Rising Sun 24

【Rising Sun 24選手インタビュー】仲田光穂さん|世界記録保持者が次に目指すのは『団体の金』

2025年8月18日

こんにちは。
ランニングショップHolosの小谷です。

この記事では24時間走日本代表選手の仲田光穂(なかた みほ)さんについて紹介します。

仲田さんは2025年8月現在、女子の24時間走世界記録保持者です(270.363km)。
前回の世界選手権(2023年・台湾)という大舞台でこの記録を出し個人として優勝。
団体戦銀メダルにも大きく貢献しました。

今年は故障に悩みながらも3月に開催された神宮外苑24時間チャレンジで優勝。
7月下旬ごろにようやく痛みが無くなり、世界選手権まで残り3か月をきった段階から本格的に練習を再開。

今回のインタビューでは、仲田さんのランニング経歴、世界選手権に向けた練習、目標などについて語っていただきました。

仕事と練習を両立する日々

小谷
今日はよろしくお願いします!

仲田
よろしくお願いします!

小谷
仲田さんは1989年生まれ(現在36歳)なんですよね。
私は1988年で1つ違いと近いので、仲田さんがウルトラの世界で頭角を現し始めたときは勝手に親近感を覚えていました。

お仕事はどんなことをされているんですか?

仲田
船橋市役所の資産税課に勤務しています。そこで税金の計算とかをしています。

小谷
お仕事の時間は規則的なんでしょうか?

仲田
季節によって結構変わりますね。
今は比較的落ち着いていて、基本的には定時で帰れることが多いですが、冬になると結構忙しくなります。

3年に1回繁忙期があって、そのときは○○○時間まで残業しました笑

小谷
○○○時間とは、公務員も大変なのですね(驚)
ただ、とりあえず今回の世界選手権までは安泰そうで良かったです笑

定時で帰れるときの、普段のトレーニングはどんなスケジュールでやっているのですか?

仲田
基本的には5時半とか6時までには仕事が終わります。
そこから少し休憩して、平日は1時間~1時間半くらい練習することが多いです。
20時半ぐらいには家に帰ってくる感じです。

小谷
なるほど。じゃあトレーニングは基本は夜ですか?

仲田
はい、夜です。朝は1ミリも起きれないんですよ笑

小谷
仕事終わりに走りに行くのって、疲れていたり、お腹がすくことはありませんか?

仲田
そうなんですよ。ただ、以前は夕食後に走ってたんですけど、なんか消化の時間考えるとすごい遅くなっちゃって。そうすると翌日に響くなと思って逆(夕食前に走る)にしました。

小谷
睡眠の時間はどれぐらいを目安にしていますか?

仲田
7時間ぐらいは取ってると思います。

小谷
土日、休日はどんな練習をしていますか?

仲田
先月までは故障で思うように走れていませんでしたが、ようやく最近ちゃんとトレーニングできるようになってきました。

トレーニングがきちんとできているときは、2日の休みの内の片方はロング走にあてています。
友人と一緒に奥武蔵とか峠走に行ったりだとか。

もう片方は、最近あまり行けてないですけど、駒沢公園とかで4:00~4:30/kmの速い方のペースで距離走みたいな感じで、基本的に土日をセット練習(※)にしています。

※2日以上連続で負荷の高い練習を行うこと

ランニング歴とウルトラへの道のり

小谷
なるほどですね。ちょっと話を過去に転じて、ランニングとか運動の経歴を聞きたいんですけど、走り始めたのはいつ頃からですか?

仲田
中学生のときはバスケ部だったんですけど、学校から「足速いでしょ?」みたいな感じで 駅伝とか走らされてました。陸上部がない学校だったんで。

小谷
なるほど、じゃあそのころからある程度は長距離に対して適性はあったみたいですね。

仲田
あくまで田舎の中学の中での話ですけどね笑

高校では陸上部に入りました。
実は最初はバスケ部に入ろうとしていたんですけど、バスケ部の練習って所要時間が長いし、見てると色々とキツそうだったんで、逃げるように陸上部に入りました笑

小谷
今はキツい練習があれば好んで飛び込んでいく仲田さんなのに笑

高校時代の記録とかは覚えていますか?

仲田
たしか3000mが10分40ぐらいでしたね。

小谷
大学でのランニングはどうだったのですか?

仲田
大学では最初は陸上部に入ったんですけど、やっぱり「やらされて走る」感じが嫌になっちゃって数か月かで辞めました。

そこから2年ぐらい何もしなくて、ブクブク太っちゃって、ダイエット目的で多分大学3年の初めとかぐらいにまたランニングを再開した感じです。
大学3年の終わりのころだったかに、東京マラソンに出たくて、それで初フルマラソンを走りました。

小谷
ウルトラマラソンにはどういう経緯でハマっていったのですか?

仲田
2015年の四万十川100kmが最初のウルトラでした。

私、大学で陸上サークルとかランニングサークルに入ってたわけじゃなくって、当時流行ってたmixiのコミュニティでマラソン仲間と出会っていたんです。

その中には自分のお父さんのような年齢の方とかもいて、ウルトラを走る人もたくさんいたので、ウルトラのことは知っていました。

誰かが四万十川ウルトラの写真をあげていて、その景色を私も見てみたいと思って大会に出たのがきっかけです。

当然最初は辛かったんですけど、同時に達成感がやっぱりね。今まで味わったことないものがあったんで。そこからハマっていきましたね。

あと、やっぱり最初は走るたびにどんどんフルマラソンでは考えられないぐらいタイムが縮まったりするじゃないですか。

初100kmが9時間10分くらいだったんですけど、次は一気に8時間40分で30分単位で成長して。
それでまたちょっと楽しくなっちゃって。

小谷
成長が実感できるというのは楽しいですよね。
ウルトラは練習や補給の工夫で成長できる余地がたくさんあるというのも魅力だと感じます。

今回の代表選手の荒井さん、櫻庭さんは52歳という年齢で、かなり高いレベルでも自己ベストを更新しているし、もっと多くの人に挑戦して欲しいなと思います。

世界選手権へ向けた練習計画|週末のセット練を重視した内容

小谷
次は世界選手権に向けた話を聞いていきたいと思います。大会まであと2ヶ月ちょっとありますが、練習計画のイメージはありますか?

仲田
今月(8月)が一番肝かなと思ってます。私の場合、3月末から2ヶ月ぐらい疲労骨折で棒に振っちゃったので。やっと好きなことできるかなって。

基本的に平日はいつもとそんなに変わらず、頑張りすぎないくらいかなと。
仕事で使い物にならなくなっては困るので笑

水曜だけは陸上トラックに行ってインターバルやペース走の刺激も入れる予定です。

あと、速くはないですけど、低酸素のジムに行っているので、そこで結構ゼイゼイする練習も2回くらい入れてます。

小谷
なるほど。
以前、仲田さんが「24時間走でもスピードは大事」と言ってましたけど、さすが仲田さんクラスになると

  • 水曜のトラック練
  • 週2回の低酸素
  • 日曜の速めの距離走

ときちんとスピードを意識したメニューを実行されているんですね。

仲田
週末も最初にお話した通りですね。
土曜日はしっかりロング走(あるいは金曜の夜から夜間走)して60~100kmくらい。

セット練として、日曜日は30kmを4:20~4:30/kmとかで行ければと。

小谷
週間のボリュームでいうと、どれくらいになるイメージですか?

仲田
たぶん、200km/週くらいだと思います。
数値はあまり気にしてはいないんですけど。

小谷
仲田さんは土日でかなりガッツリまとめて走るタイプの練習なんですね。

私は逆に平日から高頻度で走って、週末は家族のために時間を空けるようにしているので対照的です。

9,10月は先述の内容から変化を持たせる予定はあります?

仲田
9月からは夜間走を終わりにして、代わりにちょいちょい大会入れたりとか。少し自分の集中力を上げていく練習といいますか、レース感をゼロにはしないようにする感じかなと思います。

小谷
なるほど。

質問なのですが、土日はかなりハードだと思いますし、週全体で見ても200kmって結構ハードだと思うんです。
疲労抜きとか、怪我を予防するために何か気を遣ってることってありますか?

仲田
今まではなかったんですけど、最近、怪我をしてから体の使い方とか筋力の付き方とかすごい指摘されるようになって。

治療に行ったときに教えてもらったメニューをちょっとやったりとかしてます。
左右の筋力差がすごいあって、それを無くすような。

小谷
なるほど、じゃあよくあるマッサージとかで緩めたりとかいうよりは、使い方を良くするためにエクササイズするっていう感じなんですかね。

仲田
そうです。そうです。

小谷
その方針、私も良いと個人的には思っています。
ケアというと、リラックス・ゆるめるとかをイメージしがちですが、「より正しく動く」ことでダメージを減らすという方針。

仲田
ありがとうございます。補足しておくと、今お話した内容は「今まで故障で走れなかった分を取り返すためにハードな計画を立てている」だけで、今まで普段も週間200kmとか絶対やってなかったと思います。

小谷
なるほど。ちょっと今回はこれまでとは違う例外的な状態ということですね。
故障のブランクがあり、それでも世界選手権までの期間は限られているという。

仲田
はい、そうです。

小谷
故障が再発するのも怖いし、仲田さんの中でも、どれだけ追い込んで良いか判断に悩むところもあると思いますが、この突貫工事が奏功することを祈っています。

世界選手権の目標|団体金のために仲間を信じて自分の走りに徹する

小谷
最後に今回の世界選手権の目標を教えてください。

仲田
一番の目標は団体の金メダルです。

小谷
団体を重視しているんですね。

仲田
はい、逆に個人についての目標は正直あんまり無いんですよ。
なので団体の金メダルを取るために自分ができる走りをするくらい。

小谷
団体の金を意識して走ろうとしたとき、ペース配分をいつもと変えるかとか、状況を見て勝負に出たりとか、何かイメージしていることってありますか?

仲田
イメージはそんなにないんですけど、たぶん私以外の選手は大暴れするタイプの方じゃなくて、ちゃんと日本を守ってくれると思っています。

なので、たぶん私は好きなように走ってもいいんじゃないかなって。
前回もそのように走らせてもらったんですけど。

小谷
なるほど、じゃあ団体があるからといって、特に安全のためにちょっと抑えていくとかそういうのではなく、あくまで自分が走りやすいように、自分の走りに徹するという感じなんですかね。

仲田
そうですね。もし潰れてもいつかは生き返るんで。笑

せっかくね、他に強い仲間が3人も揃ってるので、安心して自分は自分らしく走るのみかなと思います。

小谷
チームメイトの実力に厚い信頼をお持ちなんですね。
きっと他の選手も、仲田さんが自由に伸び伸びと実力を発揮してくれるのを望んでいると思います!

仲田
自分自身、前回の世界選手権のような走りは、正直ちょっと間に合わないかなって。

ちょっと気づき始めてはいるんですけど、でもそんな状態でもやっぱり代表として行くし、良いメンバーが揃ってると思うので、みんなで支え合って戦い抜きたいなと思っています。

うん、やっぱりチームで一丸になって、いい走りができたらなって思いますね。

小谷
今年の日本は結束力を武器に頑張りましょう!
今日は貴重なお時間をありがとうございました!

仲田
ありがとうございました!

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