疲労回復・裸足ラン・トレーニング本【井上選手対談その4】

24時間走世界選手権優勝、台湾1周1100kmレース優勝という成績を持つ井上真悟選手。
今回は井上氏にウルトラマラソンの魅力、練習方法、大会攻略方法などについて伺いました。

最終部の今回のメインテーマは疲労のケアについてです。
ウルトラマラソンの魅力【井上選手対談その1】
ウルトラマラソンの練習方法【井上選手対談その2】
ウルトラマラソン大会攻略方法【井上選手対談その3】
疲労回復・裸足ラン・トレーニング本【井上選手対談その4】

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では次は疲労のケアの方法について伺いたいと思います。
良い練習を続けていくには日々のリカバリー(回復)が大事になると思いますが、それについて何かアドバイスはいただけますか?
深堀してしまうといろいろ出て来てしまうので、一番大事な考え方について話したいと思います。
僕の経験の中でも台湾1周1100kmのレースが身体のケアが重要となるレースでした。
1日70kmくらいの距離を2週間毎日走り続けるレースなのですが、実はこれは毎日どれだけ速く走れるかというよりは、その日のゴールから翌日のスタートまでという限られた時間の中でいかに体力を回復できるかという能力が勝敗の大きな要因になってきます。

なるほど、レース中の回復力が勝負になってくると。
はい、ここで回復力=若さというように置き換えてしまっても意味が無いので、回復のための術、知恵について紹介します。
ざっくりと一番重要なことを言うと、とにかく身体の中をしっかりと循環させておく事に尽きます。

実際に台湾でやったことは、まずお風呂(バスタブ)があるときは必ず入浴をして身体を温めて循環をよくしました。
そして同時に水もたくさん飲みました。水分の循環も大事になってきますからね。
ランニングをしない日でも1日合計2Lくらいはこまめに水分補給をした方が良いでしょう。
水分をしっかりとって、尿か汗で身体の外に出すことです。
後は入浴中のマッサージ、入浴後のストレッチもきちんとしていました。

それから内蔵の元気な前半は、台湾って結構香辛料のきいた辛い物があるんですが、そういった辛いものを食べて身体を温めるというのも効果的な循環の方法です。

あと、これは製品の紹介になるんですが、僕はスポーツバルムという保温のオイルを使っています。
ツールドフランスとか、海外のロードレーサーのプロの選手も利用しているものです。
これも実は唐辛子のカプサイシンという成分が入っているので、外から筋肉を温めて循環を良くしてくれます。

他にもお灸でもなんでも良いので、とにかく色々な手段を用いて身体の中の疲労物質を流すことが大事だと思います。

循環というのをキーワードに自分の生活に合ったものに取り組んでいくということですね。
ペースの遅いジョギングも身体の中の循環を良くするのには効果的です。
トレーニングとしてのジョギングとゆっくり回復するためのジョギングを使い分ける事も大事になってきますね。

それから、当たり前ですが食事と睡眠も大事です。
スーパーに入って目に飛び込んでくるようなものは体が本能的に求めている可能性が高いです。
だから概ね食べたい物を食べるというのが簡単だけど良い食事の方法です。
お酒の飲み過ぎには注意して良い睡眠がとれるようにできれば、回復についてはそれで十分だと思います。

なかなか忙しい生活の中ではこうした簡単で当たり前な事もきちんとできない日がでてきてしまいますが、そこにまだ伸びしろがあるということですね。

大事なポイントは概ね伺うことができたので、後は雑談程度に何個かの項目について質問したいと思います。
まず、裸足ランニングについてどんなお考えをお持ちですか?
ここ数年すごいブームになっていますよね。
開放感もありますし、ランニングに重要な上手な骨の使い方の感覚が研ぎすまされますので、凄く良いと思います。
実は僕は昔アウトドアのショップで靴の販売をしていたことがあるんですよ。
靴を売っていた人間の考えとしては、裸足ランニングも良いんですけど、やっぱりタイムを狙うにはランニングシューズを履かないといけないので、正しい靴を選ぶとか中敷を入れるとかそういうことも大事かと思います。

裸足ランニングは今の井上さんの練習メニューには入っているんですか?
僕は練習の中では裸足ランニングはしていないんですけど、日常の中で足裏の感覚を養うような靴を履いたりはしています。

私は裸足ランニングに興味を持っているんですけど、まだ始められていないんですよ。まずはどういったところから始めたら良いと思いますか?
まさにこれから季節的には夏になってきますので、まずはプライベートで通気性の良い裸足ランニング系の靴を使って慣らしていくと良いと思います。
そうした日常的な活動の中で足裏の筋肉の強化と骨を使う感覚が養えたら良いんじゃないかと思います。

では最後にトレーニング本関係の話をしようと思います。何かおすすめの本はありますか?
これは結構有名な本になるんですが、『ダニエルズのランニングフォーミュラ』という本はすごく参考になりますね。

あともう一つが『アドバンストマラソントレーニング』。
これもどういう要素を鍛えていけばマラソンのタイムが伸びるのかということをしっかり整理されていて、指導する方とか本格的に勉強したい方にはすごく良い本だと思います。

ただこの2冊は専門的で一般向けではないと思うんですね。
その点、金哲彦さんの本とかはマラソンに関する知識が無い人でも分かりやすいように噛み砕いて説明していて初心者の人にはそっちの方が身になるのかなと思います。

最初はビジュアルとかも多い本から入っていく方が分かりやすいということですね。
そうですね。
あと金哲彦さんの本と最初に紹介した2冊の本の中間としておすすめしたいのが『21世紀のマラソントレーニング』という本です。
分かりやすさと専門性がバランスよくちょうど中間くらいの位置づけになるのではないかと思います。

何か他にマラソンの記録を上げるという観点でおすすめの本はありますか?
例えば私は練習を継続するためにはどうしたら良いかという点で意志の科学とかの分野は好んでいるのですが。
僕の場合はモチベーションを上げる技術の本ではなくて、それを読むとモチベーションが上がる本を読みますね。
つまり単純にそれを読んだら気持ちが盛り上がるような本です。

どんな分野のものでも良いのでそれを読んでやる気が出て頑張ろうと思う。
そして、その頑張り方の手段は自分の場合はランニングだから頑張って走ろうと思うという感じです。

個人的には『マラソンマン』という漫画が子供の頃に好きだったんですけど、これは凄く泣けておすすめですね。
僕は漫画が好きなのでたまに漫画喫茶に行って読みたい本を読んでやる気を出したりしてます。

本に限らず、音楽や映画でも良いので、何かしら自分の気持ちを盛り上げられる手段を知っておいて用意しておくというのは日々の練習をより良くするためには大事になってきそうですね。