食事・サプリ・栄養学

長く走っても疲れにくい「強い脚」の作り方

2025年12月20日

こんにちは。
ランニングショップHolosの小谷です。

フルマラソンやウルトラマラソンで後半もグングン進める「強い脚」。
月間600kmの練習でも淡々とこなせてしまう「強い脚」。

これは多くのランナーにとって永遠のテーマではないでしょうか。

今日は「そもそも強い脚とは何か?」「どうすればそれを手に入れられるのか?」について、私自身の経験と科学的な知見を交えながらお話していきたいと思います。

筋肉質な太ももを誇っていた頃の私

大学院時代の私は、毎月600〜700kmを走り込んでいました。

当時の写真を見返すと、太ももは筋肉の形が浮き出るような強靭そうな脚をしていて、体脂肪率は6~7%台。

当時の私視点では見るからに「速そう」「強そう」な脚をしていました。

一方、2024年に36歳で24時間走の自己ベスト(264.509km)を更新したときはどうだったかというと、体脂肪率は10%、体重は当時より2~3kg軽く、脚は太ももからふくらはぎまで全体的に明らかに細くなっていました。

写真で脚の筋肉だけを比較したら、おそらく誰もが大学院生時代の方が速くて強そうに見えるでしょう。
レッグプレスで脚の筋力を測っても、大学院生のときの方が上だったはずです。

しかし、実際には36歳の細い脚の方が、ランニングにおいては「疲れにくい脚」でした。(パフォーマンスは高く、同じ練習負荷の練習をより楽に消化できるようになっていました)

なぜでしょうか?

以前の私が信じていたこと

かつての私は、こう考えていました。

「ランニングでは、着地の衝撃で筋肉が物理的に壊れるから疲れる。
だから、壊れにくそうな屈強な筋肉を持っている人が、疲れにくい脚を持っている。
そのためには、とにかく長い距離を走り込んで鍛えることが大事だ」

栄養面でも、走るためのエネルギーとして炭水化物をしっかり摂り、筋肉の材料としてタンパク質を十分に補給することが第一だと思っていました。

もちろん、これらは部分的には正しいです。練習を重ねて体を鍛えることは基本中の基本ですし、炭水化物もタンパク質も必要です。

しかし、スポーツ科学や栄養学を学び、自分自身がランナーとして成長してきた経験を統合すると、このイメージには大きな見落としがあったことに気づきました。

スポーツ栄養学の書籍で見つけた意外な事実

その見落としに気づいたきっかけは、スポーツ栄養学の書籍を読んでいたときのことでした。

筋損傷の軽減に関する研究を調べていると、それまで考えてもいなかった「ビタミンCやビタミンEなどの抗酸化物質」と「筋損傷」の関係を調べているものが多いことに気づきました。

そして、その効果が確からしそうだと私は思うようになっていきました。

例えば、激しい運動の前からビタミンEを投与した研究があります。

この研究では、ビタミンEを摂取したグループは、血中のクレアチンキナーゼ(CK)値—筋損傷の指標—の上昇が抑えられたという結果が出ています。

他にも、水素水を飲んだグループで筋疲労による筋力低下が抑えられた研究や、ビタミンCを摂取しながらウェイトトレーニングをしたグループで筋肉量の増加が大きかった研究など、抗酸化物質と筋肉の関係を示すエビデンスは数多く存在します。

それまで書籍などではあまり勉強したことがなく、スポーツショップやランナー仲間、ブログなどを中心に情報収集していた私にとっては、目から鱗の事実でした。

活性酸素と炎症が筋肉を傷つける

では、なぜ抗酸化物質が筋損傷を軽減するのでしょうか。
当ブログでは度々登場していますので、今回は簡単におさらいしましょう。

ランニングで筋肉が損傷する原因は、物理的な衝撃だけではありません。

走っている間、私たちの体内では大量の活性酸素が発生しています。
活性酸素は、ミトコンドリアでエネルギーを作り出す際の副産物として生まれます。

フルマラソンやウルトラマラソンのような長時間の運動では、ミトコンドリアがフル稼働するため、活性酸素も大量に発生します。

この活性酸素が、筋細胞の膜やミトコンドリアを傷つけ、筋肉の機能低下や疲労につながっているとスポーツ科学の分野では考えられています。

さらに、運動による筋損傷が起きると、体内で炎症反応が生じます。

筋肉痛は分かりやすい炎症ですが、それよりも微細で自覚症状がでないレベルでの炎症も日々の練習などで発生しています。

炎症は損傷した組織を修復するために必要な反応ですが、過剰な炎症や慢性的な炎症は、かえって回復を遅らせ、パフォーマンスを低下させる原因となります。

つまり、「強い脚」を作るには、走り込みで物理的に鍛えるだけでなく、活性酸素による酸化ストレスを抑え、炎症を適切にコントロールすることが重要といえます。

お客様の血液検査でも確認できた効果

抗酸化・抗炎症物質の効果は、お客様からの報告でも確認できています。

以前からお世話になっている内科医ランナーの吉田明弘先生から、興味深い報告をいただきました。

吉田先生は2023年以前、フルマラソンを走るとCK値(筋損傷の指標)が700〜900程度まで上昇する傾向にありました。

しかし、Catalystサプリを継続使用した2025年、50km走(キロ6分19秒ペース)の翌日に測定したCK値は331。

フルマラソンより長い距離を走ったにもかかわらず、以前の半分以下の数値に収まっていたのです。

提供いただいた血液検査のデータ(左は以前のもの、右がCatalystを継続するようになってからの50km走後データ)

吉田先生ご自身も「驚いたことにいつもの筋肉痛がなく、不思議な感じがした」とおっしゃっていました。

このように、主観的な感覚だけでなく客観的な血液検査の数値としても、抗酸化・抗炎症対策によって筋損傷が軽減されていることが確認できています。

吉田先生のデータについて、より詳しくはこちらの記事をご覧ください。
『【医師の実例】50km走でCK値331!筋損傷を半減したリカバリー』

私自身の経験:慢性炎症を減らして得たもの

私自身も、炎症を減らすことの重要性を身をもって経験しました。

2024年1月から、遅延型フードアレルギーの検査を受け、反応が出た食品(グルテン、乳製品、卵など)を除去する食事法を始めました。

それまでの私は、原因不明の不調(強い眠気、頭のボヤボヤ、鬱っぽい気分など)の日が突然やってきたり、走り始めに下肢に激しいかゆみが生じたりと、様々な不調に悩まされていました。

検査結果を受けてこれらの食品を除去したところ、体調は劇的に改善。
そして、この食事法を始めた2024年は70km、24時間走で自己ベストを達成する印象深い年となりました。

体内の慢性的な炎症を減らしたことが、筋肉の回復力を高め、パフォーマンス向上に大きく貢献したと感じています。

私のように明確な症状(原因不明の不調)を持っている人はまれかもしれません。
しかし、特定の食品が体内で炎症を引き起こし、それがパフォーマンスに影響している人は少なくないのではないかと思います。

次のセクションで触れますが、小麦を控えることで内臓の調子が良くなったというトップランナーもいます。

日常でできる抗酸化・抗炎症対策

では、具体的にどうすれば良いのでしょうか。

食事からのアプローチ

まずは「彩り豊かな食事」を心がけてみてください。
野菜や果物の色は、含まれる抗酸化物質(ファイトケミカル)の種類を表しています。

オレンジ、赤、黄、緑、紫...様々な色の食材を組み合わせることで、多様な抗酸化物質を摂取できます。

ビタミンCを多く含む赤ピーマン、ブロッコリー、キウイ。
ビタミンEを含むナッツ類やアボカド。これらを意識的に取り入れましょう。

抗炎症の観点では、青魚(サバ、イワシ、サンマなど)に含まれるオメガ3脂肪酸が効果的です。
週に3〜4回、魚を食べることを心がけると良いでしょう。

自分に合っていない食品を控える

炎症を減らすという観点では、「何を食べるか」だけでなく「何を食べないか」も重要です。

私の場合は遅延型フードアレルギー検査を受けましたが、そこまでしなくても、自分の体に合っていない食品の仮説を立てるくらいはできると思います。

最近ランナーズの記事で拝見したのですが、例えば、曽宮道さん(45歳でつくば2時間19分で準優勝。ウルトラも実績豊富)は、「可能な限り小麦を摂取しないように心がけたところ、内臓の調子が良くなりました」と語っていました。

「特定の食品を食べた後に調子が悪くなる気がする、疲れる気がする」

「なんとなく内臓の調子が優れない、お腹が張ったり、便の状態が変わる」

という方は、試しにその食品を3〜4週間控えてみて、変化があるか観察してみるのも一つの方法です。

サプリメントの活用

食事だけで十分な量を摂取するのが難しい場合、サプリメントも有効な選択肢となります。

特に、フルマラソンやウルトラマラソンを目指すような高い練習負荷をかけているランナーの場合、必要量が通常の人よりも多くなります。

抗酸化物質はに関する研究の多くは2週間以上継続して摂取することでその効果を検証しています。
よって、即効性を期待するのではなく、日常的な習慣として継続することが大切だと思います。

特に、40代以降は体内の抗酸化能力が低下していくことが分かっているため、抗酸化物質の補給がより違いを生みやすくなると言われています。

「強い脚」を再定義する

ここで、「強い脚」とは何かを改めて考えてみたいと思います。

多くの人は、強い脚とは「タンパク質がたくさんあって、太くて、発揮できる力が大きい筋肉」だと考えるかもしれません。

もちろん、それも間違いではありません。

しかし、より高い練習負荷に耐え、フルマラソンやウルトラマラソンを快走するための「強い脚」には、もう一つの側面があります。

それは、損傷に強く、回復が早い脚です。

走り込みでタフな筋肉を作ることと、抗酸化・抗炎症で健康な細胞を持った筋肉を作ること。

この両輪が揃って初めて、42.195kmを、そして100kmを走り続けられる脚が完成します。

大学院時代の私に足りなかったのは、まさにこの視点でした。

何歳からでも、強い脚は作れる

抗酸化・抗炎症という視点を持つことで、誰もが今より強い体を作ることができます。
そこに才能は関係ありません。

40代以降でも、50代、60代になっても、適切なケアを続けることで、走り続けることができます。
それは、Holosのお客様たちが結果で証明してくださっています。

私たちの体は、思っている以上に適応力があり、そして回復力があります。

ぜひ、今日からの食事や生活習慣に、抗酸化・抗炎症の視点を取り入れてみてください。

今日もお読みいただき、ありがとうございました。

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