食事・サプリ・栄養学

マラソンとインスリンショック|糖質摂取に関する注意点

2018年10月20日

ランナーとインスリンショック|GI(グリセミックインデックス)と糖質摂取の注意点

先日、東京のランニングチームであるリンクフィットネスさんの『フルマラソン完走プロジェクト1周年イベント』に特別講師として参加してきました。

今回私は栄養関係のセミナーを担当。
特にシナリオは用意せず、その場で参加者の方々と対話しながら関心の高い項目について説明していくという流れにしました。
マラソン大会前日の食事、当日の朝食、レース中の補給という順に質疑応答していきました。

レース中の補給の話になるとよく出てくる質問がインスリンショックに関することです。
「血糖値が急に上がりやすい食品や飲み物は摂らない方が良いですか?」
「GI値(グリセミックインデックス:血糖値の上昇のしやすさを示す指数)を気にした方が良いですか?」
など。

この質問者の意図は以下のようなことが理論的に言われることがあるためです。

血糖値が急に上昇すると、血糖値を下げるホルモン(インスリン)が一気に分泌される。
過剰に分泌されたインスリンが逆に血糖値を下げすぎてしまい、低血糖となる。
低血糖になるとクラクラしたり集中力が落ちて走るのが苦しくなる。
なので、レース中は血糖値を乱高下させにくい補給をしよう=低GIがおすすめということ。

GI値が高い(85以上)とされる食品には例えばブドウ糖、ショ糖(砂糖)、はちみつ、食パン、もちなどがあります。
上記の理論が正しいとすると、これらの高GIな食品は避けた方が良いということになります。

しかし、私の考えとしてはレース中の補給ではインスリンショックは気にしなくて良いと思っています。
なぜかというと、運動中は交感神経が活性化することでインスリンの分泌が抑制されるからです。

私自身もレース中は高GIな補給をガンガンしていました。
GI一覧表をざっと見たところ、個人的には高GIなものの方が好んで補給していた気がします。
そういえば、24時間走のライバルもやたらとブドウ糖を摂取していました。

そんな補給をしていても私自身はインスリンショックと思われる症状にはなったことがありません。
他の方の体験談でも走っている時に高GIで逆にダメになったという話はあまり聞いたことがありません。
(30名近くいたこの日のセミナー参加者にも該当者はいませんでした)

ではランナーとインスリンショックが無関係かというとそうではありません
インスリンショックにならないと考えられる理由が運動をしていることによる交感神経活性化でした。
よって

  • スタートの30~45分前
  • ウルトラマラソンなどで長時間しっかり休む場合(30分~)

の糖質補給には注意した方が良いかと思います。

もしスタート前にどうしても糖質補給がしたいとなったらスタート30~45分前は避けて、1時間半ほど前に食べ終えるように調整しましょう。
(ある程度血糖値やインスリン濃度が落ち着いてからスタートできるため)

どうしても1時間半前までに食べ終えるのが難しい場合はGI値の低い食品にすることで低血糖になるリスクを減らすことができます。
低GIな食品の例:オールブラン(シリアル)、リンゴ、グレープフルーツ、果糖

ただし、果糖は吸収が緩やか=消化管に残りやすく、大量に食べると胃腸障害のリスクがあるので、それはそれで注意が必要です。

話をまとめると

  • 走っている最中の補給はインスリンショックはあまり気にしなくて良いと私は考えています。
    個人的なウルトラマラソンでの経験でいうと逆に高GIの方が好みだった。
  • スタート30~45分までの糖質補給はインスリンショックに注意が必要

ということです。

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