こんにちは。
ランニングショップHolosの小谷です。
皆さんは、分子栄養学という分野をご存じでしょうか?
このブログではときどき登場する言葉ですが、私が分子栄養学を実践し始めてから今年で10年になります。
今日はそのきっかけになった、少し恥ずかしい話をしたいと思います。
2016年。それまで3年間フィットネスクラブの本社に勤めていた私は「もっとランナーに特化した仕事がしたい」と思い起業することを決意しました。
自分で事業をしていくからには、お客様に提供する商品・サービスが必要です。
最初はスポーツネックレスKernelの販売から始めた私ですが「Kernelだけでなく、他にもランナーのお客様に役立つ商品はないか」と色々と情報収集をしていました。
そしてある日、知人を通じてOさんという男性を紹介されました。
Oさんは私より1歳年下。
空手で全国レベルの大会で優勝したという経験がある人物で、力強い体、自信に満ち溢れたような瞳、明るくハキハキとしたしゃべり方が特徴的でした。
私が「ランナーの方にサービスを提供していて、その方たちが喜んでくれそうなものを日々探しています」と言うと、Oさんは「うちでもすごく良いサプリを扱っているんですよ。ぜひ商品を見ていただきたいので、今度また打合せしましょう」とのこと。
後日、打合せに指定された場所に行ってみると、そこは西新宿にある高級マンションでした。
当時27歳の私は人生で一度もそんなところに入ったことがなく
「こんなホテルみたいなところに住んでるの?」
「Oさんって自分より年下だったよな・・・? 何者・・・?」
と急に心がザワザワしはじめます。
とはいえここまで来たらもう行くしかありません。
エントランスに入ったらOさんが迎え入れてくれて、お住まいの部屋に案内してくれました。
部屋に入ってみると、豪華・金持ち・成功者みたいな言葉がパッと頭に浮かぶようなつくり。
ムーディーな照明、アロマで良いニオイが立ち込めている。窓から外を見下ろすと、新宿の街が広がっている。
緊張状態のままOさんとの打合せがはじまり彼の経歴を聞いてみると、実は彼はネットワークビジネスという分野で成功した人物だったということが分かりました。
「とうとう自分にもこの手の勧誘がきたのか・・・!(そして、本当に成功している人もいるのか!)」
と驚きました。
正直なところ「話が違うじゃん」という気持ちだったのですが、ここはOさんの自宅内ですし、せっかく時間も割いてきたのだからサプリやそのベースになっている栄養学のことは聞いておこうと考えました。
Oさんが「これがうちの人気商品です」と見せてくれたので、私は手に取って裏面の成分表示を確認してみました。
まず目に留まったのはビタミンCの欄でした。
そのサプリにはビタミンCが500mg配合されていました。
厚生労働省の基準では1日の摂取目標が100mgで、その5倍も入っていることになります。
「ずいぶんと含有量が多いのが特徴みたいですね」と私。
Oさん「そうなんですよ! これだけたっぷり入ってるから効きが違うんですよ!」
このとき頭の中で私はこう思いました。
「Oさん、営業は上手いのかもしれないけど、栄養については全然勉強していないんだな。
だってビタミンCの1日の摂取目標は100mgだから、こんなに必要ないし。
ビタミンCは水溶性ビタミンだから過剰に摂取しても尿とかで排出されちゃうから無駄なのに。」
サプリやビジネスの仕組みの説明が終わったところで「帰って検討しますね」と帰ろうとしたとき
「このサンプルを特別にあげますからちょっと試してみてくださいよ」
とOさんはサプリを1か月分プレゼントしてくれました。
あまり見込みはないだろうなと思いつつも、ランナーとして栄養補給ができるのは嬉しいのでありがたく頂戴して帰りました。
マンションを出て駅の改札を通ったあたりでようやく、「無事に終わった」と緊張が解けていくのが分かりました。
「せっかくもらったのだから使い切ってしまおう」というくらいの気持ちでOさんのサプリを飲み始めました。
そして2週間ほど服用してみました。まさか変化があるとは思っていませんでした。
でも、飲み始めて数日後のある朝、目覚ましが鳴る前に目が覚めました。
布団の中でぐずぐずすることなく、スッと起き上がれた。
その日の夜に「今日はよく動けた一日だったな」と思い、それが何日か続きました。
「あれ? ひょっとしてこのサプリ効いてる?」
と私は半信半疑になりはじめました。
ただ、当時の私はまだこの成分(通常必要とされているよりも多くの栄養を摂取すること)がなぜ良いのかということを理解できていませんでした。
むしろそれまで自分が勉強していた従来の栄養学に反することだったので素直に受け入れることができず
「効果を感じたのは気のせいだったかもしれない」
「偶然調子が良い日が続いただけで、まだ検証としては不十分だ」
という方向で考えていました。
ただ、頭の片隅では「あのサプリ良かったかもしれない」という思いもあり、「もし効果が実際にあったとしたら、それはなぜだろう?」と疑問として残っていたのでした。
時が経ち、栄養関係の書籍を読み漁っていたころ、私は偶然ある1冊の本と出合いました。きっかけはAmazonのレコメンドだったような気がします。
『アスリートのための分子栄養学』(星真理 著)という本です。
分子栄養学というなんだか専門的でかっこいい響きに魅力を感じて即購入しました。
読み進めると、こんなことが書かれていました。
日本の栄養摂取基準というのは、壊血病にならない程度のビタミンCの量、脚気にならない程度のビタミンB1の量、という発想で作られている。
つまり「欠乏症を防ぐための最低ライン」が出発点なのだ、と。
さらに、この分野を築いたノーベル賞受賞者のポーリングは「個体差は20対1だ」と言ったそうです。
同じビタミンCでも、100mgで十分な人もいれば、2000mg必要な人もいる。
それくらいの幅が人間にはある、ということです。
この箇所を読んだ瞬間、それまでバラバラだったものが一本の線でつながる感覚がありました。
「そうか。国が定める基準は欠乏症にならない最低ラインだったのか。欠乏しない量と体のパフォーマンスが最高になる量は、まったく別の話ではないか」
Oさんのサプリで感じた変化に、ようやく理屈がついた瞬間でした。
そして、それから今日までの10年間。色々と試行錯誤しながら、私は分子栄養学に基づく栄養補給を実践し続けています。
最初は「騙された!」と思ったOさんとの出会い。
そのきっかけがなければ、私は今も「ビタミンCは100mgで十分」という知識のまま止まっていたかもしれません。
この経験から私は「従来の自分の考えでは納得できないことでも、まっさらな気持ちで事実を観察することを意識するようになった」と思っています。
先日のブログでも書きましたが、糖質制限のときも同じでした。
スポーツ栄養学の常識に反することを最初は否定していた私が、「とりあえず中立な目で試してみよう」と動いたことで、自分のパフォーマンスが大きく変わりました。
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思い込みを一度脇に置いて、まずやってみる。
その小さなオープンマインドが、思わぬ飛躍につながることがある。
これは私が身をもって経験してきたことです。
今日は私の分子栄養学との出会いについてお話ししました。
次回は、分子栄養学とはより具体的にどういう考え方なのか、そしてランナーとして実際にどう活かせるのかをお話したいと思います。
この10年間をかけて私自身の経験、お客様からの声、関連書籍などを統合して分かってきたことをお伝えしたいと思っていますのでお楽しみに。
今日もお読みいただき、ありがとうございました。