ウルトラの記録を左右する「ジョギング速度」を上げるには

ウルトラの記録を左右する「ジョギング速度」を上げるには

2010年4月、私は初めて100kmを超える大会である『さくら道国際ネイチャーラン』に出場して完走しました。
この大会はゴール後にイベントがあり、参加者の方々とたくさん話をする機会があります。
上位で完走された先輩ランナーに「どうやったらそんな良い記録で走れるのですか?」と聞いたところ
「楽な感覚で走って、いかに速く走れるかだね。」と教えてもらったことを覚えています。

ウルトラは「楽に走ったとき、それがいかに速いか」が大切。
これは今でもずっと私の中に残っている言葉です。

私は24時間走を「おしゃべりできるようなゆっくりペースでスタートして、大きなペースダウンなく走りきれるように」という気持ちで走っています。
その「ゆっくりペース」が5:00/kmなのか6:00/kmなのかで記録が変わります。

私の24時間走の記録が大きく変わったタイミングがあります。
2011年:220.244km
2012年:256.861km
(どちらも神宮外苑24時間チャレンジ)

実はこの1年間でウルトラのジョギングペースが5:40/km(10.6km/hr)くらいから4:50/km(12.4km/hr)くらいまで一気に速くなったのです。
(後から発見しましたが、偶然にも記録の伸び率256.861/220.224=1.17とジョギングペースの伸び率12.4/10.6=11.7が一致!)

この飛躍した1年間で私は何をしていたのでしょうか?

普段の練習のジョギングペースを速くしたのです。

2011年大会まではだいたい普段の練習は5:30~5:50/kmくらいで20~27kmをジョギングするというものでした。
休日は同じペースで40~70kmなどのロング走をしていました。

2012年大会(10月開催)のときは6~10月はジョギングを5:00/kmはきるように走っていました。
最後の2ヶ月間くらいは4:45/kmをきるようにしていました。
練習の距離は1回あたりは変わっていませんが、疲れやすくなったので頻度が少し落ちました。

休日のロング走のときも同じく速いペースのジョギングで走るようにしました。
当時の私は「この練習はLSD(ロング・スロー・ディスタンス)でなく、LSD(ロング・スピード・ディスタンス)だ」と言っていました。
50~70kmをそこそこ速く走る練習を取り入れたのです。

この練習方法の変化によって、大会ではスタートしたときから4:45/kmくらいの速いペースで余裕をもって入ることができるようになりました。
今でも私はスピードのわりにジョギングペースが速いと思います。
(フルマラソンでは私より速い人と一緒に走っても、ジョギング=ウルトラペースなら私の方が速い)

この経験を通じて私は「ジョギングの中にも段階がある」ということを学びました。

マラソン本の名著にリディアード氏の『リディアードのランニング・バイブル』という本があります。
本書で訳者の方(小松美冬さん)の興味深い体験談が書かれているので紹介します。

小松さんはゆっくり長く走るのが好きで、ただのんびりとLSDに近いような練習ばかりしていたそうです。
しかし、ある出来事をきっかけに、普段のトレーニングペースを「のんびり気持ちよく」から「気持ちよく速く」のペースに上げるようにしてみました。
(心拍数でいうと120~130くらいだったのを140~150くらいにしたそうです)

このような体感を目安にしたランニング(週間120~140km)を10週間続けました。
5週目に入ったあたりから、何気なく走り出したときのスピードが以前より速くなっていることに気付きます。
最終的には、気持ちよく走るペースが5:00/kmを少し切るくらいだったのが4:20~4:30/kmまでアップしたことに驚いたそうです(*)。
*これだけ一気に上がるのは小松さんの中にそれ以前にしっかり走り込んだ基礎が十分にあったからと思われます

この小松さんの体験は私がウルトラのベースとなるジョギングペースを高めるために日々の練習ペースを速くしたときの経験と通じるところがあると思いました。

まとめ

  • ジョギングの中にも段階がある。
    「のんびり気持ちよく」と「気持ちよく速く」では違う効果がある
  • レースの完走が目標の方ならまずはベースとなる体力を作るために「のんびり気持ちよく」がメインでも良いと思います。
  • ただ、十分基礎ができて更にレベルアップしたいときは「気持ちよく速く」も取り入れることで変化が生まれて良いでしょう。