スピードを高めるための練習の優先順位が高いと考えられます。
クーパーテストのやり方
十分にウォーミングアップをしてから12分間を全力で走ります。
「12分間でどれだけ(何メートル)走れたか」がクーパーテストのスコアとなります。
コースは陸上トラックがあればベストですが、途中で信号などのストップがなく安全に全力で走れるコースならどこでも大丈夫です。
距離を計測する必要があるので、GPS時計あるいは地図アプリなどを使って走った距離がわかる必要があります。
できるだけ平坦なコースを選ぶと良いでしょう。
クーパーテストの結果と予測タイムの一覧
12分間で走れた距離(メートル)と予測タイムの一覧はこちらです。
Cooperテスト(m) | 5 km(h:mm:ss) | 10 km (h:mm:ss) | 21.098 km (h:mm:ss) | 42.195 km (h:mm:ss) |
1800 | 0:36:20 | 1:15:10 | 2:48:00 | 5:43:00 |
1900 | 0:34:20 | 1:10:50 | 2:38:00 | 5:24:00 |
2000 | 0:32:20 | 1:07:00 | 2:29:30 | 5:06:00 |
2100 | 0:30:40 | 1:03:30 | 2:21:30 | 4:51:00 |
2200 | 0:29:10 | 1:00:20 | 2:14:30 | 4:37:00 |
2300 | 0:27:50 | 0:57:30 | 2:08:00 | 4:24:00 |
2400 | 0:26:30 | 0:55:00 | 2:02:00 | 4:12:00 |
2500 | 0:25:20 | 0:52:40 | 1:57:00 | 4:02:00 |
2600 | 0:24:20 | 0:50:30 | 1:52:00 | 3:52:00 |
2700 | 0:23:20 | 0:48:30 | 1:47:30 | 3:43:00 |
2800 | 0:22:30 | 0:46:40 | 1:43:30 | 3:35:00 |
2900 | 0:21:40 | 0:45:00 | 1:39:30 | 3:27:00 |
3000 | 0:20:50 | 0:43:20 | 1:36:00 | 3:20:00 |
3100 | 0:20:10 | 0:41:50 | 1:32:30 | 3:13:00 |
3200 | 0:19:30 | 0:40:30 | 1:29:30 | 3:07:00 |
3300 | 0:18:50 | 0:39:10 | 1:26:30 | 3:01:00 |
3350 | 0:18:20 | 0:38:00 | 1:24:00 | 2:55:00 |
3450 | 0:17:50 | 0:36:50 | 1:21:30 | 2:50:00 |
3550 | 0:17:10 | 0:35:50 | 1:19:00 | 2:45:00 |
3650 | 0:16:40 | 0:34:50 | 1:17:00 | 2:40:00 |
3750 | 0:16:20 | 0:33:50 | 1:14:30 | 2:36:00 |
3850 | 0:15:50 | 0:33:00 | 1:12:30 | 2:32:00 |
(Polarランニングインデックスより引用)
例えば、12分間で走れた距離が3000m(平均4:00/km)なら…
5000mの予測タイム=20:50(平均4:10/km)
10kmの予測タイム=43:20(平均4:20/km)
ハーフの予測タイム=1:36:00(平均4:33/km)
フルの予測タイム=3:20:00(平均4:44/km)
実施する頻度
クーパーテストは1か月に1回くらいの頻度で実施すると良いでしょう。
3000mトライアルと考えればスピード練習の1つと捉えて隔週くらいの間隔で実施している人もいます。
疲れがたまっていると当然記録も悪くなりますので、テストをするときは毎回同じくらいのコンディションで臨めるように日程を調整しましょう。
まとめ
- クーパーテストは心肺機能を簡単に評価する便利な方法です。
- テストのスコアから大会での記録を予測することができます。
- 実際には予測タイムで走れる市民ランナーは少数派ですが、予測タイムと実際のタイムの乖離から自分の課題を知ることにも役立ちます。
単調になりがちなトレーニングの中でこういうテストがたまにあると精神てきにもメリハリができてモチベーション維持もしやすいかもしれませんね。
補足 ダニエルズのVDOTとの関係
クーパーテストと同様によく使われる指標としてジャック・ダニエルズ氏が考案したVDOTという指標もあります。
下記の対応表のように若干違いはありますが、それほど大きな違いはありません。
Polarランニングインデックス | VDOT | |||||
Cooperテスト(m) | 10 km (h:mm:ss) | 21.098 km (h:mm:ss) | 42.195 km (h:mm:ss) | 10 km (h:mm:ss) | 21.098 km (h:mm:ss) | 42.195 km (h:mm:ss) |
2500 | 0:52:40 | 1:57:00 | 4:02:00 | 0:52:57 | 1:55:55 | 3:59:35 |
2700 | 0:48:30 | 1:47:30 | 3:43:00 | 0:49:10 | 1:48:40 | 3:45:09 |
2900 | 0:45:00 | 1:39:30 | 3:27:00 | 45:16:00 | 1:40:20 | 3:28:26 |
3100 | 0:41:50 | 1:32:30 | 3:13:00 | 42:04:00 | 1:33:12 | 3:14:06 |
3300 | 0:39:10 | 1:26:30 | 3:01:00 | 0:39:20 | 1:27:04 | 3:01:39 |
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