こんにちは。
ランニングショップHolosの小谷です。
今日は私の最新の練習での気づき・仮説をシェアしたいと思います。
この3週間、ある新しい実験をしたところ、200~300mくらいのショートインターバルや上り坂での走りにビックリするような変化がありました。
何を試したのかというと、クレアチンの摂取を始めたのです。
今日のお話は、これまでの私の説(どちらかというと長距離ランニングへのクレアチン摂取には慎重派だった)と矛盾する内容になってきますので、順を追って説明していきたいと思います。
まず、そもそも「クレアチンとは何か」です。
クレアチンは体内でアミノ酸から作られる成分で、筋肉が一瞬で強い力を出すときの「エネルギーの予備タンク」のような役割を果たすと考えられています。
100m走のような全力運動では、この貯蔵分が数秒〜10秒ほどでかなり消費されると言われています。
摂取することで筋肉中の貯蔵量を高められることが研究で示されており、瞬発的な筋力・パワー発揮の向上や、高強度運動の反復能力アップが期待できます。
そのため、ウエイトトレーニングを行う人やサッカーなどダッシュを繰り返す球技系のアスリートにも広く活用されています。
クレアチンはエビデンスも豊富で信頼性の高い成分なのですが、マラソンのような長距離走においては私は慎重派でした。理由は体重の増加です。
例えば、『スポーツ栄養学』(寺田新 著)では以下のような解説がされています。
このサプリメントを摂取する際に注意する点として、体重増加(摂取開始から最初の1週間で1~2kg程度の増加、水分量の増加が主な原因であるといわれている)が挙げられ、体重が軽い方が有利な競技においては注意が必要となる。
体脂肪が増える訳ではないのですが、体重が増えることはランナー的にはマイナス面が大きいと考えられます。
ゴールまでに必要なエネルギーも増えるのでガス欠リスクも高まります(フルやウルトラではネックになる可能性が高まる)。
また、個人的な経験として、大学3年生のときにクレアチンを試してみたことがあるのですが、当時は効果を実感できなかったということもありました。
そのような理論的な背景と個人的な経験からクレアチンについては長距離ランナーには優先度の高くない成分という認識が続いていました。
しかし、最近になって私の中でその考えが変わりつつあります。
きっかけは最近の練習で感じていた「パワー不足」でした。
8月の私の練習には、200~300m疾走のスピードが求められるファルトレクや上り坂を使ったインターバル走があります。
上手く言語化して伝えられているか分かりませんが、私の中で「乳酸がたまってきたときとは違う種類の脚の動かなさ」「呼吸のキツさよりも脚のパワーが出なくて走れなくなってしまう」という感覚がありました。
強い向かい風のときに体を前に運べなくなる感覚や、自転車を重いギアでこぎ続けようとしても止まってしまう感覚とも近いです。
このパワー不足(?)な感覚のボトルネックを感じて「まだトレーニングのバランスが悪いのかなぁ」となんとなく思っていました。
そんな中で偶然書籍『サイクリスト・トレーニング・バイブル』をパラパラ読み直していたら、クレアチンに関するこんな内容が目に留まりました。
ランナーに全力で4000mのインターバル走(1000m×4)を行わせて基準となるタイムを測定し、その後一定期間クレアチンを摂取して再び同じトレーニングを測定した。
クレアチン摂取群は合計タイム(4000m)が平均で17秒速くなり、プラセボ群は1秒遅くなっていた。
(ただし、水泳とサイクリングを対象にした研究のいくつかでは、短時間の無酸素息での繰り返し運動ではパフォーマンスの向上は見られなかった)
持久系アスリートがクレアチンを使う最適なタイミングがあるとしたら、それは最大筋力を鍛えるためのウェイトトレーニングや高強度の練習に取り組む期間と考えられる。
筋力やスプリント・パワーの不足しがちなアスリートにとって、これらのタイミングでクレアチンの補給は最も効果的といえる。
逆にレース前の調整期では体重増加のデメリットもあるので避けた方が良いかもしれない。
この「筋力やスプリント・パワーが苦手なアスリートが高強度のトレーニングをするとき」というのが、まさに今の私に合致すると思い、改めてクレアチンを試してみようと思ったのでした。
8月2日からクレアチンを飲み始め、その後の練習日記には次のような感想を書いていました。
4分×5のインターバルを実施。「パワー不足」』のネック感が少し改善した。
つい脚が止まってしまう上り坂での走りも「脚が持ちやすい」印象。スティフネス(剛性・固さ)を感じやすかった。
バネの固い走りができるようになっている。この接地時の感触の違いは驚き。
クレアチンリン酸系(クレアチン摂取で伸びる瞬発的なエネルギー源)は接地時の反射的な筋収縮と強く関係しているのだろうか?
200mファルトレクの走りが良くなった。最高速度が上がるというよりは、これまで頑張って維持していた3:00~3:15/kmをよりリラックスした動作で走れるようになってきている。
接地のバネの固さがとにかく感じやすくなった。股関節に体重が乗ってからの力の立ち上がりが早い(速いペースでのランニングに必須の要素)!
このように、私個人としては大きな変化を飲み始めて1週間以内に感じました。
飲み方は、最初の1週間は1日あたり10gを摂取して、その後は5gを継続しています。
大学生の頃はこんな変化は無かったのに、なぜ今回は違いが実感できたのでしょうか?
考えられる理由の一つは、食事の変化です。
クレアチンは普段の食生活が植物性が多めの人の方が違いを実感しやすいようです(肉や魚にクレアチンが豊富なため)。
最近の私は植物性を多めにしようと意識していますし、大学生の頃は肉を今よりたくさん食べていたので、そうした食生活の違いが体感の違いを生んでいたのかもしれません。
また、単純に年をとったことで、昔よりも瞬発的な能力が低下していることもクレアチンの恩恵を受けやすくなった理由かもしれません。
さて、クレアチンのデメリットとしての体重増加ですが、今のところの私の場合、500gくらいベースラインが増えたかなぁという感じで、正直なところあまり分かりません(53kg→53.5kg)。
飲み始めて3週間経つので、体重増加としてはもう落ち着いている頃かと思います。
ちなみに、クレアチンを飲むと筋肉にハリ(パンプ感)が出るとよく言われているのですが、それは確かに感じていて、特に太ももを中心に心地よいハリ感があり、個人的には「若返った感じ」という表現が近いかもしれません。少なくとも悪い感じではないですね。
走っていて体の重さを感じることも今のところありません(ジョグでも疾走中でも)。
スピード練習なら全体としてクレアチン摂取によってプラスになったと感じ、ジョグなら変化無しという感覚です。
普段の練習の範囲内でなら、僅かな体重増加のマイナス面よりもパワー向上によるプラスの方が勝っているというのが個人的な感想です。
ただ、これがレースになるとどう転ぶかはまだ分かりません。
「体が重くなってペースが落ちる」ということは無さそうですが、ゴールするまでに必要なエネルギーが増えますので、それがフルマラソンやウルトラでは終盤になってガス欠による失速を招いてしまうかもしれません。
この問題については9月中旬から40~60kmの長い練習もしていく予定なので、また後日みなさんにシェアできればと思っています。
大会前にクレアチンを抜いていく(摂取を辞めて体重を戻す)かはロング走をしてからの判断になりますが、一度このスピード練習での違いを体験してしまった私としては抜いていくのにも勇気がいるかもしれないなと感じました。
以上が私の最近の取り組み――クレアチンを改めて試してみた感想でした。
ややポジティブよりな情報が多めでしたが、あくまで私個人の感想であることはご了承ください。
また、私自身もクレアチンの活用法については研究中ですし、他の方がどう感じているのかもあまり分かっていません。
クレアチンの使用経験のある方はぜひ気軽に体験談など教えていただけると嬉しいです。
今日もお読みいただき、ありがとうございました!