今日は糖質制限と疲労について最近私が感じていることを書きます。
(私は2017年10月から今日までの10ヶ月間糖質制限を継続しています)
一般的には糖質制限をするとエネルギーが枯渇して疲労が抜けず、良い練習ができないと言われています。
(ここでいう一般とは従来のスポーツ栄養学とか運動生理学の教科書的な意見です)
一方で糖質制限肯定派の中では
「糖質制限をすると貯蔵量豊富な脂肪で動けるし、ケトン体に抗酸化作用があったりして逆に疲れに強くなる」
と言う人もいます。
私の今の考えとしては
「疲労の種類によって糖質制限の方が有利となるケースもあるし、そうでないケースもある」
です。
順を追って説明していきます。
まず最初に一般的な意見について確認します。
「糖質制限をすると疲れやすい(糖質は貴重なエネルギー源だから、それを補給しないとパフォーマンスが落ちる)」は概ね正しいと思います。
そういう科学的な証拠はありますし、以前の私もそう感じていました。
みなさん自身も糖質補給を減らしたら体の重さを感じて確認できると思います。
ただ、これは前提条件が「普通の食事をしている人」であって、長期間糖質制限をして体がそれに適応した人にもあてはまるとは限らないかもしれません。
では、10ヶ月継続した私の最近の体感としてはどうか?
最近の私の練習は「練習録カテゴリー」の記事で公開しています。
先週の7/23~29は久々に結構な距離を走りました(週間190km)。
社会人になってから練習量が落ちてしまった私ですが、学生時代は月間1000km(週間230km)の練習をしていたこともあります。
なので、その時との感覚の違いなどから比較して思っているのは
「糖質制限をしている今の方が疲れにくい」
ということです。
まだ評価するには時期尚早かもしれませんし、食事以外の体のケア方法なども上達しているので断定的に言うことはできません。
ただ、直感的には70%くらいの確率で当たっているのではないかと思います。
以前なら平日に27kmくらいの練習を継続すると、3,4日目にはもう脚に重さを感じていました。
(その重さが常にある状態で練習を継続して「距離を稼ぐ」ということをしていました)
一方で先週の190kmの練習では以前感じていたような疲労感というのはありませんでした。
走った疲れは当然多少はありますが、普通食の時より楽に練習が消化できている感覚があります。
おそらく、この違いは筋肉のグリコーゲンが原因ではないかと推測しています。
- 普通食の時は糖質系のエネルギーを使っていたので、練習量が増えると食事での糖質の補給が追いつかなかった。
(しかも走り込みの季節はたいてい夏で胃腸も弱って食欲が落ちやすかった) - 糖質制限をしている今は糖質の利用が少なく、30kmくらいの練習なら継続的に走っても食事や糖新生(体の中で糖質を合成する仕組み)で間に合う。
ということかと。
では糖質制限は疲れに万能かというと、そうでもないと思います。
例えば6月はスピード練習や起伏走を結構やっていたのですが、普通に筋肉痛になったり疲れたりしました。
これは長い距離を連日走るのと、スピード練習や起伏走では疲れの種類が違うことを意味しているのだと思います。
また糖質制限は「長い距離」への疲労ならどこまでも対応できるかというとそんなこともないでしょう。
- 100km無補給で走ってその後も糖質制限食をした時は数日エネルギーが湧いてこない感じがありました
- 台湾24時間走では糖質補給を従来より激減させて走ったら130kmくらいで低血糖らしき症状でリタイアしました
- 6日間走も(リタイアは筋骨格ストレスが原因ですが)しっかりと糖質補給した方が回復することを確認しました
(↑失敗多過ぎでは笑)
糖質制限が
「得意な疲れ(糖質制限の方が普通食より有利)」
「得意かもという疲れ(そこまで確信はないが、少しそう感じる)」
「得意とはいえない疲れ」
に分けるとこんな感じでしょうか。
得意 |
|
得意かも |
|
得意とはいえない |
|
ちなみに「糖質制限が苦手な疲れ(普通食の方が有利)」という項目はありませんが、それは私がまだ自覚的に「糖質制限をしてからこういう疲れに弱くなったな」と感じることがないからです。
またそういう経験をしたら紹介して表を更新しようと思います。
「マラソンで良い練習を継続するために糖質制限は有効か?」という問いに対しては
- ウルトラ対策などのゆっくり走り込む練習には良さそう
私の場合は特に月間700km~くらいの距離になるとガス欠感や食事量アップの内臓疲労があったので、その辺を境に有利になりそう - スピード練習中心の人にとっては良くも悪くもなさそう
というのが今の感覚的な回答です。
今後も練習しながら経過を観察していきます。
*糖質制限は糖質を減らすだけでなく、タンパク質・脂質・微量元素などを十分に摂取するなど注意する点があります(糖質量だけでなく食事トータルで考えること)。
やり方を間違えてしまうケースや体質に合わない方もいらっしゃいますのでご注意を。