川越12時間走の学び②|メンタル的に楽に走る3つの方法

川越12時間走の学び②|メンタル的に楽に走る3つの方法

ウルトラマラソンをメンタル的に楽に走る3つの方法

前回の記事に続き川越12時間走で学んだことをシェアします。

川越12時間走の学び①|糖質補給について

今回はメンタル面のお話しをしようと思います。

私は中学はサッカー、高校は柔道をしていました。
どちらのスポーツでも「疲れ」というのを感じていました。
当時は疲れというのは肉体を限界まで使うから起こるものだと思っていました。

しかし、大学に入ってウルトラマラソンを何度も走るようになってからは
「どうやら疲れの原因は肉体だけでなく、脳の方にもあるらしい」
と実感しています。

こんな面白い実験があります。

サイクリストにバイクを限界までこがせます。
「もうこれ以上こげない」という時点での筋繊維の利用状態を調べます。

それまでの有力な説であれば
「疲労困憊(こんぱい)状態であれば使えうる全ての資源を使い切っているはず
=ほぼ全ての筋繊維が動員されている」
と考えられました。

しかし、実際には疲労困憊時に使っていた筋繊維は50%以下でした。
筋肉には余力がたっぷりあり、使用されるのを待っている状態だったのです。

この実験をしたスポーツ生理学者のティム・ノークス氏は
「疲労感というのは脳により中枢的に強いられたものだ」
と語っています。
(この実験では脳が安全のために筋繊維のスイッチを切ってしまったのだと)

疲労は身体の致命的な損傷を避けるために脳が作り出す感覚ということです。
ウルトラマラソンを走った多くの方は心の持ちようで疲労感、キツさが大きく変わることを知っているでしょう。

つまり、ウルトラマラソンでは過保護な脳を「まだ大丈夫だよ」といかに説得するかで結果が変わるということです。
*本当に身体を壊したり人に迷惑をかけるような無理を推奨しているわけではありません
*この後に紹介することもみなさんの良心に従って、後悔しないレースをするためにお役立てください

今日紹介するポイントは3つです。

  • 適切な目標設定が人を動かす
  • 比較で不安を解消する
  • 血糖値と強気弱気

適切な目標設定が人を動かす

下のグラフはラップタイムの推移です。
横軸=距離、縦軸=タイム、1周1.1km

85kmくらいからペースが上がっているのがわかりますが、この時何があったのか?
実は途中経過をみて私が2番手でトップと5周差であることがわかったのです。
「ペースアップしたら1位も狙えるかもしれない」
「終盤にペースアップして気持ちよく走り終えられたら、来月の本命レースにも良い状態でつなげられそう」
と思いました。

過去の24時間走も終盤は当然キツいのですが、ゆっくり走れば必ずしも楽というわけではありませんでした。
ライバルと競り合ったり、追い抜いていくランナーについてみたりすると意外とペースが上がったのに主観的な疲労感も楽になるのです。
自分の下向きな気分がキツさを助長しているということはよくあります。

そういった経験もあったので、残り4時間くらいのところでペースアップをしてみました。
すると「1位」とか「次の大会に向けて」という目標から、みるみる心と体が軽くなっていくのを感じました。
肉体的には一番疲れているはずなのに、最後の4時間が一番気分的にも楽でした。
気持ちの切り替えが大成功した例です。

こういう事例は私以外にもたくさんあります。
今年の6日間走では稲垣選手がラスト数時間で700kmという目標をみつけて一気に動き出したのを目撃しました。
別の選手は250kmのレースで「次の5kmのエイドを目標に走れば上手くいく」と語っていました。

ゴールまで先が長いときはその都度、適切な目標を定めて没頭すると身も心も軽やかになることがあるということですね。

比較で不安を解消する

マラソンを走っていると「ゴールまでちゃんと行けるかな?」と不安に思う瞬間が何度か訪れます。
この不安に耐えきれないとリタイアのリスクが高くなります。
こんな時に「いや、きっと大丈夫だ」と自分を納得させて乗り越えるのには「比較」の考えが役に立ちます。

実は今回の私は「1回で長い距離を走る」というのが久しぶりで少し不安があったのです。
夏は暑くて集中できないので、まとめて長い距離を走りませんでした(朝夜で16kmずつみたいな練習が多かった)。

そんな時に私を落ち着かせてくれたのが過去に成功した時との比較です。
具体的には今回の大会では
「2年前は月間350kmくらいの練習で24時間240km走れたじゃないか。
今年は月間の練習量でいえばもっと走り込んでいるんだから体は十分にできている!
きっとこのままゴールまで行ける!」
と考えていました。

文章にしてしまうと、当然のようなことに聞こえてしまうかもしれません。
ただ、実際に疲れてきたり、ストレスに長時間さらされているレース中では意外とこういう考えが安心させてくれます。

こういう比較は色々とバリエーションがあります。
友人と比較して「〇〇さんが、これくらいの練習量、フルマラソンの記録で走れたのだから、自分もいけるはず」
練習と比較して「練習で〇〇km地点までは走れたのだから、少なくともそこまでは行けるはず」
など。

まとめると、不安は大敵であり、それを和らげるのに何かと比較する方法が役に立つ。
スタートする前から自分を安心させる比較材料(過去の記録、友人、練習)を用意して、ピンチの時に思い出せるようにしましょう。

血糖値と強気弱気

走っている時に強気でドンドン走れるときと、弱気になって落ち込んでしまうときがありませんか?
弱気は不安とも近いですが、これもストレスですしリタイアリスクを高めてしまうと思います。

実はこの強気弱気という気分に血糖値が関係していることをご存じでしょうか?

これは今回の12時間走とは別の話ですが、以前100kmを朝食抜き・エネルギー補給なしで走ったことがあります。

100km無補給RUNの血糖値変化【糖質制限7ヶ月目】

この時に10km毎に血糖値を測っていました。
*糖質制限している私のデータなので、普通の人より低いです

血糖値の推移

この時に個人的に強く確信したのですが、血糖値が低いと弱気になります。
血糖値が低い状態では
「ちょっとお腹がすいてきた」
「今日の練習、きちんと最後まで行けるかな?」
「こんな練習ではオーバーワークにならないかな?(早めに切り上げたい気持ちに)」
という思考が生じてきました。

このネガティブな思考が見事に血糖値の低いところとタイミング的に一致したのです。
実際に低血糖の症状として「不安感」が知られています。
*参考「低血糖の目安と症状

つまり、糖質は走るためのエネルギーとしても重要ですが、心の余裕度にも関わってきます。
(前者は筋肉中にあるグリコーゲン、後者は血液中にある血糖値を示します)

もしレース中に不安にかられて、それが低血糖が原因だったとしたら

  • 補給で血糖値を上げる
  • ライバルなどがいたら密かに闘争心を燃やす
    (闘争ホルモンの影響で血糖値が上がる)

などの工夫で改善する可能性があります。

ちなみに私はウルトラの終盤など人目のないところで叫んで復活したりしています。
本気の神宮外苑では人目があっても控えめに声を出したりしています。
きっと今年も叫びます。

  • 目標を定めて没頭する
  • 比較して不安を解消する
  • 弱気は低血糖を疑ってみる

ぜひご参考に!

川越12時間走の学び③|ウルトラと五臓六腑の変調

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