食事・サプリ・栄養学

タンパク質の過多は寿命を縮める

前回の記事では「タンパク質の摂取量を増やすと体重が減りやすくなるのでやせたい人にはおすすめです」というお話をしました。

前回の記事
食事のタンパク質比率を高めると痩せやすい

今日はPFCバランスと体重の関係についてご紹介します。 結論的には「食事のタンパク質の比率を増やすと痩せやすくなる」というお話です。 まず、PFCバランスについて。 PFCバランスとは食事で摂取したカ ...

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では、とにかく痩せたい人はタンパク質を際限なく増やしていけば良いのか?

答えは「ノー」です。

今日はタンパク質の過剰摂取の問題と、タンパク質を増やしつつもその健康リスクを軽減する方法についてご紹介します。

タンパク質の過剰摂取は寿命を短くする

前回の記事で紹介した実験と同じように、タンパク質と炭水化物の比率をコントロールした餌をあたえ、動物の寿命との関係を分析したところ次のようなことがわかりました。

タンパク質比率が高すぎる餌は動物の寿命を短くする

これはおそらく、タンパク質の過剰摂取によって細胞のオートファジーの働きが低下してしまったからではないかと私は思います。

オートファジーとは「細胞内で古くなったり損傷して機能が低下した物質を廃棄したり、リサイクルする現象」のことです。

例えば細胞内にはミトコンドリアというエネルギーを作る工場のような器官があります。
ミトコンドリアが老朽化するとエネルギー産生がスムーズにいかなくなってきます。
また、活性酸素が発生しやすくなり老化や免疫低下につながったりと悪影響があります。

オートファジーがきちんと機能している人なら、そのような悪影響が大きくなる前に老朽化したミトコンドリアを分解してくれます。
そして、細胞内ではしっかり働くミトコンドリアが残るため元気に活動することができるようになります。

オートファジーは空腹状態のときに活性化し、食事(特にタンパク質)を摂取するとその後しばらく活性が低下することがわかっています。

つまり、

タンパク質を食べすぎる→オートファジーが起こりにくく→細胞内に老朽化した器官が残りやすくなる→健康や寿命に悪影響

というメカニズムが考えられます。

長寿の多い沖縄のPFCバランス

沖縄は100歳以上の人口割合が先進国平均の5倍と世界的に長寿で有名な地域。

伝統的な沖縄食(サツマイモと葉物野菜を主体に少量の魚と赤身肉を組み合わせる)のPFCバランスを調査したところP:F:C=9:6:85だったとのこと。
今の日本の平均(P:F:C=15.2:28.2:56.6)と比べるとかなり炭水化物の比率が高いですね。

寿命に関係する要素はストレスなど多岐にわたるのでこれだけで断定はできませんが、他の動物実験なども加味すると低タンパク質・高炭水化物の食事は寿命にプラスに働く可能性が高いといえるでしょう。

なお、伝統的沖縄食の人はタンパク質が少ないため大食いになりやすいと前回の記事の理論では考えられますが、そうではありません。
これは沖縄食の食事に繊維質が豊かに含まれているからではないかと考えられます。

食物繊維は満腹感を感じさせ、食べ過ぎをコントロールしてくれます。
(りんごはたくさん食べられないけど、繊維質を除いたりんごジュースになったら何個分でも飲めてしまう)

タンパク質の比率を高めることだけでなく、食物繊維を増やすこともダイエットにはおすすめです。

間欠的ファスティングでタンパク質多めの問題を軽減する

「高タンパク質の食事をしてみたいけど、寿命のデータがあると怖い」という方は間欠的ファスティングと組み合わせるとリスクを軽減できると思われます。

間欠的ファスティングとは、1日の中で絶食時間を意図的に長めにとる食事法です。

例えば1日2食で12時、19時に食事をしたとしましょう(朝食抜き)。
すると、20時くらい(夕食後)~翌日12時の間の16時間を絶食することになります。
このように長めの絶食時間をとることで、その間にオートファジーを機能させることができます。

なお、絶食時間は16時間が効果的と考えられていますが、慣れないうちは12時間くらいからはじめるなど、徐々に伸ばしていくと良いでしょう。

まとめ

  • 食事のタンパク質比率を増やすと体重は落ちやすくなるが、あまりに過剰だと長寿の観点ではマイナスになることも
  • タンパク質過剰の寿命リスクをおさえるならPFCバランスのP=25%くらいまでにした方が良い
    (ちなみにこの値はかなり高いので実際上はそこまで神経質になる必要はないと思われる。
    多くの日本人はどちらかというとタンパク質を増やすように意識した方が良いと私は考えています。)
  • 間欠的ファスティングも長寿に良い

注意

本記事で伝えたいことは「タンパク質を増やすと痩せやすいけど、だからといって際限なく食べれば良いというわけではない」ということです。
決してタンパク質が怖い、悪いから避けようということではありません。
健康的に痩せたい人はP=20%くらいを目安にすると良いと思います(平均的な人はこれより少ない)。

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