この記事ではMCTオイル(中鎖脂肪酸)を使うことのメリットや注意点についてご紹介します。
日常の空腹感軽減、集中力アップ、長時間レースのパフォーマンスアップに有効かと思います。
MCTオイルとは
MCTオイルとはMedium Chain Triglycerideの略記です。
日本語にすると中鎖脂肪酸になります。
中鎖脂肪酸の中鎖とは「中くらいの長さである」ということを意味します。
ちなみに短鎖脂肪酸や長鎖脂肪酸という脂肪もあります。
脂肪は「炭素原子が手をつないで鎖のようにつながっている」構造をしています。
鎖の長さの違いによって体内での働き方が違うことが知られています。
MCTオイルはその構造からして次のような特徴があります。
- 消化・吸収が他の脂肪酸と比べて早く、スピーディにエネルギーになる
- ケトン体の生成を促進する
「ケトン体とは何か?」については以前こちらの記事でも紹介しました。
ざっくり言うと、脂肪由来の使い勝手の良いエネルギー源です。
ちなみにココナッツオイルは60%くらいがMCTでできています。
なので、以下に紹介することはMCTオイル単体の商品でなく、ココナッツオイルでも類似した効果が得られます。
MCTオイルが便利なシーン
日常の空腹感を抑え、集中力を維持する
MCTオイルはよく糖質制限をする人が空腹感を抑えるのに使用しています。
私もMCTオイルをコーヒーに入れて飲むことがありますが「お腹が空いて集中できない。イライラする。」という症状が抑えられるのを実感します。
お仕事などで
「ランチ前に空腹で集中力が切れてしまう」
「夕方以降に生産性が落ちてしまう」
という方は朝や午後の時間にMCT入りコーヒーを飲むとそれが軽減されるかもしれません。
MCTは味や匂いがないので、コーヒーが苦手なら他の飲み物やドレッシングなどで使用しても良いと思います。
ランニングのエネルギー補給として
MCTオイルから生成されるケトン体は「脳のエネルギーとなる」ことで知られています。
競技時間の長いフルマラソンやウルトラマラソンではエネルギー消費が大きく、レース途中で「血糖値が下がって脳がやられて走れなくなる」という経験をされる方がいます。
この症状がMCTオイルを使うことである程度軽減できる可能性があります。
実際に私は糖質制限をすることで自分の体脂肪からケトン体を作る能力が高くなり、一般的には低血糖といわれる血糖値でも運動を集中して継続できるようになりました。
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よって、
MCTオイル飲む→ケトン体が出る→脳のエネルギーになって集中維持
という理屈が成り立つと思います。
ただし、そもそも低血糖にならないように糖質の補給ができていれば、わざわざMCTが必要とは言い切れないとも思います。
こちらの記事はフルマラソンのレース中の補給について私の考えをまとめたものです。
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この記事ではMCTオイルを優先順位の高いアイテムとしては取り上げていません。
「MCTオイルは役立つと思うけど、まずは糖質をしっかり補給することを心がける。
糖質が十分に足りていれば、MCTは必ずしも必要ではない。」
というのが今の私の考えです。
実際に24時間走でMCTオイルを使ってみた感想
2018年2月の台北24時間走で実際にMCTオイルを使ってみました。
このときは糖質制限は開始して4か月半くらい経ち、空腹状態でも集中して長くランニングが継続できる=ケトン体を利用できる体質になっているという手ごたえを感じていた頃です。
この大会では「MCTオイルを補給で摂取し、ケトン体の濃度を高くキープするようにしたら、どれだけ糖質補給を減らしても低血糖でフラフラにならないのではないか?」と考えました。
「糖質の補給を減らして血糖値が下がってもケトン体濃度が高ければ何とかなる」仮説です。
(これが成立すれば、胃腸障害などで悩んでいる方に「MCTオイルを飲めば食べる量を減らせて胃腸障害が改善しますよ」とアドバイスできると思って検証しました)
そしてこの仮説を検証するために台湾24時間走では前回の記事の通りレース中の糖質補給を制限して走りました。
MCTオイル(1回7g)を紅茶に入れてスタート前、5-10時間で2回ほど摂取しました(計3回)。
しかし結果としては11時間(約130km)で低血糖の症状で走れなくなってしまいました。
リタイア直前もケトン体は十分に出ていたと思うので
「糖には糖の役割があり、ケトン体では補いきれないことがある」
と私は考えました。
注意しておくと、今回の話はMCTオイルがダメという話ではありません。
レース中の補給としてMCTオイルを摂取しても糖質が不足すると潰れるということが分かったということです。
長丁場のウルトラマラソンではケトン体の生成を促すという目的でMCTオイルを摂取する戦略も良いと私は思います。
今回の台湾のレースでは結果としては潰れてしまいましたが、100kmの通過が8:15といつもより5-10分くらい早かったです。
100km地点でのスピードも十分に速かったのでMCTオイルでケトン生成が促進された結果、脂肪を効率的に使えて体力が温存できていたとも考えられます。
まとめ
- MCTオイルは日常の空腹感の軽減や空腹による集中力の低下に役立つ
- レースのエネルギー補給として役立つ可能性があるが、糖質の補給をきちんとすることが大前提
- フルマラソンくらいの距離ではそこまで重要でなく、ウルトラマラソンになると有効性が増すかもしれない
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