フルマラソン

フルマラソン|サブ4達成のための練習メニュー

2020年3月28日

この記事ではフルマラソンでサブ4を目標としている方のための練習メニューのサンプルを紹介します。
サブ4のための練習メニューを作りたいという方はぜひご覧ください。

実践ポイント

  • 『練習メニューの見方』の章でメニュー表の記号の意味を理解してください
  • 「後半まで脚が持たない」というタイプの方は前半で紹介する持久力強化メニューを選んでください
  • 「スピードが足りない、呼吸の余裕度が少ない」というタイプの方は後半で紹介するスピード強化メニュー選んでください
  • 「どちらが課題かわからない(両方弱点)」という方は2つのメニューの間をとってみても良いですが、どちらかというと直感で弱点を決めて、どちらかのメニューを選ぶ方をおすすめします。

練習量と練習期間

今回ご紹介するメニューはレース前の1週間の調整を入れて全部で13週間(約3か月)で作りました。
精神的な区切りの良さやトレーニングの適応速度を考えて、目標の大会がある場合はその3か月前から意識して準備すると良いと思います。

練習量は走り込みがメインの期間では平均の週間走行距離が42~46km。
月間走行距離にして180~200kmです。

スピード練習がメインの期間では週間走行距離が39km。
月間走行距離にして165kmです。

練習メニューの見方

練習の種類を表す記号

下記で紹介する練習メニューでは「E」「T」などのアルファベットの記号が出てきます。
これは当ブログ内で使用している練習の種類を表しています(例えば、Eはジョギングを意味します)。

今回のメニューで登場するのは下記の5つです。

メモ(練習記号の意味)

  • E:ゆっくりペースのジョギング。
  • WS:ウィンドスプリント(100~150mを3~6回疾走する練習)
  • L:LSD(ロング・スロー・ディスタンス)ゆっくり長く走る練習
  • M:フルマラソンのレースペースに近いペースで走る練習
  • T:30~50分を呼吸が上がるペースで走る練習

それぞれの目的とやり方はこちらの記事にまとめておきました。
「どうやれば良いのだろう?」と迷ったらご参照ください。

当ブログに登場する練習の記号一覧

マラソンのトレーニングには目的に応じて様々な種類のものがあります。 この記事では当ブログで提案する練習メニューに登場する練習の一覧を紹介します。 E(イージーランニング) E練習のやり方 Eはイージー ...

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「記号+数字」で「練習の種類と距離」を表す

例えばメニューが次のように書かれているとします。

週距離 T M
T 8 E+WS 9 M 16 E 9 42 5:06 5:27

この場合、火曜日はT練習を8km(ペースはTの列を参照して5:06)。

木曜日はE(ジョギング)9kmをして、最後にWS(ウィンドスプリント)を実施。
(WSは本数を指定していませんが、3~6本でお好みで)

土曜日はM練習を16km(ペースはMの列を参照して5:27)。

という具合です。

持久力強化タイプとスピード強化タイプの2つのメニュー

マラソンは長所を伸ばすより弱点を克服するようにメニューを組んだ方が効果的です。

よってこの記事では持久力強化タイプとスピード強化タイプの2つのメニューを作りました。

「後半まで脚が持たない」というタイプの方は前半で紹介する持久力強化メニュー

「スピードが足りない、呼吸の余裕度が少ない」というタイプの方は後半をで紹介するスピード強化メニュー選んでください

「どちらが課題かわからない(両方弱点)」という方は2つのメニューの間をとってみても良いですが、どちらかというと直感で弱点を決めて、どちらかのメニューを選ぶ方をおすすめします。
(実際にメニューを消化して仮説が正しかったかを検証して次回に活かせば良いと思います)

また、メニューは土日休みの方を想定して作っています(土日にロング走など時間を使う練習を入れている)。

土日休みでない方は適宜順番を入れ替えていただいて構いません。
(1週間を通じて同じようなメニューが消化できればOK。
ただ、キツイ練習はできるだけ間隔をあけて回復できるように。)

持久力強化タイプの練習メニュー

第1~4週のメニュー

曜日 Mペース 週間距離
週1 E+WS 10 E+WS 10 L 15 E+WS 5 40
週2 E+WS 10 E+WS 10 L 18 E+WS 6 44
週3 E+WS 7 M 8 E+WS 7 L 20 E+WS 6 5:33 48
週4 E+WS 12 E+WS 12 E+WS 12 36

最初の4週間はジョギングをメインに走る量を少しずつ増やしてフルマラソンに耐えうる強い脚作りを行います。
スピード練習が少ないですが、今はしっかり基礎を作る時間と思ってください。

毎週おおよそ10%ずつ走行距離を伸ばし、3週間継続したら次の1週間は距離を少し減らして回復に努めます(この週のことを回復週と呼びます)。

メモ(回復週について)

第4週は意識的に練習量を落とす回復週です。

これは走り過ぎによる故障予防や精神的なリフレッシュとしての効果はもちろん、トレーニングに体を適応させる強くなるための期間でもあります

休むことも計画に盛り込むことで、安定して一歩一歩前進することができると思います。

期間全体としては第3週で疲労感のピークに達しますが、第4週で少しリフレッシュ。

第4週が終わるころに

  • トレーニングをしている充実感
  • 「次の週からも頑張りたい」という練習への意欲が湧いてくる

そんな状態になっているのが理想です

心は体の状態を反映します。
練習にキツさ・疲労感はつきものですが、そこに充実感や成長への意欲が伴わない場合は少し強度を落とした方が良いと思います。

第5~8週のメニュー

曜日 Mペース 週間距離
週5 E+WS 10 E+WS 10 L 18 E+WS 6 5:33 44
週6 E+WS 7 M 8 E+WS 7 L 20 E+WS 6 5:33 48
週7 E+WS 7 M 8 E+WS 7 L 21 E+WS 10 5:33 53
週8 E+WS 10 E+WS 10 L 15 E+WS 5 5:33 40

第1~4週の走り込みをより強化した内容になっています。

土日の練習量が多くて疲労感が出てくるかもしれません。
週末の練習後は特に意識して体のケアをしましょう(睡眠・栄養・筋肉のコリをマッサージやストレッチで緩める)。

成長速度は人それぞれなので、この段階の練習を消化するのが明らかにキツイと感じる方もいるでしょう。
そういう場合は焦らずに第1~4週の練習をもう一度繰り返してみてください。
(第1~4週の練習をもう一度繰り返したら、次は下の9~12週のメニューに移動)

第9~12週のメニュー

曜日 Tペース Mペース 週間距離
週9 T 7 E+WS 8 M 25 5:06 5:45 40
週10 E 5 T 8 E+WS 8 M 14 E 8 5:06 5:27 43
週11 T 8 E+WS 8 M 15 E 8 5:06 5:27 39
週12 T 6 E+WS 8 M 13 E 8 5:00 5:20 35

大会まで1か月に迫ったところで、サブ4を余裕をもって走れるようにスピードを養います。

この期間の優先順位の高いポイント練習はT,M練習です。
仮に時間的・体力的な都合で練習が消化できないときも、少なくともT,Mだけはしっかり走れるようにコンディションを整えてください。

9週目に大会を意識したM練習を入れています。
できればレースをシミュレーションするように、本番に近い条件(ウェアや補給)で走ってください。

9,10週目は特にT練習に慣れていないため設定ペースがきつく感じるかもしれません。
目標距離を走り切れないようならこちらを参考にして修正してみてください。

ポイント(T練習の感覚)

T練習の感覚的は

  • 走り始めの10分くらいでは「キツいけど、まだ快適なキツさ」
  • 20分経過くらいから「キツい。ただ、限界ギリギリではないやりがいあるキツさ」

というイメージ。

タイムトライアルのように限界に挑む練習ではありません。
「本気で頑張ればあと5~10分くらいは継続できる」という感覚で終わるようにしましょう。

第13週のメニュー

曜日 Tペース Mペース 週間距離
週13 E+WS 10 M 8 M+WS 5 大会 42 5:27 65

大会前の1週間は体力を維持しつつ疲労を抜いて調子を上げるための調整期間です。
量を落としつつもスピードは落とさないで体のキレをキープするようにしましょう

この週の練習量は目安なので疲労感に応じて減らしても大丈夫です。
(逆に走らないことが不安で増やしすぎてしまうというのはおすすめしませんが)

以上が持久力強化のメニューでした。
最後に内容を補強する関連記事もまとめていますのであわせてどうぞ。

スピード強化タイプの練習メニュー

第1~4週のメニュー

曜日 Mペース 週間距離
週1 E+WS 10 E+WS 10 L 18 E+WS 6 44
週2 E+WS 7 M 8 E+WS 7 L 20 E+WS 6 5:40 48
週3 E+WS 7 M 8 E+WS 7 L 21 E+WS 10 5:40 53
週4 E+WS 10 E+WS 10 L 15 E+WS 5 40

スピードが課題というあなたも、最初の4週間は週間走行距離を重視した走り込みの期間にあてるのがおすすめです。

この時期のしっかりした走り込みは、フルマラソンの失速対策だけでなく、後に続く9週間のスピードの伸びしろをつくるための期間でもあります

第4週は意識的に練習量を落とす回復週です。
リフレッシュだけでなく、体を強くするための期間でもありますので、安心して休んでください。

回復週については先述しましたので、先述した【メモ(回復週について)】をご参照ください。

第5~8週のメニュー

曜日 Tペース Mペース 距離
週5 T 7 E+WS 8 M 13 E+WS 8 5:12 5:33 36
週6 T 8 E+WS 8 M 14 E+WS 8 5:12 5:33 38
週7 T 8 E+WS 8 M 15 E+WS 8 5:12 5:33 39
週8 T 6 E+WS 8 M 12 E+WS 8 5:06 5:27 34

5~8週はスピード練習の期間になります。
T,M練習が優先順位の高い練習ですので、しっかり集中して走れるようコンディションを整えて臨んでください。
(T,Mの日に調子が良くないと感じたら日程をずらしてOK)

スピード慣れしていない5,6週目は特にキツさを感じるかもしれません。
回数をこなすうちに少しずつ余裕度が増すのを感じられれば順調です。

T練習はキツイ練習ですが、全力で追い込むほどの練習ではありません。
T練習については先述した【ポイント(T練習の感覚)】もご参考に。
全力ではない「ほど良いキツさ」を継続することがポイントです。

第9~12週のメニュー

曜日 Tペース Mペース 週間距離
週9 T 7 E+WS 8 M 25 5:06 5:45 40
週10 E 5 T 8 E+WS 8 M 14 E 8 5:06 5:27 43
週11 T 8 E+WS 8 M 15 E 8 5:06 5:27 39
週12 T 6 E+WS 8 M 13 E 8 5:00 5:20 35

第5~8週の内容を強化したスピード練習メインの期間です。
9週目に大会を意識したM練習を入れています。
できればレースをシミュレーションするように、本番に近い条件(ウェアや補給)で走ってください。

成長速度は人それぞれなので、レベルアップした練習を消化できない可能性もあります。
そのときは焦らずに5~8週のメニューを繰り返してみてください

第13週のメニュー

曜日 Tペース Mペース 週間距離
週13 E+WS 10 M 8 M+WS 5 大会 42 5:27 65

大会に向けて体力を維持しつつ疲労を抜くための期間です。
スピードは落とさずに量を減らすようにすると良いでしょう。

体調が第一なので、表のメニューでは疲れが抜けきらないと感じたら量を減らしても構いません

週2回は休んでメリハリをつける

上記で紹介したメニューは基本的に週2,3回の完全休養日を入れています。
これは練習にメリハリをつけることが目的です。

曜日 週間距離
メリハリ有 E 8 M 9 E+WS 8 E 24 E 15 64
メリハリ無 E 5 E 8 M 9 E+WS 8 E 10 E 14 E 10 64

例えば上の表の上下のメニューを比較してみてください。
上は私のおすすめのメリハリあるメニュー。
下はメリハリのないメニューです。

週間走行距離は同じですが、下側では1回あたりの負荷が小さくなり、「強くなるためのスイッチ」がしっかり入らないリスクがあります

練習のメリハリを維持するために、できれば「上記で紹介したメニューと同じ練習日数でメニューを消化する」ように意識してみてください。

メニューが消化できないときの修正法

走り込み期は週間走行距離をトントンにするよう意識

走り込み期は土日の練習量も多く、時間的・体力的に消化できないということもあると思います。
その場合は土日の距離を減らして平日の量を増やし、週間走行距離がトントンになるように修正しても構いません
ただし、メリハリの節で述べたように、同じ練習日数で目標距離に達するように心がけてください

スピード練習の目標ペース・距離を消化できないとき

M,T練習で目標のペース・距離を消化できないときは基本的にはペースを維持して距離を減らすように修正してください。
ただし、距離を80%まで減らしても走れないときは、距離を80%にして、それを走り切れるペースで走ってください

例えば、T練習10kmを5:00/kmが目標だったとします。
10kmを走れなかったら、最短で8kmまで距離を落とします(ペースは5:00/km)。
それも消化できない場合は8kmをT練習の感覚で走れるペース(5:00/kmより遅くてOK)で走ります。

スピード練習はある程度のスピードで走らないと目的の効果が得られません。
しかし、目標距離近くを走れないくらい速いペースでも効果が半減してしまうということも意識してください。


以上がサブ4を目標にしている方のためのサンプルメニューでした。
ぜひメニュー作りの参考にしてみてください。

さて、フルマラソンの目標を達成するためには練習も大事ですが

  • 大会で100%実力を発揮するための栄養補給
  • 練習を継続的に消化するための日常のケア

など大事なことが他にもあります。

以下にこちらの記事の読者の方のお役に立ちそうな関連記事をまとめます。
よろしければあわせてご参考にどうぞ。

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