EMU 6 Day Race2018 学んだこと

EMU 6 Day Race2018 学んだこと

2018年5/3~9にEMU 6 Day Race World Trophyに参加してきました。
900kmを目標に意気込んでいましたが、結果は373kmと惨敗でした。

6日間走は難しく、攻略の方法がまだ全く分かりません。
そして、そこにとても面白さを感じました。
次回のチャレンジのために、そしてこれから類似したマルチデイレースに挑戦する人の役に立てばと思い、今回の経験を整理します。

  • 何がランナーを苦しめていたか。その対策として考えられること。
  • どんな事前準備をするべきだったか。

の2つについて書きます。

*私自身は6日間走を全て走り切れた訳ではありません。
24hr:214km
48hr:260km(46km)
72hr:372km(112km)
96hr:373km(1km)
と3日しか動いていませんので6日間走の全容は分かりません。
3日間に自分で感じたこと、他の選手を観察したこと、他の選手からヒアリングしたことをベースにして記事にしています。

6日間走でランナーが苦しんでいたこと

6日間走でランナーが戦わなくてはいけないことは主に次の5つだと思います。

  • 関節や筋肉などの痛み
  • 睡魔
  • エネルギー不足
  • 足のマメや尻ずれなどの皮膚の問題
  • やる気の維持

①関節や筋肉などの痛み

おそらく48時間もすればほとんどのランナーが足首、膝、腰などのどこか重要な箇所に故障のような痛みが生じてくると思います。
故障に近い状態で致命傷にならないようにコントロールしながら残り4日間もの時間を走らなければいけません

今回の私のリタイアは足首の故障が原因でした。
24時間を214kmで通過したときの自覚的な感覚はかなり余裕がありました。
しかし、その後食事をとって60分ほど寝て起きた瞬間に左の足首と両膝が痛くてしょうがなかったのです。
「なぜ休んだら逆に状態が一気に悪化してしまったのだろう?」と焦りました。
そして、痛みを抱えたまま数キロ動いたら、歩くのも我慢できないほど痛くなってしまいました。

2日目をほぼ丸々休んでいたら3日目に歩けるようになりました。
3日目は意図せず痛み止めを飲んでしまい(私は痛み止めは使わない主義なのですが)、そのおかげで痛みが引いた時間は走れました。
それでもやはり薬が切れた時にもっと酷い痛みが再発して、実質的にそこで私のレースは終了となりました。

誰もが痛みに苦しんでいましたが、それを少しでも抑えるためにできそうなことは

  • 疲れ切る前にこまめに体を休めること
  • 休憩時にアイシングして炎症を抑えながら走ること

だと今回知りました。

大会の上位陣のラップタイムを確認したところ、早い段階で小さな休憩を挟んでいました
例えば今回優勝したMick氏は24時間までに
58,82,108,128,148,175,195kmで20~60分の小さな休憩をしていました。
彼は24時間走で247km走る実力者なので、自覚的に休みたいと思わないうちから体をケアしていたことになります

一方で私はレース中にそんなことには気づかず、24時間までに休憩らしいストップは2回のみ。
この走り方がダメージを蓄積し、1回目の睡眠の後に大きな故障を招いてしまったような気がします。
次はもっと早い段階からこまめに体をケアする時間を設けようと思います。

誰もが足首や膝を腫らしながら走っている。
それでも何とか症状を抑えながら走りきるにはアイシングが必須だ。
とMick氏のコーチであるMartin氏(48hr走433km世界歴代2位)が言っていました。

私はアイシングの準備すらしていませんでした。
普段もアイシングが必要なほど故障をすることはないので、その重要性も失念していました。
こちらも次回は用意していこうと思います。

②睡魔

多くの選手が睡魔でフラフラになりながら走っています。
眠っていては距離が伸びないので「いかに効率的に睡眠をとるか」が重要です。

睡眠について思ったことは

  • 横になったらすぐに眠れるタイミングでねる
  • 食事と合わせて寝ると栄養の吸収も含めて効率的か

ということです。
私は今回は眠くなる少し前に仮眠をと考えましたが、非効率だったように思いました

データを見ていると眠り方は人それぞれのようですが、上位選手では夜のまとまった睡眠でも2~3時間くらいが平均的なようです。
あとは1日中5~30分くらいの仮眠を眠気がきつい時に適宜挟んでいます。
私が想像していた以上に人は眠らないで走り続けることができるようです。

今回のレースでは日中が暑かったので夜の方が私は走りやすく感じました。
「昼間に体力を温存して夜走る」という戦略もありますし
逆に「夜はどれだけ日中寝ても眠くて走れないから、日中走るべき」という人もいます。
気候やその人のリズムを考慮して総合的な判断をすることが必要です。

③エネルギー不足

多くのエネルギーを消費するので誰もがガス欠状態です。
私が感じたのは「100kmや24時間走ほど急いでいない=食べながら走るほど追い込まれない」ので内臓系は楽だなぁと。
いわゆる胃のムカムカや吐き気で悩むことは100kmや24時間走よりは少ないと思います。
(低ナトリウム血症や脱水症状による吐き気は別です)

ゆっくり止まって食べたり、食べた後はしばらく歩いたり、初日からゆとりを持つと良いでしょう。
吸収のことを考えると糖質+タンパク質をしっかり摂取してから30分ほど寝ると効率的に思います。
*これは普段は糖質制限している私にとっても同様でした

④足のマメや尻ずれなどの皮膚の問題

これはみんなが悩んでいます。
皮膚保護のクリームなどをいくらつかっても6日間もあれば何かしらトラブルはでてくるでしょう。
この手のトラブルは早め早めに対処するのが大切と経験者が語っていました。

今回私はこの皮膚関係のトラブルは比較的少なかった気がします。
こちらのアイテムを使いました。今のところ私の中ではこれがベストです。

ソックス
Itoitex ランニングラウンドショート
個人的には5本指でない方が好みです。
暑くて水をかけるときに結構足が濡れてしまいましたが、まったくトラブルになりませんでした。
ちなみにシューズはadizero japan boostを使いました。
(ソックスだけでなく、シューズとの組み合わせも重要らしいので)

皮膚保護クリーム
プロテクトJ1
8時間を目安に塗り直しました。
やや尻ずれはありますが、比較的症状は軽かったので良い製品だと思います。

⑤やる気の維持

目標不在では6日間も頑張ることはできません。
どんどん妥協が重なり、楽な方へとシフトしてしまいます。

まずは目標とする記録を持つことが大切です。
一方でそれが無理になった時は順位など別の方法でモチベーションを維持することが役立ちます。

特に今回思ったのは「ライバルと競うこと」は6日間走でモチベーションを維持するのにとても効果的ということでした。
ライバルといっても、その時々の前後のランナーを対象にすればOKです。

ベテランの稲垣さんは「今日のノルマ」という言葉をしきりに使っていました。
6日間では長いので、まずは1日の目標。
1日でも長いときは1日を4つに区切るなどして、小さな目標に向けて頑張ることが精神的には大切と思います。
100kmの大会でも「まずは次のエイド」を目指すことで楽になりますよね。

どんな事前準備をするべきだったか

もし過去の自分にメッセージを伝えられるとしたら次のような準備をするように言いたいと思います。

練習において

①速く歩く練習をすること。
今回、「速く歩けること」の脅威を思い知りました
6日間走り続けることは現実的ではありません。
歩きと走りは使う筋肉が違うので、体力を温存することができます

優勝したMick氏は週に1回は歩きの練習をしているそうです。
3位のIvo Majetic氏は実は6日間のほとんどを歩いています。
(もしかしたら初日から全部? 少なくとも2日目以降は走っているのを見ていません)
それでも時速7km以上で歩き続けられるのは脅威です。
後半は走っても休憩込みで時速7kmをキープするのは困難ですから。

私もこれから週1回歩きのトレーニングを始めます。

②連日LSDや48時間走などをすること
24時間走とマルチデイレースは違うと多くの海外ランナーに教えてもらいました。
48時間走の大会で実績をつんだり、100km×4日など複数日にわたる練習をすることが役立つそうです。
今までの私は「24時間走を無理の少ない練習でこなす」という方法でしたが、今後は「泥臭くキツい練習を時には故障リスクをおかしながら実施」しようと思います。

情報収集において

レース後にMickは私にこう教えてくれました。
「良い指導者に教えてもらったり、経験者から話をきくことが大事だよ。
彼らと同じ失敗をしないですむからね。
僕らはライバルだけど仲間なんだから、こうして情報をシェアして互いに高めあうことが大切だ。」

左:優勝したMick
右:コーチのMartin

6日間走の経験者は少ないですが、川の道520kmなど複数日にまたがるレースに挑戦した人がいれば話を聞くと参考になるでしょう。
Mickのような海外選手と話すことも勉強になりました。

私も今後もっとたくさんレースに出て、色んな選手と話して、学んだことを人に伝えていきたいと思いました。

以上、今回の学びでした。
応援やサポートをしてくれた皆様ありがとうございました!