最近はまっている本に『事実はなぜ人の意見を変えられないのか』という1冊があります。
この本はタイトルの通り、私たち人間が何かを判断するときにいかに論理的でないか(明らかな事実を無視したりする)を説明した本です。
この本の中で「確証バイアス」というキーワードが出てきます。
確証バイアスとは「自分にとって都合の良い情報は信じ、反対の情報は受け入れないことで、情報を得れば得るほど自分の考えが強化されていく」という人間の傾向です。
例えば私は糖質制限が競技時間が16時間~のウルトラマラソンのパフォーマンスアップに役立つのではないかという仮説を持っています(ガス欠・胃腸障害がネックになりやすい人はもっと短い競技時間でも効果的)。
これを仮に糖質制限 賛成派としましょう。
一方で、「糖質は貴重なエネルギー源なので食べた方が良い」という方もいらっしゃいます。
これを仮に糖質制限 反対派とよぶことにしましょう。
(なお、本筋とは違いますが、私も糖質は大事と考えているのでレース中は補給します。
日常での摂取量を減らして糖質への依存度を減らそうという発想です)
今ここで、空想の実験データ「糖質制限をすることで100kmマラソンの記録が平均で3%速くなった」というデータが両グループに見せられたとします。
すると、賛成派の人はすんなりとそれを受け入れ、「ほらやっぱり」と確信を強めます。
一方で、反対派の人がそれを見ても
「実験参加者が少ないのでは?」
「参加者の競技レベルは? 初心者と経験者で違うのでは?」
「ウルトラは多くの要素が複雑に絡み合うから単純に一般化するのは危険」
など、実験結果を否定的に解釈する傾向が強くなることがわかっています。
(これは賛成派に対して糖質制限のネガティブなデータを見せても同様)
実際に科学的教育を受けた研究者の方々の意見を聞いていても
持論に反するデータについては「動物実験の結果がそのまま人間に適応できるとは限らない」とよく言うのに
持論を支持するデータについては「動物実験ではあるが、この結果が人間にも当てはまる可能性は十分あるし、現在あるデータの中で考えるにあたっては大いに参考になる」とよく言っていたりします。
これは人である以上は避けられない事なので「こういう都合の良いところばかり見てしまう傾向が自分にはあるんだ」と頭の片隅に入れて、その影響を考慮しながら判断するようにと私は心がけています。
私の本棚には私の仮説(糖質制限はウルトラに良い)の根拠となった書籍がズラリと並んでいます。
(もちろん中には中立的なものや、反対派の書籍もあります)
この書棚の並びを見たり、自分自身の過去の発信を見返したりしては
「1つの考えに肩入れしすぎていないか」
「新しい発想と組み合わせたりすることでもっと良いものにならないか」
と注意するようにして、反対意見の本や全く別の視点の本も購入して読んでいくようにしています。
そういう経緯で本が延々と増えていくのですが、最近の私の栄養関係のトレンドはヴィーガン、ベジタリアン、穀菜食、マクロビオティック、プラントベース、ホールフードなどとよばれるもの。
ざっくりいうと、動物性たんぱく質は減らして自然な食品(野菜、穀物、果物など)を増やしましょう系のものです。
(熱心な方にはてきとうすぎて怒られるかもですが)
ウルトラマラソン的にはスコット・ジュレクが菜食主義で有名です。
江戸時代の飛脚も米、みそ汁、漬物の粗食で持久力がすごかった(逆に肉を食べさせようとしたら失敗した)などのエピソードがあります。
あと、必要な睡眠時間を減らして時間を生み出すための短眠法の世界では動物性たんぱく質は敬遠されるケースがほとんどです。
(肉は消化吸収の負担が大きく、その内臓疲労が必要な睡眠時間と直結するためという理屈らしい。
ショートスリーパーの書籍で有名な堀大輔氏は動物性タンパクとしてホエイプロテインは消化負担が少ないという理由で使っている。)
私自身もヴィーガンレストランにいった後や大豆ミートを食べた後は(少なくとも食後~翌朝くらいのスパンでみると)肉食より調子が良いと感じることが多いです。
色々と読んだり体験談を聞くと、菜食主義、マクロビオティックの失敗例を聞くことも珍しくはないので(それもやり方によるのでしょうが)、完全ではないのだろうなぁと直感的には思いますが、今の考えと組み合わせることで改善はできるかもしれません。
いや、できてほしい(希望探し屋さん)。
ここ数日なんとなく描いている仮説は
- 玄米を中心とした穀菜食を少食気味で
- 短眠も可能になりトレーニング時間をさらに確保
- 適宜不足する栄養素はサプリ、プロテインで補充
- 玄米摂取で糖質制限と比べて低下する脂肪燃焼能力は日々の12~16時間ファスティングと定期的な1~2日ファスティングでカバー
という戦略はありかもしれないということです。
最近はランニングの量もある程度増えて新しい試みをする余裕もできてきたし、直近に大会もないし試してみるのもありかと思っています。