こんにちは。
ランニングショップHolosの小谷です。
前回、前々回とベースビルディング(基礎作り)をテーマに書いてきました。
-
-
フルマラソンに向けた夏の準備|ベースビルディング(基礎作り)の目的と進め方
こんにちは。 ランニングショップHolosの小谷です。 7月に入りましたが、皆さんは今月の練習計画は立てましたか? 月末月初というのは、先月を振り返り、次の1か月の計画を立てるのにちょうど良いタイミン ...
続きを見る
-
-
フルマラソンのための夏の基礎作り|空腹ランで脂質代謝を鍛えよう!
こんにちは。 ランニングショップHolosの小谷です。 前回は「秋からのマラソンシーズンが記録を狙えるワクワクしたものになるように、ベースビルディング(基礎作り)を今から始めましょう」というテーマでお ...
続きを見る
前回までは秋のフルマラソンで記録を出したい方向けの内容でしたので、今回はウルトラマラソンの場合はベースビルディングをどう捉えるのかについて、考察していきたいと思います。
季節的には9月下旬〜10月中旬にウルトラマラソン(主に100km)を予定している読者の方が多いと思います。
なので、今回は、9〜10月のウルトラマラソン(主に100km)を予定している、完走経験者〜完走を目指すレベルの方に向けて、「この時期にどんな基礎づくりが有効か?」をお伝えしていきたいと思います。
元世界王者、井上選手の「逆転の夏」

2018年神宮外苑24時間チャレンジ表彰式。左から2人目が井上選手。
ウルトラにおけるベースビルディングについて書こうと思ったとき、私の中で真っ先に浮かんできたエピソードがあります。
2018年11月11日。私は神宮外苑24時間走で255kmを走り3位に入りました。
そのとき、私の前を走っていたのが井上真悟選手。
2010年の24時間走世界選手権で優勝者した、元世界王者です(PB 273.708km)。
彼はその年、(記憶によると、6月ごろから)アキレス腱を痛めていて、ほとんど走れなかったそうです。
そんな彼が大会まで残り3~4か月となった夏から計画した練習メニューは実に興味深いものでした。
まず夏場。彼はジムのバイクで30~40分間の全力漕ぎ、息継ぎなしのスイムなど、徹底して心肺機能を追い込むような高強度の練習に専念しました。
9月からはランニングの練習を再開し、持久力に主眼を置いたトレーニングに一気に切り替えます。
当然ながら、ランニングという動作が久しぶりであることと、夏場はスピード練習メインで長時間をまとめて動くトレーニングをしていなかったため、最初は脚が重かったようです。
しかし、夏に高めた心肺機能やLT(乳酸性作業閾値。無理なく出せるスピードの限界点)のおかげでペース自体には余裕があり、練習回数を重ねながら距離を伸ばしていくことで、最終的には「長い距離を楽に速く走る」というトレーニング目標を達成しました。
その結果が、神宮外苑24時間走での準優勝(260km)でした。
一方で私は、故障なく夏から順調に距離をこなせていたのですが、最終的には「ジョグペースの速さ」というウルトラのまさにベースともいえる能力で井上選手に差をつけられてしまい、3位という結果に終わったのでした。
「ウルトラ=とにかく距離」と思われがちですが、「楽に走ったとき、それがキロ何分か?」というスピードの余裕度もまたウルトラの鍵だとこのとき痛感しました。
ウルトラのベースビルディングは「スピード練習」

2019年24時間走世界選手権。スタート前の二人。
一般的に「ベースビルディング」というと、有酸素運動のボリュームを稼いで、土台をつくる時期ですよね。
フルマラソンであれば、ジョグ中心で距離を稼ぐことが基礎作りにつながります。
しかし、ウルトラマラソンの場合はちょっと違った見方をすることもできます。
というのも、ウルトラマラソンでは基本的に本番が「ジョグそのもの」だからです。
(100kmを7時間台とかで走るレベルになると、「ジョグ」という感覚とは少し違ってくると思いますが)
つまり、大会の1か月半~2か月前くらいには「ゆっくり長く走る」練習をたっぷり行うことになります。
だからこそ、今の時期(7月〜8月 上旬から中旬)にこそ、LTなどを高めるスピード練習を入れておくという戦略も考えられます。
速さへの余裕度はどのレベルの人にとっても武器になる
ここまでの話を聞いて「私は100kmの完走が目標なので、スピードはいらないのでは?」と思った方もいらっしゃると思います。
しかし、完走目標というレベルのウルトラランナーにとっても、「スピードに余裕がある」ことで、大きなメリットがあります。
- 楽に走っても貯金ができるので、制限時間のプレッシャーが減る
- 補給やトイレでロスしても、タイムを取り戻せる余裕がある
- ペースに対して余裕があるほど補給したときに胃腸障害になりにくい
逆に言えば、「スピードの余裕がないと、制限時間のプレッシャーがかかり、補給やトイレなどを落ち着いてしにくく、トラブルや気温などの影響でDNFになる可能性が高まってしまう」とも言えるでしょう。
だからこそ、(目標レースの日程によりますが)この7月~8月上旬から中旬にかけては、スピードの余裕度向上をテーマに据えた取り組みを試してみるというのがおすすめです。
暑い時期でも取り組みやすいスピード余裕度を高める練習
とはいえ、7〜8月は気温も高く、キツいスピード練習を安定して継続するのはなかなか難しいですよね。
ウルトラ的ベースビルディングに使える期間もそれほど長くはないので、1回1回を失敗せずに確実に走力向上につなげたいと思うはずです。
そこでおすすめなのが当ブログでは同じみの「ファルトレク」です。
ファルトレクとはペースを変えながら走るスピード練習。
気温や体調に合わせて柔軟に調整できるのが最大の利点です。
【おすすめメニュー例】
ウォームアップ 15分ジョグ
(5分:ハーフマラソン感覚のスピード + 2分:ジョグ)× 5〜6セット
クールダウン 10分ジョグ
*疾走区間の目安は心拍ゾーン4の下〜中あたり。暑さの中で安全に追い込めるラインです。
*「ハーフマラソン感覚」としているのは、実際のスピードは暑さでフルペースくらいに落ちることもあるため。
この時期は途中で給水や水かぶりをできるかによっても、耐えれる負荷が変わってくるでしょう。
自分の環境に応じて、終わったときに「気持ちよく追い込めた」と思えるくらいが理想です。
無理せず、でも週に1回はこのようなスピード練習にチャレンジしていけると良いですね。
秋に向けて、ロングジョグへ移行
10月中旬ごろが大会の場合、8月下旬〜9月に入ったら、「走行距離そのもの」を伸ばしていく時期になります。
(9月下旬が大会なら、8月上旬に入る頃にシフト)
ここからは、以下のような移行を意識してみてください。
- 週末ロングジョグの距離を段階的に伸ばす(30km → 35km → 40km……)
- 日々のジョギングは心拍ゾーン2〜3を目安に、「楽に長く」を追求する
- スピード練習はペースを落とし、持続時間を長くする(「楽に速く」という感覚の高速ジョグをスピード練習的に使うのがおすすめです)
この移行がスムーズに進むためにも、
今のうちに「楽に速く走れる体」を作っておくことが大切です。
夏のウルトラ的ベースビルディングにおすすめのサプリ
今回のテーマのような「暑さの中でも失敗リスク少なく、確実にスピード練習を完遂したい」という場合には、特に中枢性疲労(脳が運動にストップをかけること)への耐性を高めていくことがポイントです。
アダプトゲン(ストレス耐性を高めるハーブ類)がこの目的には合致します。
Catalyst Spirits(CS)はロディオラロゼアやエゾウコギなど、抗ストレス・集中力サポートの成分を配合。
VO2maxを高めるというエビデンスのある冬虫夏草やスピルリナも配合しており、ウルトラのベース期のトレーニング目標とも親和性が高いです。
秋のウルトラに向けてベースビルディングを成功させたいという方は、短期集中で1袋(45日分。6000円)からCSを使用するのはおすすめの活用法です。
朝食後と夕食後に5粒ずつ摂取してください(1日10粒)。
また、ベースビルディングが終了したら、ロングジョグをしっかりこなすウルトラ専門練習のフェーズに入ります。
このときは高めたい能力が脂質代謝などの持久力系にシフトしていきますので、サプリもCatalyst Cardio Performance(CCP)に移行すると練習×栄養のシナジーがバッチリの戦略といえるでしょう。
今回のアクション
最後に、今回の内容をもとに「今すぐできること」をご紹介します。
- 目標大会までの残り期間を計算し、ベースビルディング(スピード練習)をどこまでやるかを計画する
- 週に1~2回、ファルトレクを入れてみる。
(ハーフマラソン感覚のスピードで5分走る → 2分ジョグ) ×5〜6回。
気温に合わせて柔軟に負荷を調整しましょう。継続性と頻度が大事です。
この時期のスピード練習が、秋のロングジョグの質を高めてくれます。
「楽に走っているはずなのに、以前より速い」
そんな走りができたとき、夏の努力が報われたことを実感できるはずです。
この夏の過ごし方が秋の充実度を決めると思って、コツコツ取り組んでいきましょう!
今日もお読みいただき、ありがとうございました!