第3回セミナーのアンケートにていただいた質問への回答をこちらのページにまとめていきます。

主観によるトレーニング成果の評価について。体調などで変わるのではないか?

トレーニングの結果判定について。
説明不十分とは思いませんが、次のような疑問が残りました。
体調、天候、気持ちなどで、主観的運動強度や、心拍数は、変わるのではないか?

はい、体調が悪ければきつく感じますし、暑いとき(寒すぎるとき)もやはりきつくなるでしょう。
その辺りの踏まえて総合的に自分が成長しているか否かを判断していくことになります。

経験を積んでいくうちに「暑いなりに走れた」とか「疲れているわりには走れた」というように条件の違いを考慮した上で判断できるようになるでしょう。

朝忙しい主婦です。平日の空腹イージーの時間捻出の工夫は?

平日の空腹イージー走の時間の捻出がまだうまくいきません。
参加者の方、特に朝忙しい主婦の方とかでどういう風にパターン化していらっしゃるか知りたいです。

走れない場合は「空腹状態で日常の活動を継続する(家事なども含む)」でもOKです。
例えば朝or昼or夜のどれか1食を抜くことでも空腹イージー(活動)の代替となりえます。

また、ご家族との食事の時間も大切でしょうから1食抜くというのも難しいケースもあるかもしれません。
その場合は食事の糖質の量を減らすことで脂肪燃焼を促すことができます。

空腹ロングの後に空腹感が持続して食べすぎてしまう

空腹ロング走の後すぐに栄養補給するのですが、その後も1日中ずっと空腹感が持続していてなんだか食べ過ぎてしまいます。
身体が慣れるまではこういうことがありますか?

はい、空腹ロングで糖質が枯渇しているので体が糖質を求めてのことでしょう。

適応が進んでいけば空腹ロング中に消費する糖質の量が減って、代わりに脂肪で走れるようになります。
すると食事で補給しないといけない糖質の量が減るので食事は少し落ち着くと思います。

体の糖質への依存度が減っていけば空腹感は軽減されていきます。

今感じている空腹感は練習で頑張って糖質を枯渇まで追い込んだ証拠=強くなっている証として捉えれば良いかと思います。

空腹ロングを起伏でしたり連日走と組み合わせたら効果が上がる?

空腹ロング(2~3時間/20~30K)をクロカンで行った場合、起伏走や(前日ロング走を行った場合)連日ロング走の効果もあると考えてよろしいでしょうか。
Eに加えC,Mにも効果があり効率的なトレーニングだと考えています。

連日ロングについて・・・エネルギー満タンで実施とのことですが、空腹ロングを連日というやり方でもいいでしょうか?

はい、起伏を走ったら筋損傷への耐性もつきますし、前日にロング走をしていたら連日ロングのような効果もでてくるでしょう。

ただ、この方法が良いかどうかは人によって変わってくると思います。
おそらくかなりレベルの高いランナーなら上記のような組み合わせによって負荷が高められるので効果がでるでしょう。

一方で初中級者の方なら目的を絞って、その目的に合致した種目で最大限頑張った方が良いと思っています。

例えばある人の実力が以下の通りだったとします。
空腹ロング→3時間走れる
空腹状態で起伏→2.5時間走れる
補給ありで起伏→3時間走れる

その人が次に目指すべき練習は
空腹ロングで3時間+α
補給あり起伏で3時間+α
だと思います。
(空腹状態で起伏 2.5時間+αではない)

というのも、そちらの方が筋損傷に対してもエネルギー枯渇に対しても強い負荷をかけられているからです。
(例えばスピード練習とLSDの両方の効果を出すためにハイスピードで長時間走ろうとしても運動が継続できません。
そしてそれは非効率な練習でしょう。)

目的を絞るからこそ、ある体の機能に対して強い負荷をかけることができます。
それこそがCREEMに分類してある目的に絞った練習をするという意義になってきます。

高強度間欠をしてから空腹イージーと組み合わせるのはどうでしょう?

・高強度間欠運動について・・・やりやすいのは20秒ダッシュ+10秒レストなので、これでやってみようと思います。(まずは8~10くらい)
これを先に行い、その後空腹イージーと組み合わせるのはいかがでしょうか?
(高強度間欠も空腹で行うことになる。
その後空腹イージーができるかどうかわかりませんが(^^ゞ)

上のQAと同様に空腹イージーの質が低下することでトータルとしてマイナスになるリスクはあります。
あと、高強度間欠が空腹状態のため強度をキープできないリスクもありますね。

なので、理屈的には別々にした方が(例えば朝に空腹イージー、夜に高強度間欠)効率が良いです。
ただ、平日に時間がない中でレベルの高い人がなんとか負荷を高くしたいという場合にはこの組み合わせはありだと思います。

絶食時間が7時間しかとれなくても空腹イージーの効果はある?

空腹イージーは夕ご飯が遅いときは翌朝7Hの間隔でのランニングとなりますが効果はありますか?

7時間でも問題ありません。
8時間は目安で厳密に何時間で効果がなくなるというわけではありません。
大事なのは生活リズムに無理のない範囲で空腹走を取り入れることだと思います。

平日にスピード系の練習会があります。これを空腹でやれば空腹イージーとみなせますか?

5つの疲労の中で一番気になるのが、エネルギー不足を解決する「空腹」シリーズです。
これを今は重視したいのですが、練習会メニューがあるので、どう組み合わせればいいのか悩んでいます。

水・金に月替わりのメニューがあり(ビルドアップとかペース走とか)、あまり強度が高くないようなら、この練習の時も「空腹」でやり、平日の「空腹イージー」に充てたいと思うのですが、いかがでしょう。

空腹イージーは「ゆっくりペースで走ること」「運動継続時間の長さが効果と関係強いこと」がポイントでした。
ビルドアップやペース走がどれくらい追い込んだものかわかりませんが、空腹との相性は悪いでしょう。

第2回セミナーの「トレーニング効果のU字の谷」を思い出してください。
そこの谷に落ちてしまう可能性が高そうな気がします。

また、脂肪燃焼の適応が進んでいない人が空腹でハイペースで走ると筋肉の分解も進みやすいです。
もしあなたが糖質制限を4~6か月以上続けていて、糖質なしでもスピード練習がガンガンできるというのでない場合は辞めた方が安全だと思います。

空腹イージーがメイン練習なのでVO2Maxが減少。トレーニング強度も低く出ていますが大丈夫でしょうか?

この2週間のトレーニングはイージーペースが主なので、VO2MAXが減少しています。
トレーニング強度も低く出ています。問題ないでしょうか?
空腹イージーの最後に1Kダッシュを入れても良いでしょうか?

一時的にトレーニング強度が低くなるのは期分け的には仕方がないと思います。
能力維持の簡易性もありますので、スピードのやや減は受け入れて、その分量を増やし、スピード期に一気にのばすというのが私のやり方です。

ダッシュも1kmなら問題ないかもしれませんが、基本的に空腹状態で高スピードで走るのはおすすめしていません(筋分解が進みやすく脂肪燃焼ランニングで実力のあるランナーがよく失敗するケースです)。

速い動きを体に覚えさせておくために空腹イージーの最後に50-100mを3,4本くらい気持ちよく疾走するウィンドスプリントを入れるのはOKです。

テンポ走の具体的なペースを知りたい

テンポ走を入れていますが、具体的にはどの位のペースを想定しておけば良いですか。

こちらの記事のT(テンポ走)の項目をご参照ください。
ペースは実力によって違いますので具体的なタイムよりも上記記事の主観的なキツさを参考にしていただいた方が上手くいくことが多いようです。

設定が速すぎては運動時間(30-50分)を継続できませんし、遅すぎたら『「本気で頑張ればあと5~10分くらいは継続できる」という感覚で終わる』よりも余裕があることに気づくはずです。
3,4回走ってみることでご自身のだいたいのちょうど良いペースが見つかるでしょう。

レースに向けての調整法

レース向けての小谷さんの考え方を教えてください。
私はフルの場合は3Wにレースペース近くでの30K走行ってから徐々に距離を減らしていきます(2W前ハーフ、1W前10K)。
10Kや5Kの場合は2日前から距離を落とす程度です(現在、試行錯誤中)。

私もほぼ同じ考えです。
フルなら3週間前くらいにレースペースで30kmくらいを走ってみます。
2週間前から練習量を徐々に落としていきます(ハーフくらいの練習も同様に行います)。

10km、5kmは3日前くらいから距離を落としますね。
前日に軽く1000mを1本くらいレースペースで走って刺激を入れることが多いです。

峠走についての考えを教えてください

富士五湖がまた中止になり、ウルトラ初チャレンジは2年連続で持ち越しとなりました。
去年より岩本式の練習をとりいれてまして、特に峠走を好んでやってきました。

僕はトレランをメインにしてるため効果ありとみて頻繁に峠へ行きますが、この峠走が果たしてマラソンに効果あるのか?というとこでは疑問があります。
なぜかというと余計なとこへの負荷が高すぎるよう気がする。
怪我のリスクが高いかなと。

小谷さんのマラソンに対する峠走という練習法の評価をお聞きしたいです。
よろしくお願いします。

峠走は負荷を高くできますので、レベルの高いランナーにとっては効果的な練習となりうると思います。
私も個人的には好きな練習でした(最近はアクセスが悪くなってしまいやっていませんが)。

CREEMでいうとMの筋損傷に強くなれると思います。

一方で故障リスクも高いので注意が必要でしょう。
成長と故障を天秤にかけて期待値を出すとなると難しいですね。

峠走なしでも伸びている方は無理に導入する必要はないのかと思います。

頑張ってもなかなか頭打ちから脱出できない方は試してみる価値があるでしょう。
その場合は段階的に導入すること、練習量を増やして十分に筋損傷に強い体を作ってからのぞむことが大事かと。

私は初めて峠走をしたときは1週間くらいふくらはぎのダメージが残って練習の継続性からいうとマイナスでした(当時100kmを8時間台で走れるくらいの実力でした)。
しかし、徐々に回復時間が短くなり、3日くらいで「ちょっと疲れているけどいつも通り練習できる」感覚がもてるようになりました。
導入したての人は「ダメージが大きすぎるから自分にはダメだ」と早急には判断しない方が良いでしょう。

先日偶然にも限界ロングのような練習をしました。これを今の基準として良いでしょうか?

限界ロングについて・・・たまたま講義を聴く前に偶然にも限界ロングのようなことをしていました。
42Kmを走りそんなに苦ではなかったです。
この実施をもって現段階の体力水準チェックとしてもいいでしょうか?
(2/14に実施したので、次は3月に45Kmを考えています)

そうですね。42kmを基準として次に45kmで良いと思います。
(42kmである程度余裕があったようですが、時間的制約などどうしても距離を更に伸ばせないこともあるでしょう。
その場合は42kmを走ったときお余裕度の違いを観察して自分の成長を確認していきましょう)

ブレイク42は2か月のプログラムとありますが、3か月以降のアプローチは同じでしょうか?

このプログラムは2ヶ月ですが、5つの疲労へのアプローチは続けていくものなのでしょうか?
それとも、ある程度続けたら少しペースダウンとするのでしょうか?
(能力維持の簡易性からの質問です)

基本的には3か月以降も同じ考え方で徐々に負荷を高めていくというので良いでしょう。

ただ、このメニューを継続していくうちに目標レースに対して十分な持久力がつき、次はレースペースをいかに速くするか(より速いペースで余裕度を高めるにはどうしたら良いか)が大事になる場面が出てくるでしょう。
そのときはテンポ走、インターバルなどのスピード練習を入れていくことになります。
(第3回セミナー動画のスライドp3あたりでも話しています)

オフシーズン中のトレーニングについて

レース前の3か月はセミナーのメニューを参考にしたいと思いますが、春~夏はどんな感じでトレーニングをすればよいのか、ご教授いただければ幸いです。

春~夏はレースが無いのでオフシーズン(トレーニング少なめ)になるということでしょうか。

本格的にドンドン記録を伸ばしていきたいという場合は春~夏もセミナーと同じ考えで負荷を高めていけば良いでしょう。

少しトレーニングを軽めにしたいという場合でも同じ種目で負荷を少し軽いものにすれば大丈夫です。

もし他のスポーツなどもして精神的リフレッシュがしたいということであればサイクリング、登山はランニングとの相性が良いでしょう。

オフシーズンの目的によって何をしたら良いかというのが変わってきます。
もし上記回答が質問意図にあっていなかった場合はメールいただければ再回答します(春~夏にどうなりたいかという目的を教えてください)。

筋トレ後に晩酌をするのですが、問題はないでしょうか?

夜の筋トレ後は晩酌もするのですが、アルコールとの関連はありますか?

スポーツ的にはアルコールを飲んで良いことはあまりないですね笑
回復も遅くなりますし、トレーニング効果が減少するというデータもあります。
ただ、お酒を控えることがストレスになっては別の問題もでますので、ほどほどにということでしょうか。
(ありきたりな回答ですいません)

提出いただいた中長期プランをみて(小谷の所感)

受講生から個別にいただいた中長期プランをみて、全体でシェアした方が良いかもという内容を記載します。

空腹ロングの距離<限界ロングの距離が一般的

週末のポイント練習の距離をみていると限界ロングの割に空腹ロングの距離が長いという方がいらっしゃいます。
一般的には空腹ロングの方が条件がきついので、補給を自由にできる限界ロングより長く走ることができません。
これを間違えると「限界ロングが楽すぎる」or「空腹ロングが消化できない」のどちらかになる可能性があります。
*実際にはトレーニングを実行したら気づくと思いますが

漸進性の原則は週単位では凸凹があってもOK。大きくみたときに負荷が強くなっていけば良い。

漸進性の原則の「距離は10%増」に厳格に縛られる必要はありません。
スケジュールや体調などもあるので、実際には距離の伸び方がきれいにならないで凸凹が生じるでしょう。
大きな傾向としてきちんと負荷が高くなっていれば、漸進性の原則はきちんと満たされていると考えて良いです。

スピード練習の疲れで距離が伸ばせないときはいったんスピード練習を削るのもあり

スピード練習は負荷が高いため、頑張りすぎると距離を踏む練習が十分にできないケースがあります。
速さも求める実力者にとってスピード練習は大事ですが、期分け的に考えて一時的にスピード練習の頻度を減らす(or無くす)のもありです。

能力維持の簡易性の原則を思い出しましょう。
一時的に持久力アップに集中してから、後でスピードを戻すという選択も頭打ちには効果的です。

トップ選手でも練習を一気に減らすオフシーズンはありますし、そこからの復帰ではゆっくり長くのジョギングから再開します。
そしてスピード練習を徐々に増やして元の実力以上まで復活するのですから。

実際に走りながらポイント練習の強度を微調整していきましょう

プランを作ることは大切ですが、実際にやってみると計画通りにいくとは限りません。
計画を守ることに意固地にならずに、柔軟にメニューの強度を修正していきましょう。
きつすぎては継続できませんし、優しすぎても強くはなれません。
常にそのときどきの実力にあわせてちょうど良い負荷の練習となるように修正を加えていきましょう。

© 2024 小谷修平のランニング講座 Powered by AFFINGER5