記録が頭打ちしている方への自己ベスト更新のためのヒント
新澤英典さんは51歳で走歴は10年。
今年の神宮外苑24時間走では214.472 ㎞と2年連続で自己ベストを更新されました。
*写真撮影:ウルトラプロジェクトメンバー
走歴が10年ともなり、年齢的にも50代となると記録の頭打ちやそもそも体力を維持するのも大変という方もいるのではないかと思います。
実際に先日私のお客様に行ったアンケートでは「頑張ってもタイムが縮まらない」とか「記録がここ数年頭打ちしている」という悩みが多く寄せられました。
新澤さんが今なお成長を続けられる理由は何なのか?
考え方の特徴などウルトラマラソンに限らず多くの方に役立つと思った要素を選んで紹介したいと思います。
(今回は練習や補給などのノウハウについては触れていません)
振返りが早い
新澤さんはランニングポータルサイトのウルトラランナーへの道を運営されている方です。
そのブログの中でいつもご自身が参加された大会の振返りを行っています。
その振返りがとても迅速で丁寧というのは大事なポイントだと思います。
人の記憶は簡単に書き換えられてしまいます。
そして、書き換えられたということに無自覚であるケースが多いです。
- 情報的な記憶はすぐに不確かになってしまいます。(大会中に○○した、練習で○○に違和感があったなど)
- 感情的な記憶もすぐに不確かになってしまいます。(大会中に○○と感じたなど)
すると、同じミスを繰り返したり、偶然発見した良いことを再現できなかったりします。
例えば私がきちんと大会直後にメモをして役に立ったことの例。
メモ
「(24時間走の)22時間あたりでかなりキツくてペースも落ちていたけど、その時ハイペースで走っていた○○さんに抜かれたタイミングで追いかけてみたら10分もしないうちに元気が出てきた。
遅ければ楽とは限らないらしい。
自分の暗い気持ちが更にキツイと感じさせる。
苦しい時は強気で押し切るというテクニックもあるのだろう」
この偶然の発見をきちんとメモをしたことで、大会終盤や勝負所で強くなりました。
(私の2016年神宮外苑の完走記を見てもそう感じます)
時間が経ってからだと思い出せなかったかもしれませんし、思い出せたとしてもあやふやで「次回もキツイときにペースアップしよう」なんて大胆に行動できなかったと思います。
大会や練習の後はできるだけすぐにメモを取る習慣をつけると良いでしょう。
試行錯誤をやめない
走歴が長くなるにつれて自分なりの理論ができてくると思います。
それがベストな理論ならOKですが、そうでなければ考えの硬直化=成長の阻害要因となります。
この点、新澤さんの試行錯誤は私も尊敬するほど凄いと思います。
例えば今年の神宮のブログを見るとシューズ1つとってもかなり考えられているんだなと分かります。
シューズ以外にもウェア、サプリ、その他アイテムなどかなりの数を試されて自分の感覚を大切にして評価されています。
人によって合う合わないがありますので、自分の感覚をベースに自分で決めるというのが重要です。
より効果的に試行錯誤するためのポイントは何でしょうか?
そもそも改善しようにも「何を試してみようか」という着眼点がなければ始まりません。
この着眼点を得る方法の1つとして良質な完走記を読むことがあります。
例えば今回の新澤さんのブログで得た私の着眼の1つは「靴擦れが起きなかった」をテーマに取り上げられた記事での「シューズとソックスの組み合わせ」でした。
勉強不足でお恥ずかしいのですが、正直私は「シューズ」「ソックス」「保護クリーム」などを単体でしか見ておらず、その組み合わせの結果どうなるのかという着眼はなかったんです。
でも、このブログを読むことで新しい考えができて、更なる成長につながる可能性がでてきました。
真剣に取り組んでいる方の体験レポートをきちんと読むとこういう学びが隠れていることが結構あります。
短時間で網羅的に理解するのに役立つまとめサイトとは違った良さがありますね。
完走記と同様に良質な練習記録も読むと普段のトレーニングや体のケアなどで良い着眼が得られるでしょう。
ランニングを楽しむこと
つい先日、神宮を終えてから新澤さんとお話する機会がありました。
その時に神宮の大会のことをとても楽しそうに話してくださった姿がとても印象的でした。
自己ベストも更新できたので、それは嬉しかったのは当然でしょうね。
こういう話を聞くと私も嬉しい気分になってきます。
ここまでで紹介したすぐに結果を振返るとか試行錯誤を重ねるというのも全て原動力はこのランニングを楽しんでいるということなのではないでしょうか。
『論語』の中にこんな一説があります。
之を知るものは之を好むものに如かず
之を好むものは之を楽しむものに如かず
知る者は好んでやる者に及ばない。
好んでやる者は楽しんでやる者に及ばない。
紀元前の昔からずっと人類の知識として愛読されているということは、これもきっと真理なのでしょう。
また、国内唯一のプロ・フリーダイバーとして素潜りのアジア記録を樹立した篠宮龍三氏はこのように語っています。
『最初はこのダイビングという競技を純粋に楽しんでいたのに、いつの間にか結果を求めて自分を縛ってしまっていた時期がありました。
けれどもそんな次元では、競技を心底楽しんでやっている人にかないません。』(致知 2017年12月号p49より抜粋)
もしあなたも同じようにランニングに窮屈さを感じていたとしたら、楽しさの方にもう一度目を向けてみませんか?
私たちは好きで走っている市民ランナーなのですから。
まとめ
以上、自己ベストを出し続ける新澤さんから私が学んだことでした。
ポイントは
- 振返りが早い
- 試行錯誤をやめない
- ランニングを楽しむ
でしたね。
試行錯誤のところで良質な完走記を読んで着眼を増やそうと書きました。
例えば新澤さんの今年の神宮の記事を読んでみてはいかがでしょう?
私たちの読み方次第で学べることはいくらでもあると思います。
ウルトラ以外の方にも役立ちそうで特に良いなと思った記事を抜粋してリンクを以下にはりますね。
- ランニングシューズについての記事
- ソックスとの組み合わせについての記事
- ランニングフォームと後半のペースダウンについての記事
自分も楽しんで来年度こそは良い記録出すぞ~!