こんにちは。
ランニングショップHolosの小谷です。
今日は「加齢による衰えに負けずに、記録を伸ばしていくためには何が重要か?」というテーマで考えていきたいと思います。
Holos通信の読者は40-60代の方が多く、皆さん程度の差こそあれ、何かしら加齢による衰えを感じたことがあるのではないでしょうか。
定期的に運動をしている市民ランナーの皆さんは、世間一般からするとかなり健康で体力的にも充実していると思います。
しかし、フルマラソンの記録を目指すなど、高い理想をもっている方なら
- スピードが以前のように出せなくなってきた
- 練習の疲労が抜けにくくなってきた
- 記録の頭打ち、記録が年々低下していく傾向にある
など、悩んでいることもあるかもしれません。
私自身は37歳で、まだ皆さんよりは若い方かもしれませんが、それでも20代の頃と比べたら「無理が効かなくなった」と感じることはあります。
体や環境の変化にあわせて、上手くやる技術を身につけないとなと思っています。
さて、年齢によって衰える傾向があることは生物である以上仕方がないことですが、一方でHolosのお客様の中には
- 50代後半になって、過去最高レベルの練習を継続できているという方
- 60代になってもウルトラの自己ベストや最長距離を更新中という方
- 還暦になってからもサブ3など高い競技力を維持できている方
というようなお客様も大勢いらっしゃいます。
今日はそのようなサクセスフルエイジングを体現しているお客様の事例をみながら、その秘訣について学んでいきましょう。
なお、今回ご紹介する若林さんと西坂さんのエピソードは、以前『お客様の活躍事例集(2023年度版)』という冊子を作成した際にお寄せいただいたものです。
桜井さんのエピソードは2023年に取材した記事からの引用になります。

加齢と練習の関係:より良い練習ができれば記録につながる
加齢に負けずに記録向上を目指すアプローチは大小さまざまありますが、その中でも最も基本となるのは、質の高い練習を継続的に積み上げることだと思います。
もちろん、練習負荷を抑えながらもレベルアップするためのメニューの工夫なども考えられます。
ただ、やはりベースとなる練習負荷(量×質)をできるだけ維持し、できれば向上させることで、より確実に強くなれるのではないでしょうか。
しかし、加齢によって多くのランナーが直面する課題があります。
それは「疲労が抜けにくくなる」ということです。
同じ練習をしても若い頃より疲労が残りやすく、回復に時間がかかる。
その結果、練習の頻度を上げることが難しくなり、ロング走などの負荷の高い練習も以前ほど積めなくなってしまいます。
練習負荷が落ちれば、当然フィットネス(体力)の向上も頭打ちになり、むしろ維持することすら難しくなります。
逆に言えば、回復力を高めることができれば、年齢に関係なくより高いレベルの練習を継続でき、記録向上の可能性が広がるということです。
58歳で月間600kmを実現:若林さんの挑戦
若林智代美さん(58歳・女性)。52歳時に大阪国際女子マラソンで3時間6分38秒という素晴らしい記録をお持ちですが、その後コロナ禍や体調の問題もあり、しばらく満足のいく走りができない時期が続いていました。
明確な目標と課題
若林さんの目標は、令和7年の大阪国際女子マラソン出場とサブスリーの達成。
そのためには令和6年3月の篠山マラソンで3時間7分切りが必要でした。
過去のレース展開を分析すると、課題は明確でした。
22km以降で失速する傾向があったのです。
若林さんはこう振り返っています。
「これまではスピード練習主体で月間走行距離が350〜400km弱。ゆっくりと長い距離を走ることをしていなかったことが早い時点での失速原因であり、その必要性を気付かされました」
そこで若林さんは決断しました。
「月間走行距離600kmに挑戦する」と。
58歳という年齢での挑戦と葛藤
仕事の日はアップダウンコースで20km、もしくはヒルトレーニング。
仕事の休みの日は1回の走行距離を30〜40km。
このような練習計画を立てましたが、58歳という年齢を考えると大きなチャレンジでした。
若林さん自身、こう語っています。
「疲労が蓄積し故障するのではないかと不安がつのり実行不可能と思われた」
まさにこの瞬間は多くのランナーが直面する壁です。
「やりたい練習があるのに、回復力が追いつかない」という葛藤です。
そんな若林さんは、Holosと出会い、商品や情報を活用しながら次のような素晴らしい練習をやり遂げることに成功しました。
充実した練習の実現
篠山マラソン前の練習は以下のように充実したものになりました。
走行距離
- 1月:639km
- 2月:430km(レース前の調整のため少なめに)
- 3月:639km(40〜42kmを7回、30kmを5回)
58歳で、それまでの月間350~400km弱から600km超へ。
しかも、40km超のロング走を月に7回というのは、私も驚きです。
これは多くの若いランナーでも簡単にはできない練習量でしょう。
レース結果と今後への希望
このときの篠山マラソンの結果は3時間12分51秒。
国際資格取得という当初の目標には届きませんでしたが、練習の成果は確実に現れていました。
ヒルトレーニングの効果を実感し、集中力も高く保てた。
そして何より、「次のシーズンに希望が見える走りができた」と若林さんは語っています。
若林さんは現在も目標に向かって前進し続けています。
58歳でこれまでの限界を超えて、月間600km超の練習を継続できた。
これは単なる数字以上の意味があります。
「まだ成長できる」「まだ挑戦できる」という希望そのものです。
若林さんが具体的にどのような工夫をして、この練習を実現したのか。
その詳細は「お客様の活躍事例集」(6-10ページ)に掲載しています。

西坂さん:疲れをためずに距離を踏み、福島ジャーニー122kmの部優勝
西坂剛さん(40代男性)も、加齢による回復力の低下を実感していた一人です。
「加齢のせいか、ウルトラに向けたロング走はもとより、日々のジョグでも疲労が溜まる状態で中々距離が踏めなかった。
その為、超長距離に挑む体が出来ておらず、100kmオーバーの距離に対する恐怖心が強かった」
フルマラソンでは2時間50分前後で記録が停滞し、ウルトラに方向転換。
2022年に柴又100K一般の部で優勝した実績を持つランナーです。
西坂さんの目標は福島ジャーニーラン122km。
レースに向けた課題意識は
「日々の疲労を抜く方法、そして疲れを貯めずに距離を踏める方法の確立」
でした。
西坂さんはHolosと出会い、商品やセミナーを活用して、試行錯誤しながら大会を目指しました。
結果、福島ジャーニーラン122kmの部で優勝を果たしました。
西坂さんはこう語っています。
「距離を踏んだから大丈夫、(プラシーボでも)これを摂取しているから大丈夫、等の心の支えになるものがレース中の折れないメンタルには必要なのかと思っています。
その為にも、日々疲れを貯めずしっかり練習/準備することが大事だと感じています」
メンタルの強さは、日々の練習の積み重ねから生まれる。そしてその練習を支えるのが、回復力だと実感されています。
西坂さんの詳細なエピソードは「お客様の活躍事例集」(55-56ページ)に掲載されています。
62歳でコースベスト更新:桜井さんの事例(2023年取材)
桜井さん(62歳・男性)は、今年、野辺山、奥武蔵、サロマとすべてコースベストを更新し続けています。
特に印象的なのが津南ウルトラマラソンです。
2020年から3年連続リタイアしていた大会で、今年ついに初完走を果たし、11時間57分40秒でサブ12を達成しました。
桜井さんは走歴も長く、ウルトラも初心者というわけではありません。
それでも62歳で、まだまだ成長し記録を更新していき、「次はどんな走りができるか楽しみ」とマラソンに熱中しています。
桜井さんの強みは、知識のインプットに熱心で、変化を恐れずに新しい試みに積極的にチャレンジする姿勢です。
食事法(ファスティング)、サプリメント、レース中の補給の見直し、走りのフォーム改善など、様々な角度から自分の走りを進化させ続けています。
桜井さんのメッセージには、こんな言葉がありました。
「来週に63歳となりますが、今月末の奥武蔵・秩父ジャーニーラン147kmが楽しみです」
63歳で147kmが楽しみ。
姿勢次第で、ランニングは何歳になっても成長や発見の喜びがあるのだと思います。
桜井さんの詳細なエピソードはこちらのブログ記事でご覧いただけます。
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62歳男性、3年連続リタイアの津南ウルトラを初完走。今年は野辺山、奥武蔵、サロマとすべてコースベスト更新中
先週末に「累積標高日本最大級のチャレンジングなコース」という津南ウルトラマラソンが開催されました。 この大会に参加したお客様から素晴らしい結果の報告が届いたので、ご本人の許可をいただいて掲載させていた ...
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リカバリーを改善する方法
今日ご紹介した3人の方々に共通するのは、回復力を高めることで、年齢に関係なくより高いレベルの練習を継続できるようになったということです。
リカバリーを改善するには、生活習慣全体を見直すことが大切です。
リカバリーの3大要素は「睡眠」「栄養」「メンタル」です。
- 睡眠時間の確保と質の向上
- バランスの取れた栄養補給、悪い食習慣の軽減
- ストレスマネジメントとメンタルケア
これらの要素を改善する具体的な方法については、先週配信したメルマガでも解説しました。
下記のブログに転載していますので、ぜひご覧ください。
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体力のポテンシャルを伸ばす。リカバリー3大要素を見直そう
こんにちは。ランニングショップHolosの小谷です。 今日は皆さんの走力のポテンシャルを左右する要素である『リカバリー』について考えてみたいと思います。 著名な自転車競技のコーチであるジョー・フリール ...
続きを見る
まとめ:何歳になっても成長できる
今日ご紹介した若林さん、西坂さん、桜井さんの事例から、年齢に関係なく過去最高レベルの練習を継続し、記録を向上させていくことは可能であることがわかります。
その鍵となるのがリカバリー能力です。
より良い練習ができれば、記録につながります。
そして、より良い練習を継続するためには、疲労からの回復力が不可欠です。
睡眠、栄養、メンタルといった基本的な生活習慣の見直しから始めて、ご自身にあったリカバリー法を見つけていってください。
何歳になっても成長する楽しみや、自分の可能性に期待する日々を諦めないでほしい。
これがHolosの想いです。
加齢による変化は避けられないかもしれませんが、それでも工夫次第でまだまだ伸びしろはあります。
58歳で月間600km。
40代でウルトラに転身し、100kmや122kmで優勝。
62歳でコースベスト更新を連発。
これらは決して特別な人だけの話ではありません。
私たちも、彼らに習って、自分を信じて日々挑戦していきましょう!
さらに知りたい方へ
今日ご紹介した若林さん、西坂さんをはじめ、Holosのお客様の事例を「お客様の活躍事例集」としてまとめました。

- 若林さんの詳細なエピソード(6-10ページ)
- 西坂さんの詳細なエピソード(55-56ページ)
- その他、様々な年代・課題を持つランナーの事例
彼らはどうやって回復力を高め、過去最高の練習を実現したのか? その具体的な方法と、試行錯誤のプロセスが詳しく書かれています。