食事・サプリ・栄養学

オートファジーとは 長寿と健康の食事法

今日はオートファジーという現象についてご紹介します。
(ランニングというよりは健康長寿、アンチエイジングと関係の深いお話です)

次のような話を聞いたことはありますか?

  • カロリーが制限された食事を継続すると寿命が延び、同じ年齢の人と比較して若々しさが保たれる
  • ケトジェニックダイエット(糖質を制限した食事)をしても上記と同様の効果がある
  • ファスティング(断食)をしても上記と同様の効果がある

上記の3つの項目はどれも実験的に再現性があり正しそうであると今の科学では考えられています。

カロリー制限、糖質制限、ファスティングとそれぞれ違った食事法ですが、なぜ同じような効果が得られるのか?
その鍵となるのがオートファジーです。

オートファジーとは

オートファジーとは
「細胞内で古くなったり損傷して機能が低下した物質を廃棄したり、リサイクルする現象」
のこと。

例えば細胞内にはミトコンドリアという器官があります。
ミトコンドリアは細胞内でエネルギーを作り出す働きをしています。

ミトコンドリアが老朽化するとエネルギーが効率的に作れずに倦怠感を感じたり、活性酸素が発生しやすくなり免疫の低下や老化につながったりと悪影響があります。

オートファジーがきちんと機能している人なら、そのような悪影響が大きくなる前に老朽化したミトコンドリアを分解してくれます。
そして、細胞内ではしっかり働くミトコンドリアのみが残るため元気に活動することができるようになります。

オートファジーは空腹時に起こりやすい

オートファジーはどのようなときに起こるのか?
それは「エネルギーが枯渇した状態のとき」です。

冒頭に紹介した3つの食事法(カロリー制限、糖質制限、ファスティング)はエネルギーが低い状態になりやすいためオートファジーのスイッチが効果的に入りやすくなります。

逆に1日中何かを食べているという人はオートファジーが起こりにくくなるため老化や不健康な状態になりやすいと考えられています。

空腹というとマイナスなイメージがつきまとう方も多いと思いますが、実は生物的には自然な状態で、体のメンテナンスという意味では大切な時間であるという見方もできます。

タンパク質合成(筋肉作り)は全てではない

このオートファジーと対極的なことを習うのがスポーツ栄養学です。
スポーツ栄養の分野では強い体を作るためによくタンパク質合成で食事法が評価されます。
例えば「運動後は糖質とタンパク質をセットでとった方がタンパク質単体よりタンパク質合成が高まるので良い」というような説明がよくされます。

しかし、タンパク質合成を起こりやすくすると一般的にはオートファジーが起こりにくくなります。
筋肉の分解を最小限にするために1日中プロテインやアミノ酸を摂取するというのはオートファジーの観点からすると健康を損ねていることになります。

オートファジーを活かす食事法の例

実生活で大切なのはタンパク質合成とオートファジーのメリハリをつけてバランスをとることであると私は考えています。

1日の中でも体を作るときはしっかり食べて、オートファジーを起こすために絶食時間は多めにとります。

ファスティングの分野ではオートファジーの恩恵を効率的にうけるためには1日のうち16時間を絶食し、食事は残りの8時間のうちに食べるのが良いという考えがあります。

例えば夕食を20時に食べ終え、翌日の朝食は抜き、お昼を12時から食べ始めれば16時間の絶食時間を作ることができます。
(食べることは12時~20時の8時間の間だけに限定する)

こういう日を慣れれば毎日、難しければ休日だけとか週3日だけとかでも効果はあります。

このファスティング方法は最初はエネルギー不足感を感じる方もいらっしゃると思うので、試す場合は徐々に絶食時間を伸ばしていくとか、いつも食べている朝食の量を少しずつ減らしていくなどして体を慣らしていくと良いでしょう。

また、スピード練習などハードなランニングは慣れるまで難しいかもしれません。
ファスティング初心者のうちはトレーニングの無い日や軽めのジョギングのときだけファスティングをするというのが続けやすいかと思います。

ファスティングと同様にやり方に注意が必要ですが糖質制限(ケトジェニックダイエット)もオートファジーにプラスです。
ケトジェニックダイエットのメリットなどについてこちらにまとめています。

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