この記事ではウルトラマラソンのレース中の胃腸障害(吐き気、胃のムカムカ、食べられない、気持ち悪いなど)を予防するための対策法について整理しようと思います。
なぜ吐き気対策が重要なのか?
そもそもなぜウルトラマラソンで胃腸障害の予防について考えておくことが重要なのでしょうか?
それは多くのランナーが内臓トラブルが原因でリタイアや大幅な失速などの苦しい思いをしているからです。
下の表はアメリカの100マイルトレイルで完走できなかった選手にリタイアしてしまった最大の要因は何かを問い、その比率を集計したものです。
出典『TRAINING ESSENTIALS FOR ULTRARUNNING』JASON KOOP
データが示すようにリタイアの最も大きな原因が吐き気・嘔吐なのです。
これは100マイルトレイルのデータですが、100kmマラソンでも多少の比率の違いはあれ、吐き気が原因でリタイアしてしまう人は多数派と考えられます。
ウルトラマラソンの特徴として「膨大なエネルギーを消費する」という点があります。
走り続けるということは筋肉を動かすためのエネルギーを使い続けるということです。
エネルギーは体内に蓄えられていますが、その量は限られており、不足する分はレース中に補給として摂取しなければいけません。
しかし、走りながら食べるというのは体にとって大きな負担です。
必要なエネルギーに足りるように食べ続けようとしても、吐き気などが生じて食べられなくなってしまいます。
そして、食べられなくなるとエネルギー不足のために脚が重くなったり、低血糖でクラクラしたり、筋肉の分解が進んでダメージが大きくなったりと悪いことが続きます。
逆にレース中にしっかり食べ続けられることで、後半も粘り強く走れるようになることを私のセミナーの受講生たちは証明してきました。
よって、ウルトラマラソンを快走するためには内臓トラブルを極力おさえながら食べ続けられるようにする工夫が重要となります。
胃薬をスタート前に服用し、胃酸の出過ぎを予防
ウルトラマラソン中はストレスによって胃酸過多の状態になっていることが多いようです。
そのため胃酸を抑える薬を使うことで胃のむかつきや吐き気などが改善することがあります。
個人的にはガスター10はかなり効きました。
胃薬に関する補足
胃薬は胃酸を抑えるメカニズムによっていくつか種類があります。
私は最初はM1ブロッカー配合のものを使用していましたが、その後H2ブロッカーであるガスター10に変えてより違いを実感しました。
胃薬を服用しても効果がなかったという方は成分をチェックしてみましょう。
おすすめの胃薬 ガスター10のレース当日の飲み方
ガスター10は効果が8時間継続すると考えられています。
100kmの場合
・スタートの30分前に1回分
・8時間経過したころに1回分
を摂取します。
(ある内科医のウルトラランナーの先生はウルトラレース中は日常とは大きくかけ離れているので通常の2倍の量を飲んでも問題ないと言っていました。私も2倍飲みをして大きな問題になったことはありません。私は医師ではありませんし、公式に推奨するものではりませんが、参考までに)
24時間走の場合
・スタートの30分前に1回
・その後は8時間毎に
「胃腸障害が出てから薬を飲む」という人もいらっしゃいますが、私は予防として胃のムカつきがくる前から使うようにしています。
消化器官への血流悪化による機能低下を防ぐ
ランニングのような運動中は筋肉が多くの酸素を必要とするため、血液は筋肉に集中します。
その結果、ランニング中は内臓の働きが悪くなるといわれています。
この消化器官への血流悪化がネックになっている場合は
・無理の無いペース配分を心がけ
・補給をした直後は休んだり歩いたりして運動の強度を下げてみる
などが良いと思います。
歩きをいれる時間は目標タイムとの相談になります。
私は食べた後は1~3分だけ歩いてゆっくり走り始めるということを以前していましたが、それだけでも効果があったと思います。
歩きを入れると胃の揺れが抑えられるというメリットもあります。
トライアスロンではバイクやスイムと比較するとランニングが一番胃腸障害のリスクが高いと言われています。
これはランニングの動作によって、胃が揺れることが原因と考えられています。
(よって体幹を安定させ、上下運動の少ないフォームを身に着けることも解決策の一つかもしれません)
歩きを上手に取り入れることで胃腸障害を防ぎ、精神的に落ち着きを取り戻し、結果としてより早くゴールにたどり着けることもあるのではないでしょうか。
低ナトリウム血症に由来する吐き気を防ぐ
ウルトラマラソンは競技時間が長く発汗量が多いため、塩分が不足してしまうリスクが高いです。
塩分の喪失量があまりに多くなると低ナトリウム血症という異常状態になってしまいます。
低ナトリウム血症の典型的な症状として以下のようなものが知られています。
- 運動能力の障害
- 手足のむくみ
- めまい
- 嘔気、嘔吐
- 頭痛
- 意識が遠のく
- 怒りっぽくなる、混乱する
- けいれん
- 尿が出なくなる
- 眠気
この通り低ナトリウム血症に陥ると吐き気が生じることがあります。
よってしっかりと塩分補給をして低ナトリウム血症に由来する吐き気を防止できるようにすると良いでしょう。
低ナトリウム血症にならないための補給方法についてはこちらの記事の「水分・電解質の補給の方法」の項目をご参照ください。
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消化をサポートするサプリで内臓疲労を軽減する
上述のとおり、ウルトラマラソンのレース中の胃腸障害の原因の1つは消化器官の働きが悪くなっているからと思われます。
食べ物の摂取量に対して消化が追い付かないと、食べ物が長く胃に残りながら走ってゆれることで消化管出血を起こしたり、未消化な栄養素が小腸へ侵入して下痢を起こしたりと問題が生じます。
この問題を解決するのに消化をサポートする酵素が役立ちます。
消化酵素を摂取することで補給したものを素早く分解して内臓疲労を軽減することが期待できます。
胃腸コンディショニングサプリのCatalyst Athlete Enzymeはマラソン中の内臓疲労対策に特化して作られたサプリです。
(下の動画のように瞬時に食べ物が分解される)
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まとめ
- 胃酸過多が原因の場合は胃酸を止める薬が効果的
- 無理のないペース配分を心がけ、歩きも適宜取り入れることが役立つ場面もある
- 定量的に十分な塩分補給をすること
- 消化酵素を使って内臓の負担を減らし、未消化な栄養素が長く体に留まるのを防ぐ
さらに詳細をまとめました。胃腸障害対策ガイドブック
上記で紹介した以外にも「温かい物も食べる」などの経験則や「どの糖質を選ぶべきか」などより詳細を解説した電子書籍(pdf)を作りました。
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