食事・サプリ・栄養学

ランナーの貧血予防の知識まとめ(食事・サプリ活用法)

2021年6月26日

この記事では貧血対策に関する栄養学の知識をまとめます。
疲れやすい、立ちくらみ、イライラ、集中低下は貧血の代表的な症状です。
貧血といったら鉄分が有名ですが、実はそれ以外にも重要な栄養素があります。

貧血の症状

貧血の代表的な症状として

  • 立ちくらみ、めまい、耳鳴りがする
  • 疲れやすい、寝起きが悪い
  • 体を動かすと動悸や息切れがする
  • 集中力の低下、イライラしやすい
  • 手足が冷えやすい

などが知られています。

「立ちくらみだけではない」というのが重要なポイントだと思います。
というのも、本当は貧血気味で改善すれば調子がずっと良くなるのに、本人に貧血という自覚がなく治すことができないことがあるからです。
(後述しますが日本は貧血に関する血液検査の基準が欧米と比べて低く、潜在的な貧血の人が一定数います)

ランナー的には持久力アップの効果も

貧血気味だった人(潜在的な隠れ貧血の人も含む)が改善すると持久力がアップするという効果もあります。
というのも貧血とは酸素を運搬する赤血球が少ない状態ですから、貧血の改善はそのまま心肺機能の向上を意味するからです。

最近の例。
私の友人に吉村さんというサイクリングをしている人がいます。

ヘマクリット値(血液中の赤血球の割合)は成人男性で 40-50、女性で 35-45 程度が正常の範囲と言われています。

吉村さんはヘマクリット値が 38 とやや低かったのが悩みでした。
そこで鉄サプリを継続摂取したところ45 まで値が上昇。
その結果不動峠のヒルクライムタイムトライアルが 10 分弱短縮(つくば 3.7km 267m)したそうです。

貧血の原因

  • 食事からの栄養が不足している
  • 女性の場合、月経や出産で血液を多く喪失するためなりやすい
    (出産に伴う鉄欠乏状態はすぐに解消されずに何年も続くケースもある)
  • ランナーは着地による溶血(赤血球が壊れること)も貧血を起こりやすくしている

注意

上記以外に病気が原因で貧血になっている(あるいは貧血のような症状が出ている)可能性もあります。

最近の例でいうと、私の友人で自己免疫疾患という病気の方がいます。
その人は病気のせいで自分の免疫細胞が自分の赤血球を攻撃してこわしてしまうということが起きていました。
その結果として赤血球の数が減少してしまっていたのです。

調子が悪く貧血を疑って病院にいったら別の病気が早期に見つかって助かったという人もいます。

「貧血かな?」と思ったときはできれば医師に相談して血液検査を実施した上で判断するようにしましょう。

貧血対策として効果的な栄養素

貧血対策として効果的な栄養素として、まず第一に鉄分があります。
日本人は欧米と比較して肉の摂取量が少ないこと、食材自体の栄養価が下がってきていること、鉄の調理器具が使われなくなってきていることなどから、鉄分が不足しがちです。

メモ

日本人の鉄の 1 日の摂取量は
1950 年 46mg 、1974 年 13.3mg、2003 年 8mg
と大幅に減少傾向にある。

厚生労働省の基準では 1 日の鉄の摂取量の推奨量は
30~69 歳の男性で 7.5 ㎎
30~69 歳の女性で 10.5 ㎎(月経あり) 7.0(月経なし)

食事摂取基準の上限量(過剰摂取による健康障害をおこすことのない最大限の量)は、女性では 18 歳以上で 40 ㎎、男性では 18~
29 歳で 50 ㎎、30~49 歳で 55 ㎎、50 歳以上で 45 ㎎と設定されている。
→過去の日本人の摂取データと矛盾している。この辺りの基準をなぜ下げたのかは定かではないが、世界的にみて現在の水準は低いという専門家もいる。

また、鉄以外に重要な栄養素としては

  • タンパク質:赤血球の原料
  • ビタミンB群:赤血球を作り出すための化学反応に必要
  • ビタミンC:鉄の吸収を促す
  • ビタミンA,E:赤血球の膜を強くし、溶血で壊れるのを防ぐ

があります。

私が思うに優先順位として最も高いのが鉄とタンパク質。
次いでビタミンB,Cです。
ビタミンA,E については理論的には良いとされていますが、これまで見てきた情報や知人の体感などからすると優先順位はやや低めかと思っています。

食事で十分に栄養を摂取できれば良いですが、鉄分のように摂取しにくいものはサプリメントで補うと良いでしょう。

栄養素 優先度 説明
動物性食品、赤身魚などはヘム鉄という吸収性の高い鉄分が多くて良い。
上述の通り食事からの摂取量が減ってきているのでサプリの使用もおすすめ。
タンパク質 動物性食品、乳製品、卵、大豆製品などに多い。
肉好きの人は食事でとりやすいので必ずしもサプリが必要ではない。
ただし、タンパク質は1回の食事で吸収される量が限られている(例えば夕食だけ肉をドカ食いしてもダメ)ので、3食しっかりタンパク質をとること。それが難しい人はプロテインの使用も検討すると良い(間食や時間の少ない朝食時などで活用)。
ビタミンB 動物性食品に多い。上記の鉄、タンパク質を意識した食事で自然と摂取できるはず。
ハードトレーニング期、夏場、貧血症状がなかなか改善しない人は別途サプリを追加しても良い。
ビタミンC 野菜や果物に多い(ピーマン、ブロッコリー、菜の花、キウイ、イチゴ、みかんなど)。
上記でおすすめした食品と一緒に野菜、果物も意識して摂取するようにしましょう。
貧血対策の場合、サプリとしての優先順位はビタミンBよりさらに低くなると思います。
ただし、ビタミンCはビタミンBとセットで疲労回復やストレスにおすすめなので、Bを使う人はCも一緒に摂取すると体調管理の面でコスパが良いと思います。
ビタミンA,E 上記の優先順位の高い栄養素の食事をしていれば自然と一定量が摂取できるでしょう。
(さらにいうとアーモンドなどのナッツ類を摂取するとビタミンEが補いやすい)
サプリで追加しても良いですが、貧血対策としては優先順位は低くなります。

カフェインは鉄の吸収を阻害する

カフェイン、玄米などに含まれるフィチン酸は鉄の吸収を阻害します。
それ自体が悪いわけではありませんが、貧血の人は摂取する量やタイミングに注意した方が良いかもしれません。

特にカフェインはコーヒー、エナジードリンク、お茶、その他清涼飲料水などに含まれており、口にする機会が多いという人もいます。

鉄サプリをコーヒーやお茶で飲むことはしないように。

私は鉄サプリは夜寝る前に飲むことにしています。
カフェインや食物繊維など阻害する要因が少ない時間帯だからです。

隠れ貧血のリスク 日本は血液検査の基準値が低い

医師の藤川徳美さんは「うつ症状と鉄不足に関係があるのではないか」ということに気づき、ご自身の精神科のクリニックでも治療に鉄を処方されています。

藤川さんは著書『うつ・パニックは「鉄」不足が原因だった』の中でこう話しています。

鉄はたしかに過剰摂取のリスクはある。
ただし、多くの日本人は不足気味なので過剰摂取を恐れすぎる風潮が逆にマイナスに働いているのではないか。

日本はフェリチン(貯蔵鉄)の基準値も低く、海外では貧血とみなされる人も日本では「異常なし」になってしまう。

日本のフェリチン基準
男性:21~282ng/ml
女性:5~157ng/ml

欧米では 100ng/ml 以下は鉄不足と診断されるので、日本は下限が低すぎる。
そもそも欧米では40ng/ml以下では妊娠を許可されない.

私自身は医師ではないので健康リスクに関して無責任なことは言えませんが、色々と勉強をしてきた情報を総合すると今のところ藤川医師の考えにちかいです。

まとめ

  • 貧血対策としては鉄、タンパク質を最優先に、次いでビタミンB,Cを意識すると良い。
  • 食事としては動物性食品(肉、特にレバー、赤身の魚)、卵、乳製品を3食しっかりと。
    さらにビタミンCの豊富な野菜、果物を意識すると良い。
  • サプリは(平均的な日本人の方なら)おそらく鉄が最優先。
    次いでタンパク質を3食しっかりとれていない人はプロテイン。
    それでも改善しない人はビタミンB群がおすすめ。
  • カフェインは鉄の吸収を阻害するので貧血に悩んでいる人はタイミングや量に注意する(カフェイン自体は体に悪いわけではない)
  • 日本はフェリチン(貯蔵鉄)の基準が低いため隠れ貧血の可能性がある。

貧血対策におすすめのサプリメント

キレート鉄という吸収性が高く胃に優しい加工をした鉄。
実感性を高めるためゆっくり溶けて長く効く特殊加工(ロングワーク加工)が施されています。

タンパク質

合成甘味料、保存料、遺伝子組み換え原料 不使用。
腸内環境を改善する乳酸菌、健康作りに役立つビタミン・ミネラルをバランスよく含んでいます。
強い体つくりに効果的な麹やHMB、BCAAも配合。
ランナー向けの高品質プロテインです。

ビタミンB群+C

Catalyst Recovery

「昔と比べて練習後の疲労がとれにくくなってきた」と感じたことはありませんか? 本商品は水素に加えて、エネルギー産生、組織修復、免疫などに重要なビタミン類を含有。「リカバリーを早くしたい」「いつまでも元気にスポーツをしたい」という方におすすめ。

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ビタミンB,Cはもちろん、それと相乗効果のあるビタミンEや水素を配合。

スポーツをする人のリカバリーに特化したサプリなので、貧血でお悩みのランナーの方には上記キレート鉄とセットでおすすめです。

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