ウルトラマラソン

ウルトラマラソン|100km対策の50km走、補給は本番と同じでいい?

こんにちは。
ランニングショップHolosの小谷です。

先日「9月の初100kmを目指して練習している」というお客様から次のような質問をお寄せいただきました。

小谷さん

いつも有益な情報をありがとうございます。

私は9月の秋田100kmを目指して、7月から走り込みをしています。

初100kmのため練習や補給と分からないことだらけです。

とりあえず長い距離をまとめて走ることが大切だと思い、50kmくらいのLSDを週末にしています。
(暑くて40kmとかで終わってしまうこともありますが)

小谷さんのブログのウルトラの補給に関する記事を拝見し、それを参考に50km走しながら補給を試しています。

質問なのですが、練習(50km)のときは本番と同じような補給をすれば良いのでしょうか?

体質もあると思いますが、特にエネルギー補給は私はもっと少なくても走れるような気がしています。

練習と本番の補給の違いがあれば教えていただければ幸いです。

ps
先日注文したCAEとCZですが、CZの方は特に気に入っています。
胃腸のトラブルなく走れているのもCAEのおかげかもと思っています。
素晴らしい商品をありがとうございます。

今日はこちらの質問「ウルトラ対策のロング走をするにあたって、補給はどうするのか? レース本番との違いはあるのか?」について考えてみましょう。

まず、こちらのお客様が参照されている私のウルトラの補給のまとめ記事はこちらです。

重要事項を体系的に整理していますので、秋ウルトラを目指している方はぜひこの記事の読後に復習としてご覧ください。

『ウルトラマラソンの補給方法|失速を予防し長時間走り続けるために』

ウルトラのロング走(50km)の目的は2つ

「ウルトラ対策のロング走(今回の事例でいうと50km走)の補給をどうするか?」を考えるためには、まずその目的を再整理することが大切でしょう。

私なら

  • 身体的な適応を促す(トレーニングの刺激を与え、その後の休息により肉体的に更に強くなる)
  • 本番を想定して補給やペース配分などを実際に試し、経験することで気づきを得る

の2つを目的とします。

この目的を最大限に達成しようとするならば、練習ではどのような補給をするのが良いでしょうか?

私は以下の2つのパターンがあると考えています。

【パターン1】空腹ランで「後半の粘り」を鍛える

1つめのパターンは身体的な適応(トレーニング効果)をより重視する空腹ランニングです。

練習当日の朝食を抜きにして、何も食べないまま走り始めます。
練習中の補給は水分と電解質の補給に限り、ジェルや補給食のエネルギー補給はしません。

給水は経口補水パウダー(エブリサポートなど)を使用します。
若干の糖質は含まれますが、これくらいは気にしないで大丈夫です。

この練習は体を低エネルギー状態で動かすため、慣れていない人からすると当然いつもよりハードに感じます。

(普段は50km走をしている人でも35~40kmくらいが限界かと思います)

※暑い日や体調が優れない日は無理をせず、距離や強度を落としましょう。特に空腹ランは低血糖症状(ふらつき、強い倦怠感など)が出る場合があります。

ハードですが、体からエネルギーを絞り出す(体脂肪を効率的にエネルギーにする)能力が普通の練習より向上しやすいメリットがあります。これがウルトラ後半での粘り強さに効いてきます。

脚が重くなった状態でも、動き続ける感覚を養うという意味ではレース終盤を疑似体験できて良い練習になります。

また、より短い練習時間でも脂質代謝系に刺激を与えられるため、時間効率が良いというのもメリットだと思います。

ネックなのは、慣れるまでにそれなりの期間が必要ということです。
これまでのお客様の声から、おおよそ以下のような傾向が分かっています。

  • 1~2か月くらいの継続で空腹状態で走ることへの抵抗が無くなる
  • 2~3か月くらいで空腹状態で走ることが快適になり、取り組みへの手ごたえを感じはじめる
  • 4~6か月後の大会では以前より後半に強くなったと成果に現れ始める

なので、質問者の方が「9月の大会に間に合わせたい」という気持ちが強いなら、現段階で無理に空腹ランニングを選択する必要は無いと思います。

ある程度の経験を積んでいる方が、長期的な視点で更に高いレベルを目指したいというときはおすすめの方法です。

「これから始めてみよう」という方は、いきなりロング走から空腹ランニングにするのではなく、日常の軽いジョギングから導入していくのが安全でおすすめです。

【パターン2】本番さながらの補給で「50km通過」を体に覚えさせる

2つめのパターンは「レースで計画しているのと同じような補給をして、どうなるか試してみる」です。

ウルトラマラソンでは

  • 元気なときなら食べられた補給食が途中で食べたくなくなる
  • 30~40kmの練習では問題にならなかった「胃腸の疲労感」が現れる
  • シューズやウェアが擦れて痛む

などの、フルマラソンまででは想定していなかったトラブルが生じます。

実際に50km~のような長い距離を走ることで、起こりやすいトラブルに気づき、レースまでに対策をすることができます。

完璧に対策することができなくても、練習で経験しておくことで心の準備ができるので、本番でも心の余裕を失いにくくなります。

このパターン2でロング走をするときの意識ポイントは「通過する」感覚で練習を終えることだと思います。

質問者の方の場合なら「レースの50km地点に到達し、疲れながらもまだ余裕をもって動けている状態」のように50km走をできると良いでしょう。

  • 50km地点でもまだ筋グリコーゲンが温存されているように十分な糖質補給をして走る
  • 水分と電解質が正常な状態であるように、必要十分な給水をして走る

質問者の方のコメントで『体質もあると思いますが、特にエネルギー補給は私はもっと少なくても走れるような気がしています。』とありますが、「50km地点ではまだガス欠感は無い」のと「50km地点でまだ筋肉に力強さを感じられるくらい筋グリコーゲンが温存されている」のでは、大きな違いがあります。

エネルギー補給の量については60~70km走では問題にならなくても100kmになると大きな問題になるということはよく起こります。

50kmを走るだけなら食べる量を減らした方が胃腸的にも余裕ができるので楽かもしれません。

しかし、ここでは「100kmをガス欠無く走れるくらいのエネルギー補給をし続ける練習」として積極的に補給するのが良いと思います。

※「積極的に補給」の具体的な目安はこちらの関連記事をご参照ください

水分と電解質の補給についても同様に「50km地点でも十分な余裕がある」を目指して給水をしましょう。

ただ、現実的には暑い8月の練習と、涼しくなった9月のレースでは水分・電解質補給の必要量は全く異なります。

なので、給水については、レース本番の想定とは関係なく、8月の「今日の練習を安全に、できるだけ快適に走り切るため」だけ意識して十分に摂取しましょう。

また、レースで使用予定のサプリメントも本番と同じタイミングで摂取するのが効果の確認やトラブル防止のためにもおすすめです。

  • Catalyst Zone(集中力を高めるカフェイン系):スタート前、35kmくらい
  • Catalyst Athlete Enzyme(消化を助けて胃腸障害を予防):スタート前(or直前の食事前)、35kmくらい

補給とあわせて覚えておきたいこと

補給から少し話はそれますが、夏にウルトラ対策のロング走をするときに覚えておいて欲しいことがあります。

それは「その脚の重さは暑さの影響が大きいので、不安にならないこと」です。

「50kmを余裕をもって通過するイメージで」と話しましたが、暑い時期のロング走は実力のある選手でも「いつもよりすぐに脚が動かなくなる」「脚が重い」と感じています。

これは、暑い中の運動で体を壊してしまわないように脳が安全のためにブレーキをかけているからです(中枢性疲労)。

しかし、このメカニズムを知らないと「脚の重さ=走り込み不足、脚がまだ弱い」と考えてしまいがちです。

ここから「50kmでもこんなに脚が重いのに、100kmなんて走れる訳がない」と自信を喪失してしまうことが無いようにしてください。

涼しくなり、脳のブレーキが弱まると、驚くほど脚の重さは軽減されます。
胃腸の働きも良くなり、補給のストレスも軽減されるので、より快適に走れるようになります。

今の時期は練習を通じて不安になるのではなく、自信を高めていくことが大切ではないでしょうか。

まとめ

  • ウルトラ対策のロング走の補給は
    ①身体的な適応を重視する空腹ランニング
    ②本番と同じ補給をして実験する
    の2つのパターンがある
  • 小谷は①の空腹ランニングを重視しています。慣れるまでに時間はかかりますが、長期的には誰もに試してみてほしい選択肢です。
  • ②の本番シミュレーションでは、「レースのある地点を余裕をもって通過する」イメージで走りましょう。
  • 夏の練習は誰もがキツいと感じるものなので、自信を喪失しないように。練習を頑張ったことに目を向けましょう。

秋のウルトラが少しずつ近づいてきましたね。
良い結果につなげるためには、ここから1か月くらいが勝負所と言えるでしょう。

特に以下の3点は重点ポイントかと思います。

  • ポイントとなるロング練習の実施
  • 補給関係の計画の整理
  • 故障予防と健康管理のためのリカバリー

下記に関連記事も掲載しますので、ぜひあわせてチェックしていただき、次のロング走で試してみてください。

今日もお読みいただき、ありがとうございました!

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