トレーニング・練習

脂肪が2倍速で燃えることも。基礎期の練習で持久力と速さの伸びしろを作る

2023年9月26日

今日は基礎期(ゆっくり長く走ることをメインにする練習期間)の価値について考えたいと思います。

みなさんは長期的なトレーニング計画を立てていますか?
その中に基礎期はありますか?
どのタイミングで何週間くらい設けていますか?

私は5月末にあった弘前24時間走が終わってから

  • ねん挫の治療
  • 出産
  • 一家でコロナにかかり入院

など立て続けにおきて、約3か月間あまり走れていませんでした。

赤ちゃんとの新生活にようやく慣れてきた2週間前からトレーニングを再開し、次の目標を決めて長期的なトレーニング計画も作っているところです。

トレーニング計画を作るにあたって、これまで読んできた書籍を読み返したりしているのですが『ベース・ビルディング・フォー・サイクリスト』(トーマス・チャップル 著)は勉強になる一冊です。

これは自転車競技の書籍なのですが、マラソンと同じ持久系のスポーツということで、トレーニングにおける知識・考え方は参考になることが多くあります。

補足

この書籍自体はやや専門的であり、かつ『サイクリスト・トレーニング・バイブル』(ジョー・フリール 著)の理解が前提になっているように思います。

『ダニエルズのランニングフォーミュラ』のような、ランニング運動生理学の専門的な書籍を読んだことのある方が、まず『サイクリスト・トレーニング・バイブル』を読み、更に基礎期の関連情報を知りたいと思った場合に手に取ると良いと思います。

著者のトーマス・チャップル氏はサイクリング、トライアスロンでエリートレベルの選手のコーチングを行っている方です。

24時間マウンテンバイクレースの全米選手権で優勝した選手を指導している経験もあるため、ところどころ私の主戦場のウルトラマラソンでもヒントになりそうな記述があるのも個人的には嬉しいところです。

本書では基礎期(ランナーでいう走り込みの期間)の重要性を解き、有意義な基礎期を過ごして記録を向上するためにはどうしたら良いのかが詳細かつ具体的に書かれています。

ざっくり行動面のポイントをまとめると

  • 目標レースの約24週間前から基礎期をスタートする
  • 基礎期は初心者で16週間、中級者で14週間、上級者で12週間を目安に取り組む
  • 基礎期では呼吸のきつくない、ゆっくりペースでのトレーニングを長時間行うようにする(スピード練習を全くしないわけではない)
  • 基礎期を前期、中期、後期と3つのフェーズにわけ、徐々にトレーニング時間を増やし、強度の高いトレーニングの比率も上げていく
  • 3~4週間に1回は計画的に練習負荷を落として回復する
  • クロストレーニングや筋トレもこの時期に行い、レースが近づくにつれて競技専門的なトレーニングを中心にしていく。
    (例えば基礎期にはスクワットのような一般的な筋トレをして、その後重いギアで自転車をこぐというように筋トレのやり方を一般的→自転車の動作 と変化させていく)

です。

基礎期にゆっくり走ることでどのようなメリットが体に生じるのでしょうか?

*図は『ベースビルディング・フォー・サイクリスト』から引用したものを編集したもの

これは基礎期のトレーニングを正しく行った選手のエネルギー代謝にどのような変化が起きたのかを示したグラフです。
横軸が心拍数、縦軸が1分間あたりに脂肪をエネルギーにした量(kcal)です。

横軸のゾーン2という心拍数は主観的に「楽~適度」と感じるレベルで、会話しながら楽に走っていられるペースです。
トレーニングにより、脂肪をエネルギーとして活用する速度が3.2→6.5kcal/分と2倍に上がっています。

脂肪の燃焼能力はゆっくりペースで効率的に鍛えることができることがわかっています。

脂肪の燃焼能力が上がるとパフォーマンスにはどのような違いが出るのでしょうか?
トーマス・チャップル氏は次のように明快に語っています。

糖質が必要な高強度のトレーニングばかりしていると、糖質が好んで使われるために、脂肪を燃やしにくい体になってしまいます。

もちろん、高強度の練習が必要な時期や局面はあります。
しかし、低~中程度の運動を通じて最初にベース体力を築いておけば、脂肪の燃焼能力を高め、糖質を節約できるようになります。

脂肪を使う比率を高めることで、ハードな運動のために糖質を蓄えておけるようになり、体力の限界値を押し上げることができます。

糖質には限りがありますが、脂肪は豊富にあります。
速く長く走れるようになるためには、糖質を無駄遣いしないようにすることが大切です。

脂肪を燃やす能力を高めるためには、中程度の強度で長時間運動をする必要があります。

つまり、一見すると矛盾しているようにも思えますが、速く走れるようになるためには、ゆっくりと走らなくてはならないのです。

強度の低い運動でも、エネルギーの60%以上が糖質から使われているような選手もいます。

このような数値があてはまる選手は、高強度の練習を頻繁に行い、ゆっくりと時間をかけたウォーミングアップをせずに、バイクにまたがるや否や高速で走り始める傾向があります。

脂肪燃焼がどれくらい重要なのか(鍛えるためにどれくらいの熱量や期間を投資するべきか)は目標レースと選手の現状の能力によってまちまちです。

自分を客観的に分析して「基礎的なトレーニングは十分だったか?」と問うて、半年くらいのスパンでのトレーニングプランを持つことは価値があると思います。

また、ゆっくりペースのトレーニングは脂肪燃焼以外にも、心臓を大きくし、毛細血管を発達させるというようなメリットもあります。

これによって、基礎期が終わってから高強度のトレーニングをしたときに、より速いペースで走れるようになるための伸びしろができます。

トーマス・チャップル氏が練習量が豊富なエリート選手でも基礎期に12週間をあてていることは注目に値すると私は思いました。

本書では、基礎期の食事について「基礎期は脂肪燃焼に重点をおくため、食事での糖質はPFCバランスで50%ほどと、最低レベルまで落とすこともある」と述べられています。
(基礎期を終えたら60%程度まで上げるとのこと)

トレーニングの内容に応じて食事・栄養のバランスを変えるのは『栄養の期分け・栄養のピリオダイゼーション』と呼べますが、自転車競技では主流になってきているようです。

『世界最高のサイクリストたちのロードバイク・トレーニング:ツール・ド・フランスの科学』という書籍でも、ツールドフランスに挑むエリート選手が基礎期に食事の脂質比率を高めることが書かれていました。

私も24時間走が本命のときは糖質制限をしています。

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糖質制限は24時間走という極端な持久系競技のため多くの方には参考にならないかもしれませんが、PFCバランスのCを普段が60%の人が50%くらいまで一時的に下げるというのは現実的ですし、試してみる価値があるように思えます。

まとめると、脂質代謝を鍛えたければ、脂肪をエネルギーにしやすい状況で走ることが効率的であるということになります。

  • 食事の糖質比率を少しおさえ、脂質の比率を高める
  • 空腹状態でトレーニングする
  • 脂質代謝を促進するような成分を摂取する(カフェイン、Lカルニチン、HCAなど)

などはその方法です。

基礎期のトレーニングはゆっくり走ることをじれったいと感じる方には最初は難しいかもしれません。

スピード練習ならではの達成感は味わいにくいですし、一時的にはパフォーマンスが低下したように感じることもあるでしょう。

また、トレーニング時間が長くなる期間ですので、仕事やプライベートの忙しさを考慮して計画的にスケジュール調整していく努力も必要になります。

こういった基礎期ならではの難しさはありますが「これを乗り越えたら後にグングン速くなる楽しい時期が待っている」と期待しながら上手にこの考え方を実践していきたいと思いました。

Catalyst Cardio Performance(CCP)はLカルニチン、HCA、ブラックジンジャーと脂質代謝アップのエビデンスのある成分を配合したマラソンに特化したエルゴジェニックエイドです。

「脂質代謝を鍛えたい基礎期は、脂肪を使いやすい栄養戦略をとることで効率が上がる」という考えからすると、CCPは走り込み・基礎トレーニングのときに有効活用できるサプリといえます。

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