こんにちは。
ランニングショップHolosの小谷です。
前回は「秋からのマラソンシーズンが記録を狙えるワクワクしたものになるように、ベースビルディング(基礎作り)を今から始めましょう」というテーマでお話ししました。
秋からの記録更新を目指すランナーにとって、夏の基礎期はとても重要な時期です。
大会まで期間のある今の季節はモチベーションが低下しがちですが、「今年は過去最高の基礎を作るぞ!」と積極的に考えれば、日々のトレーニングのやる気も湧いてきます。
今回はベースビルディング実践編ということで、トレーニングや栄養面で具体的に何を意識すれば良いかを一緒に考えていきたいと思います。
ぜひ最後までお読みいただいて、今日からのトレーニングの参考&意欲向上にお役立てください。
空腹ランニングで脂質代謝スイッチをONに
私がこの時期に特におすすめしたいのが「早朝の空腹ランニング」です。
「朝は涼しいから走りやすい」
「生活リズムが整いやすい」
「日中の活動で自制心が消耗していないから継続しやすい」
そんな利点もありますが、最大のメリットは「脂質代謝の活性化」です。
空腹ランニングとは、前の食事からある程度時間が空いてエネルギーが枯渇気味な状態で行う練習です。
つまり朝食前に走ることがこれに当たります。
空腹状態の有酸素運動では、「AMPK(AMP活性化プロテインキナーゼ)」という酵素が通常の運動よりも活性化されやすくなることが分かっています。
このAMPKが活性化すると、脂肪酸の取り込みや分解、ミトコンドリアの新生などを促進し、持久力の向上に関わる化学反応が促進されます。まさに持久力向上スイッチです。
空腹状態で運動すれば、より効果的にこのスイッチを押すことができるとイメージしてもらえれば良いかと思います。
このようなメカニズムが働くため、空腹ランを続けることで脂質をエネルギーとして使いやすい体に変わっていくと考えられています。
これは、フルマラソンやウルトラマラソンのような膨大なエネルギーを消費する種目において、後半の失速を予防する強烈な武器となります。
私の元には、空腹ランニングを実践して成果が出たお客様からの報告が度々寄せられてきます。
大まかな傾向としては
- 1~2か月くらいの継続で空腹状態で走ることへの抵抗が無くなる
- 2~3か月くらいで空腹状態で走ることが快適になり、取り組みへの手ごたえを感じはじめる
- 4~6か月後の大会では以前より後半に強くなったと成果に現れ始める
という感じです。
今年の1月にはこんなメッセージが届きました。
勝田マラソンで自己ベスト3:21→3:19を更新できました!
空腹ランニングを6か月続けてきた成果もあり、小谷さんのブログを参考にして朝食抜きでフルマラソンをスタートしました。
ガス欠の不安もありましたが、実際には全然問題なくて、むしろお腹の負担が少ないので快適に走れました!
小谷より補足:
後日、こちらのお客様より「いつもよりこまめにジェルを補給できました。ガス欠にならなかったのはそのおかげもあるかもしれません。」との追加情報をいただきました。私の個人的な解釈ですが「いつもよりこまめにジェルを補給できた」というのは、朝食抜きにすることで胃腸のコンディションが良い状態で走れたからという面もあるように思います。
空腹ランで脂質代謝アップ→空腹で走ることへの慣れ&自信がついて朝食抜きでフルに挑戦できた→胃腸のコンディションが良い→レース中に補給する余力が生まれる
というイメージです。
無理せずコツコツ続ければ、空腹ランニングは再現性のある成功方法だと私は直感しています。
もちろん、「空腹で走るなんて大丈夫なの?」と心配な方もいると思います。
最初はいつもの距離の60〜80%でも構いませんし、暑さ対策として時間は短めでもOKです。
あくまで「無理なく」「継続できる」範囲から始めてみたら、何かが変わるかもしれませんよ。
週間ボリュームを見える化してみよう
ベースビルディングで忘れてはならないのが「週間の有酸素運動時間(=ボリューム)」です。
ペース(強度)よりも、まずは「どれだけ動いたか?」を重視することで、ベース期に必要な身体的適応を引き出しやすくなります。
目安としては、前月から週あたり3〜10%くらいのボリュームアップから始めるのが理想です。一気に増やすと故障のリスクが上がるので、少しずつ、理性的に。
また、空腹ランニングを新しく始めたばかりの方は、それに適応するだけでも身体に負荷がかかります。
その場合はむしろ週間ボリュームが10〜20%くらい下がっても気にしないで良いと思います。
空腹ランニングがキツく感じる方は、それだけ低エネルギー状態で動くことに伸びしろがあったという見方をしてみるのがおすすめです。
秋までまだ時間はあるのですから、焦らず、確実に「土台をつくる」ことを意識しましょう。
夏場にボリュームを増やすコツはペースを落として頻度を増やすことです。
夏のジョギングは、走ることの疲労に加えて「体温調整」のストレスも加わってきます。ペースを落とすことで「体温調整」のストレスが軽減でき、走力向上のための良いストレスを体にかけやすくなりますよ。
なお、上級者(フル3時間10分以内など)の方はジョグのペースがあまりに遅すぎると刺激不足になってしまうケースもあると言われています。
実際に時間効率という面で見ると、確かにある程度の走力になってくると「高速ジョグ」と言われるような速めのジョグの方が良いかもしれません。
このレベルの方に関しては、自分の走力と相談しながら、体の適応を見て判断してほしいと思います。
ただ、私はフルを2時間45分くらいで走りますが、スロージョグに専念しても効果があった実感があります。そのときのエピソードはこちらのブログで紹介しました。
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クロストレーニングでもボリュームは増やせる
もしランニングの頻度や距離に限界を感じている方は、自転車を活用するのもおすすめです。
クロストレーニングとして、心肺や持久力を鍛える効果は十分にありますし、着地衝撃が少ないので故障リスクも低くなります。
屋内ならエアコンの効いた環境ですし、屋外でもランより暑さを感じにくいのが良い点です。
私自身も、今年の夏はクロスバイクを積極的に活用しようと考えています。
食事は「健康的に」が基本。意欲があればPFCも
ベースビルディング期だからといって、特別な食事が必要なわけではありません。
基本は、風邪をひかず、日中の元気もあり、トレーニングも継続できている。
そんな「健康的な状態」を保てていればOKです。
ただ、さらに意欲がある方は「PFCバランス(タンパク質・脂質・炭水化物の比率)」を見直してみるという選択肢もあります。
厚生労働省の推奨PFCバランス(2020年版)は、P=13~20%、F=20~30%、C=50~65%。
実際の日本人の平均はC=55~60%あたりと言われており、脂質代謝にとってはやや高めの傾向です。
ベースビルディングでは、炭水化物をやや控えめ(C=45〜50%)に設定することで脂質代謝の向上を目指すアスリートもいます。
もちろん、急に極端に変える必要はありませんが、ひとまず自分の現状を把握しておくことくらいはしても良いかと思います。
現在はAIツールなどを活用すれば自分のPFCバランスを把握することは比較的簡単にできます。
例えば、ChatGPTに以下のようなプロンプトを入力したら推測してくれます。
以下は1日の食事内容です。こちらから、PFCバランスの概算値を予測して。
【朝食】
・ごはん 白米 茶碗2杯
・目玉焼き 1個
・サラダ(キャベツ、トマト) *牛丼屋のサラダくらいのサイズ。マヨネーズつき
・納得 1パック【昼食】
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ベース期におすすめのサプリメントの選び方
最後にベースビルディング期のサポートに適したサプリメントについて検討したいと思います。
この時期に意識したいのは、以下のような体の適応です。
- 脂質代謝の向上
- 毛細血管や心臓の発達
- 筋肉、骨、腱などの耐久力アップ
このような適応を促進する成分や練習の継続を支えてくれる回復系の成分が役に立つと言えるでしょう。
Catalyst Cardio Performance(CCP)は、これらの適応を支える成分を複合的に含んだ、まさに「ベースビルディング期」に相性の良いサプリです。
例えば
- LカルニチンやHCAによる脂質代謝サポート
- CoQ10やブラックジンジャーによる心肺・血管機能のサポート
- 高いトレーニングのボリュームからの回復を支える抗酸化成分
CCPを毎日7粒(朝食後4粒、夕食後3粒)を摂取することで、栄養面からベースビルディングをサポートし、秋の記録向上につなげていくことができます。
今回のアクションプラン
今回はベースビルディングを具体的に進めるための提案をしてきました。
最後に、今日からできる行動を3つご紹介します。
- 早朝の空腹ランニングを試してみましょう。
慣れないうちは距離・時間は短くても大丈夫です。 - 週間の有酸素運動の目標時間を設定してみましょう。
過去の練習記録を振り返り、無理のない範囲で+3〜10%程度の目安で。
(初空腹ランの方は逆に少し減ってしまっても大丈夫) - ペースを落とす、頻度を増やすなど、ボリューム確保の工夫をしてみましょう。
このように計画的に考え改善を試みることで、成長につながり、日々の練習から得られる達成感も大きくなっていくはずです。暑くて走りにくい季節ではありますが、引き続き頑張りましょう!
次回は、「9~10月のウルトラを目指す人向けのベースビルディング」をテーマにしようと思っています。
お楽しみに!