こんにちは。
ランニングショップHolosの小谷です。
今日は24時間走世界選手権の部門の1つである『団体戦』についてご紹介したいと思います。
24時間走は個人競技でもありますが、実は団体競技・チームスポーツとしての魅力もあります。
いや、むしろ私としては、24時間走という競技は「人とのつながり」という側面が魅力の大きな部分を占めていると言っても間違いではないと思っています。
24時間走の「人とのつながり」:
- レース当日の会場全体(選手、スタッフなど関係者全員)の一体感
- 選手とハンドラー(専属サポート:後日別で記事にするかもです)
- 大会を通じて増えていく友人、一緒に練習する仲間
など、24時間走を始めた人はこれから競技を通じて色々な絆を感じることができるでしょう。
さて、今回のテーマである団体戦について解説していきたいと思います。
団体戦のルール:記録上位者3名の合計を競う
世界選手権の国別の団体戦は以下のようなルールで順位が決まります。
- 各国の選手は男女それぞれ最大で6名までで構成(日本は男女4名ずつが出走。男子団体戦と女子団体戦の2つがあります)
- 記録上位者3名の記録(距離)を足し算し、その合計が団体としての記録となる
例えば
選手A 260km
選手B 255km
選手C 250km
選手D 245km
ならば、260+255+250=765kmが団体の記録になります。
※ちなみに各国選手個人としては最大で男女9名まで出走できるようです。ただし、団体戦としては事前に6名を登録し、その6名が対象となります。
過去の日本チームの記録|男子・女子それぞれの推移
以下に過去の日本チームの記録と順位をまとめておきます。
日本男子チームの記録
開催年 | チーム記録(km) | 順位 |
---|---|---|
2023年 | 719.578 | 6位 |
2019年 | 735.871 | 7位 |
2017年 | 786.463 | 1位 |
2015年 | 684.054 | 11位 |
2013年 | 752.567 | 2位 |
2013年は私が選手として出場したときの記録です(私も男子の2番手として記録に計上されました)。
2017年は石川佳彦(個人でも優勝)、高橋伸幸、楢木十士郎の3選手の記録で、たぶん日本チームとして過去最高の記録だったのではないかと思います。
この3選手は24時間走男子代表選手の中でもタレント的な実力者であり、2017年ごろは3選手とも競技力的にピークに近い状態だったと思います(もちろん、これから次のピークが来る可能性も秘めています!)。
その後は子供ができたり、競技をいったん離れて家族との時間を大事にしたりと、少しずつ生活スタイルが移ろっていった彼らですが、きっとこの記録は次の世代の目標となり、日本チームを更なる高みへと導く足掛かりとなるでしょう。
日本女子チームの記録
開催年 | チーム記録(km) | 順位 |
---|---|---|
2023年 | 702.911 | 2位 |
2019年 | 654.446 | 6位 |
2017年 | 662.208 | 5位 |
2015年 | 522.721 | 16位 |
2013年 | 705.582 | 2位 |
前回と前々回の世界大会のデータによると、女子チームとしては700km(3名の平均で233.3km)が表彰台ラインになりそうです。これを超えているのは過去に2回。
2023年は仲田光穂選手が世界記録(270.363km)を出してチームとしても大きく伸びました。
仲田選手はこの記録を「団体戦で勝ちたい」という団結心があったからここまでのパフォーマンスを発揮できたと語っていました。これが24時間走の熱くて、深くて、面白いところです。
2013年は当時の女子世界記録保持者である 工藤真実選手が252.205kmで女子個人で優勝しています。
チーム戦とはいえ、やはり個人で表彰台に上るようなエース級が実力を発揮することでチームの記録は伸びる傾向にあります。
そのプレッシャーたるや、私には思い及びませんが、きっと2025年も日本女子は持ち前の団結力で頑張りぬいてくれるでしょう!
過去の世界選手権のデータ|表彰台ラインと日本代表の勝ち筋
こちらは前回(2023年)の世界選手権の団体戦のトップ3の記録です。
男子チーム
順位 | 国名 | 距離(km) |
---|---|---|
1位 | リトアニア | 813.368 |
2位 | ポーランド | 787.964 |
3位 | イギリス | 772.127 |
女子チーム
順位 | 国名 | 距離(km) |
---|---|---|
1位 | ポーランド | 726.552 |
2位 | 日本 | 702.911 |
3位 | チェコ | 697.275 |
リトアニアは男子世界記録保持者のソロキン選手が301.790kmと圧倒的な走りでチームとしても優勝。
リトアニアの2,3番手の選手も1986,1987年生まれとまだ若く、今年も優勝候補のように思いました(まだエントリーリストが出ていないので未確定ですが)。
ただ、エース1名に依存すると不安定という弱みもあります。
こちらは2019年大会(2025年と同じフランス・アルビで開催)のトップ3です。
男子チーム
順位 | 国名 | 距離(km) |
---|---|---|
1位 | アメリカ | 799.754 |
2位 | ハンガリー | 782.241 |
3位 | フランス | 779.076 |
女子チーム
順位 | 国名 | 距離(km) |
---|---|---|
1位 | アメリカ | 746.132 |
2位 | ポーランド | 721.124 |
3位 | ドイツ | 696.846 |
今から6年も前なので顔ぶれが変わっているため、世界選手権のチーム記録はこれくらいという参考に使うのが良いと思います。
日本チーム男子としては、780km(3名の平均で260km)が表彰台ラインというところでしょうか。
記録は当然コンディションに左右されますが、今回の内定選手の3名(私、荒井選手、櫻庭選手)は260kmを超えた記録を出していますし、福元選手も過酷なコンディションの大会で253kmをマークしています(そして、若いので更に大化けする可能性も)。
選手個人では表彰台に立てるほどのタレントは(現状の記録から判断すると)いませんが、チームとして個人の総和以上の力を発揮すれば、メダルを獲得できる可能性は十分あると私は考えています。
日本チーム女子としては、700km(3名の平均で233.3km)が表彰台ラインでしょうか。
前回優勝のポーランドは層が厚く、エースのBereznowska, Patrycja選手は2024年にPBを263.178kmまで伸ばしており、やはり優勝候補筆頭のように思えます。
たまにタレントが勢ぞろいして凄い記録で優勝をさらっていくアメリカもエントリーリストによっては注目です。
2024年は元世界記録保持者のHerron, Jacquelyn Camille選手が263.004kmまで記録を戻しており(PBは270.116km)、2024年は240km以上をマークしたアメリカ女子選手が4名もいます。
日本女子選手たちが団体戦としてはどのような展望を描いているのか、今後のインタビューなどでヒアリングしていこうと思いますので、引き続きご注目ください。
応援の楽しみ方|団体戦を知ればもっと面白くなる
今日は24時間走世界選手権の団体戦についてご紹介しました。
当日のアップデートをみたら個人戦の方が注目されがちですが、団体戦についても意識すると楽しみがグッと広がると思います。
速報で団体戦の記録がどう表示されるのか(自動で集計されるのか)などはまだ分かりませんが、ぜひまずはその存在を覚えていていただけると嬉しいです。
私たち選手は周回コースを走りながら、何度も同じチームの仲間とすれ違います。
普段は競争相手だった人が、今回は一緒に戦う仲間になっているのです。これって何だか熱くなりませんか?
Rising Sun 24では、引き続き24時間走に関する情報を配信していきます。
ぜひご注目いただき、あなたのランニングの世界が広がり、豊かになっていったら嬉しいなと思います。

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