消化吸収能力をオーバーすることのリスク

先日ブログで消化吸収に関するクイズを紹介しました。
今回はそのクイズで正答率の低かった項目の解説をしていきます。

消化吸収の理論について理解できると
・日常での健康管理
・長距離レースでいかにガス欠を防いで良い走りができるか
という点で役に立ちます。

(クイズを解いていない方はまず回答してから下記の記事を読まれることをおすすめします)

クイズに挑戦する


胃酸の働きについて

Q
『胃液の中の塩酸を胃酸と呼ぶ。胃酸の唯一の働きは食べ物を溶かして消化することである。』
→正解は「誤っている」です。(正答率:57.6%)

胃酸の唯一の働きが食べ物を溶かすという部分が間違っています。

胃酸は食べ物と一緒に入ってきた細菌を殺菌するという働きがあります
体の健康を守る免疫の1つなんですね。

また、食べ物の消化(大きな塊を小さな分子に分解していくこと)は消化酵素がおこないます。
胃酸はタンパク質の形を変形させることで消化酵素が作用しやすい状態にするという働きがあります。
胃酸自体で消化するというよりは消化をサポートするという表現の方がより正確かと思います。

ウルトラマラソンを走るランナーには胃のムカつき、吐き気を軽減するために胃酸を抑制する薬を使っている人がいます。
これは胃腸障害の原因の1つがストレスによる胃酸過多であると考えられるからです。

この話をするとレース中に胃酸を止める薬を飲んだら食べ物が消化できなくなるのではと不安になる方がいます
胃酸はあくまで消化のサポートですので、そこまで心配する必要はないかと思います。
(タンパク質の消化吸収率が低下する可能性はありますが、胃酸過多を防ぐメリットの方が大きいと感じる人たちが胃薬を使い続けているのでしょう)

未消化な食べ物のリスク

Q
『消化に悪い食事や食べすぎなどが原因で未消化な栄養が腸内に入ることがある。
このことについて”正しくない”ものを選べ。』(正答率:47.5%)

選択肢
未消化なタンパク質などは腸内細菌のエサとなるので一概に悪いとは言えない→正しくない
アレルギー発生のリスクがある→正しい
腸内環境が悪化するリスクがある→正しい
人は食物繊維を消化することができない→正しい

食べすぎや早食いなどが原因で未消化な栄養素が腸内に侵入してしまうことがあります。
未消化な栄養素の中には食物繊維やオリゴ糖などのように腸内環境を改善して健康にプラスに働くものもあります
(ちなみに人は食物繊維を消化する消化酵素がないため、どれだけ噛んでも消化吸収できません)

一方で未消化なタンパク質は腸内で有害な物質に変換されてしまうなど健康にマイナスです。
アレルギーの発生や腸内環境が悪化してしまうリスクもあります

よって、健康を害する恐れのある未消化が生じないように食事は
「食べすぎない」
「よく噛む」
というのが大切になります。

運動中は消化吸収の能力が低下する

Q
『運動中は筋肉に血液が集中し、かつ副交感神経が活性化することから消化吸収能力が低下する。』(正答率:30.2%)
→正解は「誤っている」です

これはややひっかけ的な問題でした。
運動中は副交感神経ではなく交感神経が活性化します。
(運動中に消化吸収能力が低下するというのは正しい)

食べる量が少なすぎて必要なエネルギーを満たせないと、ガス欠で苦しい走りになってしまいます。
一方で食べる量が多すぎて消化吸収能力が追い付かないと、胃腸障害が起きてしまいます

また、そもそも消化吸収の負担が大きいと体のリソースを走ることに集中できず運動パフォーマンスは低下してしまうと考えられます。

ガス欠を防ぎかつ食べることによるマイナス作用を減らす。
このバランスをとることがフルマラソン・ウルトラマラソンのエネルギー的観点でのポイントです。

エネルギー戦略で具体的な行動の案として、下記の記事でフル・ウルトラの補給についてまとめています。
レースではもちろん、練習の段階から良い走りをするために参考にしていただければと思います。

フルマラソンにおすすめの補給食

ウルトラマラソンの補給方法まとめ

また、体脂肪で走れる体作りをすることでガス欠や胃腸障害のリスクを軽減することができると私は考えています
その方法についてはこちらの電子書籍でまとめていますので、興味のある方はご覧ください。

電子書籍|超訳脂肪燃焼ランニング