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24時間走・日本代表選手の紹介|荒井秀次さん

こんにちは。
ランニングショップHolosの小谷です。

この記事では、24時間走世界選手権の日本代表選手、荒井秀次さんについてご紹介します。

  • 選手について知ることで、世界選手権の観戦がもっと楽しく
  • 代表選手の強さの秘密を分析することで、皆さんの記録向上のための参考に

そんな記事にできれば良いなと思っています。

52歳・サービス業系の店長が日本代表に

小谷
荒井さん、今日はよろしくお願いします!

荒井
よろしくお願いします!

小谷
まず最初に読者の方に荒井さんがどんな人物なのかを知ってもらい、その後で練習方法とかの話、世界選手権に向けた展望や意気込みなどを質問していきたいと思います。

荒井さんは年齢は52歳でしたっけ?

荒井
はい、1972年生まれで52歳です。
今回の日本代表の櫻庭さんも同じ1972年生まれで、他にも池田さん(弘前48時間走優勝、川の道514km準優勝など)も同い年なんですよ。

小谷
1972年に強い選手が固まっているんですね笑

荒井さんも櫻庭さんも52歳で24時間走の自己ベストを更新して代表に選出さるとは、本当に凄いと思いますし、私もまだまだ頑張ろうと思います。

荒井さんの普段の生活を知りたいのですが、お仕事はどんなことを?

荒井
サービス業系の店長をしています。管理業務なので基本的にお客様と接することはありません。
あとは、外回りで取引のあるメーカーさんに行ったりとか。

小谷
そうなんですね。お仕事の時間帯は不規則になりやすいんですか?

荒井
サービス業なんですけど、意外と私は規則的ではあります。
月に何回かは不規則な時間帯に出勤することもありますけど。

小谷
生活のリズム的にはどんな感じになるんですか?

荒井
朝5時くらいに起きて、早ければ店に行くのが6時とか。それから17時くらいまで店にいるみたいな感じですね。
平日は店のそばに住んでいるので、本当に早ければ17時半とかには走りに行けることもあります。

練習は平日「ジョグ+少しの刺激入れ」と休日2日のロング走

小谷
練習コースは近くに良いところはあるんですか?

荒井
江戸川まで1kmくらいで、平日はそこを走っています。
柴又公園まで往復して15kmちょいみたいな練習をしています。

小谷
江戸川が近いなら、都内の中では恵まれた練習環境ですね。

荒井
はい、走る環境は非常に良いと思います。
練習はペースは決めないで、その日の調子を見ながら気持ち良いペースで走ってます。

15km走った後は近所にエニタイムフィットネスがあるので、30分くらい、ランニングマシンに傾斜を8~10%つけて心肺にちょっと刺激を入れる感じです。
あるいは、流しみたいな感じのことをちょこっと入れたり。

小谷
ロードで1時間半くらい走って、その後にジムで更に30分やるって結構ハードな印象がありますね。

荒井
はい、ロード走ってからそのままジムに行くんで、結構ハードといえばハードだと思います。ただ、僕ポイント練習はやっていないんですよ。

トラックとかで「インターバル練習」みたいなことはやらないで、ジョグの後にさっき言ったジム30分を入れたり、あとはロードを走っているときに途中の1kmだけ3:20/kmを入れたりとか、そういうのが多いですね。

基本はジョグがメインで、途中にちょっとだけ刺激を入れたくて1km疾走するとか、日によっては2km頑張ってみるとか。

小谷
はいはい、なるほどそういうことですね。

荒井
なんか性格的に練習をきっちり決めておいて、それをこなすっていうのが嫌なんで笑

小谷
私、荒井さんのブログを読んでますけど、今聞いて初めて「あぁ、そういう練習をしているんだ」と理解できました。
そこまでブログでは詳細に書いていないですよね?

荒井
あんまりそこまで正確には書いてないかもですね。
たまに「練習のまとめ」とか書いてますけど。

小谷
なるほど、私の中で少し合点が行きました。
ブログを拝見していて、荒井さんってジョグばかりのようなのに、その割には速いペースにも対応できているようで、その速さの秘密は何なんだろうと不思議に思っていたのですが、日々のそういうスピード刺激の積み重ねが効いているのかなと思いました。

ただそれにしても、先ほどから「キロ3分20秒」みたいな言葉が出てましたけど、やっぱりご年齢とかウルトラ中心とかってことを考えると「速いなぁ」と感じます。何か他の理由とか、運動経歴とかって考えられますか?

荒井
僕、中学3年までは陸上部だったんですよ。
当時、3000mで9分30秒とかそれくらいでした。

小谷
その情報も初めて知りました! きっとその時の、速く走るという感覚が残っていて、今に効いているのでしょうね。

フルマラソンでサブ3なら、24時間走で250~260kmもいける

小谷
少し話は変わりますが、主な種目の自己ベストを教えてもらえますか?

荒井
フル 2:39:09 板橋
100km 7:43:28 チャレンジ富士五湖
24時間走 261.280km 弘前24時間走
です。

小谷
100kmのベストはチャレンジ富士五湖ですか。あのコースでこの記録なら、サロマ湖とかならもっと出そうですね。

荒井
そうですね。ベスト出した当時ならサロマ湖でコンディションが悪くなければ、7時間半は切れるイメージでした。

小谷
荒井さんの特徴として、フルマラソンのタイムの割に24時間走(200km~級)が強いように思いますね。

荒井
そうですね。弘前で261kmを出したときも、たぶんフルマラソンの実力でいえば2時間50分~2時間55分とかそれくらいだったと思います。

2025年弘前24時間走 準優勝の荒井さん

だから、僕の感覚ではフルがサブ3くらいの実力があれば、24時間走で250~260kmくらいは全然あると思いますね。
ちなみに、他の代表選手だと、櫻庭さんが2時間40分くらいで、福元さんが2時間20分くらいでしたっけ。

小谷
そうですね。だから、やはり荒井さんは24時間走が特に上手に走れているように思われます。
ご自身の中でその理由みたいなのは思いつきますか?

荒井
う~ん、何だろう。練習としては、土日でまとめて長い距離を走る練習をしよう、とは意識していますけど。

この前のベストを出した弘前は7回目の24時間走だったんですよ。
それで経験も積み重なって、自分なりの補給とかペース配分とかが固まってきた感覚はありましたね。

小谷
うんうん、そうですね。時間走以外にも結構長いの大会で走っていますもんね。
その試行錯誤が活きてきたタイミングだったというのもあるかもしれませんね。

私は大会をかなり絞っている方なので、それだけ連戦するのも凄いなと感じながら見ています。

荒井
僕も年齢が年齢なので、なるべくやれる内に色々チャレンジしたいなと思っていまして。

小谷
大会の入れ方、楽しみ方は人それぞれですからね。荒井さんのように今を大切にガンガン楽しむというのもありだと思います。

荒井さんの強さの秘密?「1日1食」の食生活

小谷
あと、荒井さんの強さの秘密だと私が個人的に思っていることがありまして、荒井さんは「1日1食」の食生活をされているんですよね?

私の見立てだと、1日1食の食生活で脂質代謝(体脂肪をエネルギーとして活用する能力)が高まり、ガス欠しにくく、ウルトラ後半の失速を抑えやすい(失速しても落ち幅が少ない)。という適応が進むと予想しています。

この食生活について、荒井さんが感じていることとかってありますか?

荒井
僕は医学的なこととかは全然分からないんですが、感覚としては良いなと思っています。

僕は大会の日は朝食を食べるんですけど(普段は夜のみ)、それだけでエネルギーが更に高まって、レースでも最初の3時間くらいは給食もいらないし。

あと、僕レースで他の人たちみたいに「気持ち悪くなる」ってことがほとんど無いんですよ。

小谷
胃腸障害が起きにくいというのは、ウルトラを走るうえでは大きなアドバンテージですよね。

私は昔は脂質代謝なんて考えたことが無かったので「食べなきゃ走れない。でも、食べ続けると気持ち悪い」という感じで、ウルトラのキツさの8割は胃腸障害・食べる苦しさだと思っていたほどです。

今回のお話で、だいぶ荒井さんの強さの秘密が見えてきたというか、私の中でつながってきた感じですね。私なりの分析を整理すると

  • ジョグメインの練習の中にも、1~2kmの疾走区間を入れたり、傾斜トレッドミルで高強度の刺激を継続している
  • 大会をただ走るのではなく、本気で挑み、試行錯誤を繰り返す中で自分にあった方法を見つけている
  • 1日1食の食生活で脂質代謝が高い体質になっている

という感じです。

団体戦のメダル獲得を目標に

小谷
最後に、世界選手権へ向けた今後の展望を教えてください。

荒井
基本的にはこれまでのルーティンを続けていくつもりです。

平日は15kmジョグ+トレッドミルで刺激入れ。

土日は2日で合わせて75~100kmくらいのロング走。
ペースは決めずに時間軸で考えて、とにかく「長時間、脚を動かすことを繰り返す」イメージを持っています。

小谷
ボリューム重視の練習ですね。

荒井
はい、今までこれで上手くいってきたので、そこを崩さず積み重ねるのが大事だと思っています。

あと、自分ひとりの練習では、なかなか距離を増やすのが難しい部分もあるので、そこは大会を活用しようと思っています。

8月の『“富士山”山麓一周フットレース』と9月の『平塚の12時間走』を出走する予定です。

特に平塚の12時間走は「世界選手権の前半をどれくらい積極的に走って良いか」を試すような走りをしたいと思っています。
自分の中で、24時間走をもう少し前半からつっこんでみたいなという気持ちもあるので。

小谷
月間のボリューム的にはどれくらいになりそうですか?

荒井
月間走行距離で500~600kmくらいですね。
僕は土日は必ず走りますけど、平日の5日間のうち2日は休む感じにしています。

やっぱり年齢的にも回復に時間がかかるのもあると思うので。
「走りたくないな」って感じるときに無理すると故障してしまうかもしれないし、休むときはきっちり休むようにしています。

小谷
休むのが苦手という人も多いですから、それは素晴らしいことだと思います。

あと、練習の方法としては、荒井さんは結構1回1回はハードめに走って休むときは休むタイプ。
逆に私は軽めの練習を高頻度(週10~12回)でやるタイプなので、対照的で面白いなと感じました。

自分にあった自分なりの攻略法を見つけていくのが楽しいですよね。

今回の世界選手権の目標を教えてもらえますか?

荒井
団体戦でメダルが獲りたいですね! それが一番です。

僕の個人の走りとしては261kmを出した弘前の走りを修正して、色々な条件が揃ったら270km近くまでいっているイメージはあります。
それが今回の世界選手権なのかは分からないですけど。

団体戦としては、やっぱり若い福元さんや小谷さんには攻めた走りをして欲しいと思っていますし、櫻庭さんも多分前半から行くと思うんですよ。

そうした中で自分が4番目のところで誰か一人欠けたとしても大丈夫みたいになればと。
僕が250kmとか250km後半とかはしっかり守って、それが多分団体のメダルに効いてくるのかなと。

小谷
私も団体戦のメダルを一番の目標にしています。大会まで引き続き頑張りましょう!
今日は貴重なお時間をありがとうございました!

荒井
ありがとうございました!

Rising Sun 24では、今後も日本代表選手の紹介記事を更新していく予定です。
ぜひ引き続き本プロジェクトにご注目ください!

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▼荒井さんのブログ『ちょっとウルトラ』
https://ameblo.jp/arai1218

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