ウルトラマラソン

食べられない、吐き気、トイレ。ウルトラのトラブルを私が17年の試行錯誤で克服した話

こんにちは。
ランニングショップHolosの小谷です。

先日のメルマガ(Holos通信)で『チームHolos2025年ウルトラ秋の陣! サポート企画』と称して、挑戦する皆さんからの質問やお悩みをアンケートで募集しました。

お忙しいところ熱心にご回答いただいた皆さん、ありがとうございました!

ただいま、順次回答をご用意しているところです。

質問を分類してみると特に

  • 起伏あるコースの攻略方法
  • 眠気対策
  • ペース配分の考え方
  • 故障の予防方法、早期回復方法
  • そもそもの走力の高め方

などの項目が目立ちました。

質問を読んでいく中で、私自身も理解がまだ不十分であることなど、探究の課題を発見することができました。

また、「今後希望するサービスは?」の質問では

1位:リアルな対面セミナー
2位:オンラインコース(体系的な知識を動画などで解説していく講座。双方向性は少なめ)
3位:オンラインセミナー(zoomなど双方向性高いもの)

といった声もお寄せいただき参考になりました。

「メルマガや郵送のニュースレターで知識は十分に満足しています」との声も届いており、これには私としては嬉しさとともに「現状の情報提供を超えて、更に皆さんに成果を出していただくには、どのようなサービスにしていけば良いだろう?」と次のステップへの想像を促してもらえました。

ウルトラリタイアの最大の原因は吐き気・嘔吐

さて、今回のテーマはアンケートで最もお悩みが多かった「胃腸障害」について、これまでに何度も触れてきましたが、改めて再検討してみたいと思います。

こちらはお客様からのコメントです。

40代男性/フル3:00~3:19/100マイルトレイルを笑顔で走り切りたい!

とにかく長い距離を楽しくトラブルなく走りたい。私にとっての楽しくないトラブルは胃腸関係です。
食べれない、飲めない、吐き気、下痢。

胃腸関係のトラブルは食べる物やタイミング、量など色々と人体実験していますが、まだまだ自分に合ったやり方を見つけられていません。

(中略)

絶賛子育て中でなかなか60キロ以上まとめて走る時間がなく実験したくてもできない状況にストレスも感じています。
体に合う食べ物は日頃から意識して探しています。

Holosさんのサプリメントで胃腸障害に良いサプリメントもあるみたいなので試してみたいのですが、なかなかできていません。

このように胃腸障害の苦しさに悩むこと、食べられないことで体が動かなくなってしまうことは、多くのウルトラ挑戦者が経験しています。

『TRAINING ESSENTIALS FOR ULTRARUNNING』(JASON KOOP 著)によると、あるアメリカの100マイルトレイルで完走できなかった人にその最大の原因を問うと「吐き気・嘔吐」と回答する人が一番多かったそうです。

私も昔は悩んでいましたが17年の試行錯誤でほぼ解消しました

私もウルトラマラソンを2008年から走っていますが、胃のムカムカ、吐き気、食べたくない、食べれないという症状にはずっと悩まされてきました。

しかし、今ではこのような悩みは自分の中ではかなり解消できていて、不安要素では無くなりました。

私はどのようにして胃腸障害を克服したのでしょうか?

この17年間でたくさんの試行錯誤をしてきましたが「特に大きな示唆を与えてくれた経験」として次の2つがあります。

①糖質制限の食事にチャレンジしたこと
②経口補水パウダーを使うようになったこと

①糖質制限の強烈な体験から得た示唆

①の糖質制限の食事は2017年秋ごろに取り組みを始めました。

その年の24時間走世界選手権で優勝した石川佳彦さんが糖質制限の食事をしていると知り、自分も試してみようと思ったのがきっかけでした。

教科書的なスポーツ栄養学を勉強していた私としては「糖質制限なんかしたらエネルギーが湧かないし、筋肉も分解されて体作りができない」と最初は思っていたのですが、事実として石川選手が結果を出していることを受け入れて「ひょっとしたら何かあるかもしれない」と半信半疑で試したところ、体に驚くような変化が現れたのでした。

※私はその前に1回糖質制限にチャレンジして失敗しており、2回目は書籍を読み込んで成功することができました。チャレンジする方は勉強して、心が納得してから始めることをおすすめします

結果につながったのは2018年11月の神宮外苑24時間走。
ここで私は255kmを走って3位になりました。

自己ベストまであと1kmという好記録で、何より驚いたのは胃腸障害が全くなく、これまで悩んでいた24時間走の苦しみの8割から解放されたような走りができたことでした。

このとき、私は従来の半分の補給食でガス欠なく走り切ることができました。

食べないでも走れる体作りの力=脂質代謝のウルトラへのインパクトの大きさを実感し、その後の私の考え方に大きな影響を与えた出来事でした。

その後私は食生活や練習方法など色々と試行錯誤しながら、今は糖質制限はしないでも十分な脂質代謝を獲得できる方法を見つけてそれを継続しています。

これまでも何度も紹介してきた方法なので、今回は簡単に私が脂質代謝のために実行していることをまとめておきます。

  • 毎日の基本的な練習を早朝の空腹ランニングにする(従来はエネルギー不足状態で走ることは禁忌にしていた)
  • 60~70kmくらいのロング走でも空腹ランニングで行う(慣れに従って徐々に距離を延ばしていく)
  • Catalyst Cardio Performanceを毎日7粒(朝4夜3)飲んでいる(脂質代謝に実績ある成分をブレンドしている)

これをただ1か月、2か月、3か月...半年...1年...と継続していく。それだけで誰でもかなり高いレベルの脂質代謝を獲得できると思います。

また、空腹状態で走ることが基本になると、レース本番でも朝食抜きでスタートすることができるようになります(食べない方が体が軽くて快適に感じるように)。

私はレース当日の朝食抜き(もちろんレース会場についても食べない)にすることで、レース中のお腹の快適さが更に増し、トイレ(大)にも24時間走で1回も行かなくて済むようになって本当に満足しています。

脂質代謝を高める取り組みは「成果が出るまで期間がかかる」ことが多くの人にとってネックだと思います。

言い換えると、信じて地道に継続できる人には大きなチャンスが開かれていると言えます。

私にとっては2017年の秋、スパルタスロンを石川選手が快走したのを現地で見たことがチャンスに手を伸ばそうとするきっかけでした。

この記事が一人でも多くの方にとって、チャンスのきっかけとなれば良いなと個人的には思っています。

②経口補水パウダーの使用「塩分補給は大事」の理解を深化させる

胃腸障害克服の大きな出来事の2つめが『②経口補水パウダーを使うようになったこと』です。

これはシンプルに低ナトリウム血症を予防できるような補給方法を発見した(気づいたという方が適切かもしれません)ということです。

学生時代の私は「塩分補給が大事」ということくらいは理解していましたが

「では、具体的にどれくらいの塩分を補給しないといけないの?」
「そもそも塩分不足だとどんな症状が出るの?」

ということを理解していませんでした。

ウルトラの距離になると、スポーツドリンクだけ飲んでいると低ナトリウム血症になるなんて頭にも浮かびませんでした。

「スポーツドリンクは濃すぎるから薄めて飲んだ方が良い」という説を信じているくらいでした。

何がきっかけだったかは忘れてしまいましたが、あるとき定量的に塩分補給の必要量を自分で計算して、「今までの補給じゃ全然足りないじゃん!」と気づきました。

そこで塩分補給を定量的にするようになり、便利なアイテムとして経口補水パウダーを使うようになりました。

すると、これまで悩んでいた吐き気系のトラブルの相当ケースが解消されましたし、疲れにくくなりパフォーマンスも歴然とした違いが出てくるようになりました。

その後、経口補水パウダー信仰にはまってしまい、逆に塩分過多になったりする失敗も経験しましたが、色々と実験を繰り替えていき、今では水分1Lの摂取に対して塩分を2.3~2.5gを目安にするという方針で固まっています。

私の場合、この定量的な目安に従っていれば、大きくバランスを崩すことが無く、仮に崩れかけても症状から判断して臨機応変に濃度を調整していけば正常に戻して復活することができます。

発汗による塩分の喪失量は個人差がありますので、2.3~2.5g/Lが誰もに共通するわけではありません。

ただ、「塩分補給が上手くいっていないかも」「これまであまり濃度は考えてこなかった」という方はまずは私と同じ目安で試してみて、そこから実験を繰り返して微調整していけば最速で自分にあった目安を見つけられると思います。

目安を見つけるための質問は「どんな濃度で塩分補給をしていったら、その結果として何キロ地点で(あるいは水分を何リットル飲んだくらいで)塩分不足or塩分過多になったのか?」です。

(塩分不足と塩分過多の症状が分からない方は検索したら出てきます)

話をまとめるとこうなります。

  • 脂質代謝は私にとって想像以上のインパクトがありました→ぜひ皆さんも長期的な視点で開発してみてください
  • 適切な塩分補給は胃腸障害やパフォーマンスに大きく影響します→自分の定量的な目安を過去の経験とこれからの実験で推定していくことが成功への道です。

最後に、ウルトラの胃腸障害に特化したサプリとしてCatalyst Athlete Enzyme(CAE)のご紹介をします。

CAEは補給食に含まれる栄養素(糖質、脂質、タンパク質など)を分解する消化酵素が詰まったサプリです。

ウルトラマラソンのような過酷な状況でも元気な胃腸をキープ。
補給を食べ続けられるようになることで、ガス欠なくレースを快走できるようにとの狙いから開発したサプリです。

人の体は食べ物(大きな塊の状態)を消化酵素によって小さな分子へと分解することで体内に吸収することができます。

この小さな分子に分解していくことを消化といいますが、運動中は胃腸の機能が低下するため十分に消化することが難しくなります。

消化が不十分なまま栄養素が胃に長く残留したり、腸へ流入してしまうと胃腸障害(吐き気、ムカムカ、食欲不振、下痢、アレルギー症状など)の原因となります。

上の動画はCAEが本当に食べ物を分解しているのかを確認した実験動画です。

(片栗粉(糖質)という大きな分子がCAEを入れてかき混ぜることでわずか1分程度で液状=小さな分子になることが検証できます)

CAEを摂取することで動画のように食べ物が自動で素早く分解されていくので、体の消化吸収の負担が軽減されます。

【ウルトラの胃腸障害で悩む方のCAEの使い方】
①レースの1週間程度前から前日まで。お腹スッキリな状態でスタートするための調整として
夕食前に4粒

②大会当日
朝食前に4粒
レース中は4時間ごとに4粒ずつ

レース中に「気持ち悪い」「食べたくない」となってしまうのは、胃腸からの「そんなに飲み食いされても、こっちはもう受け付けられません! ただでさえ運動中で仕事がしにくいのに!」という自然なメッセージです。

CAEはそんな胃腸の仕事の一部をサポートして負担を軽減するのに役立ちます。

ウルトラマラソンは筋肉だけでなく、胃腸にとっても過酷なスポーツです。
ぜひCAEで体の内側のコンディションも整えて挑戦してくださいね!

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