24時間走の世界選手権にサポートスタッフとして参加してきました。
大会結果
男子
1位 SOROKIN Aleksandr(LITHUANIA)278.973km
2位 BODIS Tamas(HUNGARY)276.222km
3位 LEBLOND Olivier(USA)275.485km
16位 NARAKI Toshiro(JAPAN)250.866km
18位 TAKAHASHI Nobuyuki(JAPAN)248.788km
33位 INOUE Shingo(JAPAN)236.217km
69位 ABIKO Ryo(JAPAN)210.609km
女子
1位 HERRON Camille(USA)270.116km *世界記録
2位 ALDER-BAERENS Nele(GERMANY)254.288km
3位 BEREZNOWSKA Patrycja(POLAND)247.724km
6位 KANEMATSU Aiko(JAPAN)242.440km
15位 KUSUNOSE Yuko(JAPAN)228.289km
71位 MATSUMOTO Yuri(JAPAN)183.717km
74位 AOTANI Mizuki(JAPAN)183.248km
開催地はフランス南部のアルビという町です。
フランス感ある大聖堂です(適当)。
大会の前日はセレモニー。
私が参加した2013年のオランダ大会と比べるとだいぶ盛り上がっていました。
大会では写真のような日本チームのテントがあります。
ここに各選手の補給用品・着替えなどを設置。
サポートスタッフが手渡ししてサポートします。
こちらはスタート時の動画です。
選手の走り方、補給方法、教えてもらったことなど、書きたいことはいろいろあります。
ただ、今日まず一番に伝えたいと思ったことは「とにかく私がこの大会で感動した」ということです。
本大会でサポートするためのフランスへの交通費は自費で負担しています。
「十数万円も払ってわざわざボランティアで選手をサポートするなんて信じられない」という人もいるかもしれません。
しかし私はそう感じませんでした。
それほど選手は私に感動を与えてくれたのです。
エピソードをいくつか紹介したいと思います。
例えば楠瀬選手はご自身のこちらのブログで24時間走世界選手権について書かれています。
記事にあるように彼女は3,4回もレース中に潰れてしまいました。
普通の人なら諦めてリタイアしてしまうところを、何とか気持ちをつないでレースを投げることなくコース上に何度も復帰しました。
レースが終わり、担当ハンドラーであった加村さんとの
「よくやったね。次回またリベンジだね。」
などと目を潤ませながらやりとりしていたシーンは忘れられません。
・・・
現地に着いてから風邪をひいてしまった松本ゆり選手。
ハンドラーであり練習パートナーでもある竹内さんとのやりとりを見て、ここまで二人で二人三脚で頑張ってきたことが伝わってきました。
レース中に何度も体調が悪化してテントに入りますが「諦めずに最後まで頑張ろう」と励まされます。
つらい。でも辞められない。
状態がのらないときに応援されるのは複雑な気持ちだったと思います。
途中「早く終わってしまえ」というような独り言が漏れてくるのが聞こえてくることもありました。
それでも最後までゼッケンを外すことなくレースを全うしました。
ゴール後、目に涙を浮かべながら私にも「ありがとうございました」と言ってくれました。
私は頭にいくつも伝えたいことが浮かんできたのですが、とっさには言葉を紡ぐことができず、ただ手を差し出して握手で敬意をお伝えすることしかできませんでした。
・・・
他にも
手術後であるにも関わらず大健闘した青谷選手
努力が結実し、240 km オーバーを達成した兼松選手
過酷な状況でも意地で前に進み続けた2010年世界チャンピオンの井上選手
積極的な走りでチームをリードしたキャプテンの楢木選手
途中から体調が優れず思うような走りができないながらも団体戦のために最後まで全力を尽くしたエースの高橋選手
序盤から苦しい走りになってもコース上に残り日本チームを鼓舞したベテラン安孫子選手
(ちなみに2013年世界大会で同様に不調ながらもコース上でチームを支えた本田選手を彷彿とさせたということを個人的なメッセージとして添えておこう)
全員の姿が目に焼き付いています。
現地にいたからこその感動を味わうことができました。
レース結果としては期待通りの走りができなかった人の方が多かったと思います。
しかし、ここに立つまでの苦労を想像したら
「よくやったね。みんなあなたが頑張ってきたことを知っているよ。」
と言いたいです。
私もまたたくさん24時間走で失敗して悔しい思いをしてきましたから。
上手くいった人に対してもそうでなかった人に対しても心が波打つような感情を覚えました。
私はスポーツの価値は「どれだけ人の心を動かせるか」にあると思っています。
そしてその価値はアスリートの努力だけではなく受け手のアスリートとの関係性、そして受け手の想像力にかかっていると思います。
日本チームの選手はもしかしたら結果には納得がいかなかったかもしれません。
それでも十二分に私の心に価値を与えてくれたのです。
今回は女子選手が世界記録を更新しました。
世界記録を更新した瞬間の会場の盛り上がりはすごいものでした。
私も拍手の手を止めることができませんでした。
しかし、日本人選手に対しても同じくらい、いやそれ以上の感動を私はしました。
これは私がみんなのことを知っていて、みんながこれまで積み重ねてきたことが想像されたからだと思います。
とにかくみんなには「よくやったね。頑張ったね。伝わってきたよ。ありがとう。」と伝えたいと思います。
私もみんなのような人の心を動かせるランナーになりたいと思いました。
そのためにこれからも毎日努力を積み重ねていきたいと思いました。
みんなが世界選手権のスタートラインに立つまでに毎日そうしてきたように。