今日はジョギングについて最近の練習で感じたことをシェアしたいと思います。
私はこれまでジョギングを
- 楽に走る
- 楽に速く走る
の2つの感覚に分けて練習に取り入れてきました。
『楽に走る』の方は24時間走、250kmのようなウルトラマラソンの序盤のペース感覚。
『楽に速く走る』の方は100kmの序盤のペース感覚に近いです。
(あくまで私の実力ではの話なので、みなさんにとっての100km序盤のペースが私の言う『楽に速く走る』とは一致しないかもしれないことはご留意ください)
この2つのジョギングのトレーニング効果は共通しているところも多いですが、完全に一致しているわけではないと私は思っています。
私は2011年→2012年で24時間走の記録が220km→250kmと大きく伸びたのですが、その理由の1つが『楽に速く走る』のジョギングを取り入れるようになったことだと考えています。
体感的な変化としては『楽に速く走る』をすることでジョギングのペースが上がりました。
ウルトラマラソンは基本的に楽なペースで走るものなので、ジョギングペースの向上はそのままレース全体の平均ペースの向上につながりました。
この経験から私は練習メニューをつくるとき、ジョギングと一括りにするのではなく「楽なジョギング」と「楽に速く走るジョギング」と2つを分けて組み込むようになりました。
大会まで期間があるときは「楽なジョギング」をメインに走り、大会まで1~1.5か月くらいから「楽に速く」を半々くらいの頻度で組み込むことが多いです。
こうすることでジョギングペースが上がり、レース全体の平均ペースの向上=記録の向上に役立っていた実感があります。
そして、最近このジョギングの分類に新たな1つを加えることにしました。
それは「楽に走る」より更に遅いペースのジョギングです。
主観的には
- 罪悪感を感じるほどゆっくり
- 走っているというストレスを感じない
という言葉があてはまるでしょうか。
このペースのジョギングのことをスロージョギングと呼ぶ人もいるかもしれません。
わかりやすくするため、仮にZone1~3という言葉でそれぞれのジョギングを表すことにします。
名称 | 心拍数 | 感覚 |
Zone1 | 115~130bpm | 罪悪感を感じるほどゆっくり。 走っているというストレスを何も感じない。 一般的にはウォームアップ、クールダウンとして使われる心拍数に近い。 |
Zone2 | 131~142bpm | 楽である。 いつまでも走れそうな感じ。 24時間走、250kmの序盤ペース。 これより遅く走るとかえって効率が悪いと感じる |
Zone3 | 143~152bpm | 楽に速く走っている。 軽快に走っている。 きついとは感じない。 100kmの序盤のペース。 |
*心拍数はあくまで私の場合です(最大心拍数190bpm、安静時心拍数47bpmくらいです)
私はこの3か月間(9~11月)の大部分をZone1やZone2の低い方で走る練習をしてみました。
(厳密にはブランク明けの9月は心拍数を抑えることが難しく「主観的にはZone1だけど心拍数はZone2~3」という時間帯が多かったです)
下の図は10、11月の心拍数別の有酸素運動(ランニングとスピンバイク)の合計時間です。
*腕時計のデフォルトの5段階分類ではなく、上記表のように自分でアレンジしたZone1~3の心拍数です
今まではZone2、3が練習のメインだったので、この3か月間は私にとっては「こんなにゆっくり走っても効果はあるのだろうか? どのような体の適応が生じるのだろうか?」という実験的なものでした。
そして、3か月が経った今の気づきを列挙すると以下のようになります。
- 今までよりも長時間の有酸素運動をすることができるようになった。
(疲れがたまりにくく、たくさん走ることができる) - 練習時間が生まれる。
(ケアや回復に必要な時間が減る。疲労のせいで(?)ダラダラするような無駄な時間が減る) - 同じペースをより低い心拍数で走れるようになった
- Zone2の高い方やZone3のような心拍ゾーンでのランニングの主観的な強度が上がった。
(例えば楽なハズだった137bpmのランニングが「きつくは無いけど少し頑張って体を動かしている」と感じるようになった)
「運動時間」で量を評価するとき、Zone1はかなり楽にボリュームを増やすことができました。
今年の4月と11月のメニューを比較してみましょう。
月 | 走行距離 | 運動時間 | 平均ペース | 平均心拍数 |
4月 | 500km | 39時間10分 | 12.8km/hr | 143bpm |
11月 | 547km | 61時間51分 | 10.6km/hr | 117bpm |
*11月はスピンバイクもしているので運動時間が長くなっている(走行距離÷運動時間=平均ペースとなっていない理由)
4月は弘前24時間走に向けて順調にトレーニングできていた時期です。
11月はブランク明けからまだ3か月かつ糖質制限をスタートした最初の1か月めでした。
そのため、4月の方が11月よりもランニングインデックス(ポラールの腕時計で計算される有酸素運動の能力の指標)は高くなりそうなものですが、実際には
4月:71
11月:76
と「11月の方がペースのわりに低い心拍数で走れているので実力がついている」とポラールでは評価されました。
私の場合、ランニングインデックスはペースの遅い練習の方が高い評価が出やすい傾向にあるので単純比較はできませんが、私の感覚としてもZone1に時間を投資し続けた結果、心肺機能はこれまで以上に高まってきていると直感しています。
一方で「Zone2の高い方やZone3のような心拍ゾーンでのランニングの主観的な強度が上がった」というデメリットも最初は感じました。
「137bpmってこんなに体を頑張って動かさないといけなかったっけ?」という感覚です。
(ただし、呼吸がきついわけではない。体が重い、パワーが出しにくいという言葉があっているかもしれません)
Zone1で有酸素運動の時間が増え、心臓の肥大や毛細血管の発達で心拍数は抑えられるようになったけど、筋肉でエネルギーを素早く生み出すエネルギー代謝は鍛えられていなかったということかもしれません。
ただ、このデメリットは一時的なもので、11月下旬ごろからZone2の高い方やときどきZone3のペースもいれることで改善してきました。
今日の段階では137~147bpmも以前に近い感覚で走れるようになってきています。
ここまでの話をまとめると
- Zone1~Zone2の低い方の練習を選ぶことで、疲労を溜めずにより長い時間の有酸素運動ができるようになった
- その結果、心肺機能は以前より高くなり、同じペースを低い心拍数で走れるようになった
- 低い心拍数に慣れてしまい、Zone3などが動きにくく感じるデメリットはあったが、徐々にZone2の高い方~Zone3でも走るようになったら解消されてきたので心配はなさそう
ということです。
正直なところ最初の1か月くらいは「もっと速く走った方が走行距離も伸びるし実力がつくのではないか?」と疑いの気持ちの方が強かったです。
例えば
Zone2で18kmを90分で走るのと
Zone1で17kmを100分で走るの
どちらが良いとあなたは思いますか?
おそらく、どちらもトレーニング効果が違うので、目的にあわせて選ぶのが良いというのが正解なのでしょう。
ただ、頭ではそう分かっていても、実際に忙しい日常で走りだすと「少し速く走って距離を伸ばそう」とか「もうちょっと速い方が効果があるのではないか」という考えが浮かんでくるのもまた事実でした。
それが、この3か月の経験によって「こんなに遅くても良いんだ」と納得できたのは大きな学びでした。
1つご留意いただきたいのは、今回私がZone1に手ごたえを感じられたのは「時間を投資する」という気持ちがあったのも理由だと思います。
「ゆっくり走れば速くなる」と言いますがスロージョギングは楽して時間もかけないで成果がでるような魔法の練習方法ではないと今のところ思っています。
楽だからより長い時間運動できる。
リカバリーにかかる時間が少ないからもっと走れる。
こうして生まれた運動可能時間をスロージョギングに更に投資していく。
このように「もっと多くをランニングにかけたい」というモチベーションが競技志向ランナーがスロージョギングを成功させるポイントではないかと直感しています。
一時的な満足感を得るために速く走りたいくなる衝動を抑え、時間を投資し続けて結果が出たあかつきには素晴らしい達成感が待っていることと期待しています。
あなたも試してみたいとは思いませんか?
メモ
大会に向けたトレーニング計画において
まずはZ1のような、かなりゆっくりペースのジョギングで有酸素運動の時間を最大化しマラソンの基礎となる能力を強化
その後、徐々に速いペースのランニングも組み込むことで、最終的により高みに達する
という戦略もありかもしれない。
成長のための問い
あなたの日々のジョギング、もっと速くorもっと遅くのバリエーションを試すことに価値はあると思いますか?
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