食事・サプリ・栄養学

食事のタンパク質比率を高めると痩せやすい

今日はPFCバランスと体重の関係についてご紹介します。

結論的には「食事のタンパク質の比率を増やすと痩せやすくなる」というお話です。

まず、PFCバランスについて。

PFCバランスとは食事で摂取したカロリーのうちタンパク質(P)、脂質(F)、炭水化物(C)がそれぞれ何パーセントかの比率を表したものです。

例えば牛丼チェーン店のすき家の牛丼並盛の場合、

タンパク質:23g
脂質:25g
炭水化物:104g
合計カロリー:733kcal

です。

タンパク質と炭水化物は1gあたり4kcal、脂質は1gあたり9kcalです。
(厳密には炭水化物=糖質+食物繊維で、糖質が1gあたり4kcal)

よってPFCバランス(カロリー比)は

タンパク質(P):脂質(F):炭水化物(C)
=23×4:25×9:104×4
=92:225:416
=12.6:30.1:57.3

となります。

このPFCバランスによって体重、健康リスク、寿命などが変わってきます。

今日は減量という観点からPFCをとらえるために、まずある実験のお話からしましょう。

シドニー大学の生命環境科学教授のデイヴィット・ローベンハイマー、スティーブン・J・シンプソン(同大学教授)は著書『科学者たちが語る食欲』の中で興味深い実験を紹介しています。

被験者はバッタ。
タンパク質と炭水化物の比率の異なる25種類の餌を用意し、各バッタに固有の組み合わせで与えます。

例えばバッタAはタンパク質:炭水化物の比率が2:1、1:1、1:2の3種類の餌を自由に食べられるような環境におき

バッタBはタンパク質:炭水化物の比率が3:1、2:1、1:2の3種類の餌を自由に食べられるような環境におく

というようにバッタによって餌のPFCバランスが異なる環境で自由に食事をさせて育てます。

測定の結果、横軸にタンパク質摂取量、縦軸に炭水化物摂取量をプロットすると次のようなグラフができました。

水色の点が各個体の炭水化物、タンパク質の摂取量のプロット。
青色の線は全体の傾向をラインにしたもの。

このグラフでタンパク質の量が少ない部分で壁のように垂直に近いラインができることから著者は

「バッタはタンパク質の量がある一定量を超えるように食べている。
"タンパク質欲"のような欲求があるのではないか?」

という仮説を思いつきます。
(タンパク質が少ししか含まれない食事ではカロリーが十分でもタンパク質の量が足りないので過剰に食べる)

そして、他にも様々な生物(人間も含めて)で実験を重ね、その仮説が正しそうであると結論付けます(私も本書を読んで納得の仮説でした)。

正しそうな仮説

生物はタンパク質の需要を満たしたいという強い欲求がある。

また、食事の内容と各個体の状態を分析したところある傾向がわかりました。

高炭水化物・低タンパク質の食事が用意されたバッタは太っており、低炭水化物・高タンパク質のバッタは痩せているのでした。

『高炭水化物群はタンパク質欲を満たすために炭水化物を過剰に、それもかなり過剰に摂取する必要があった。そして肥満になった。』
と著者は語ります。

このPFCバランスと体形の関連性はバッタだけでなく人間にもあてはまると考えられます。

現代の先進国では肥満が問題となっていますが、肥満が増えた理由には食環境的に炭水化物の比率が高くなりやすいからではないかと考えられます。
加工食品がどんどん広まっていますが、多くの加工食品はタンパク質、食物繊維の割合が低くなっているからです。

アメリカでは1961年でPFCバランスのP=14%でしたが、2001年には12.5%に減少しています。
小さな変化に思われるかもしれませんが、この変化のせいでカロリーを13%(1日あたり260kcal)増やしたくなるように食欲が刺激されてしまいます。

まとめると
「食べ過ぎてしまう」
「減量したい」
という人はタンパク質の摂取量を増やすように意識することがおすすめです。

ただし、タンパク質が多すぎると悪いこともあります。
それは長寿の面でマイナスに働く可能性があるということ。
次回のブログではその辺りについて触れたいと思います。

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