さて、今日は「大会の直前に痛みが出て焦っている」というお客様から質問をいただいたので、一緒に考えていきましょう。
お世話になります。
サプリやネックレスを愛用中のMです。5月末のウルトラマラソンに向けて練習をしていたところ、右足のふくらはぎ、ハムストリングに張りが出て、痛くて走れなくなってしまいました。
今は安静にしておりますが、もう5日間も続いています。このようなとき、小谷様はどのように対処されますでしょうか?
練習できなくて焦っておりますので、何かしらアドバイスいただければ幸いです。
(はじめての事例でして)よろしくお願いいたします。
(以下、私からMさんへの返信です)
Mさん
いつもお世話になっております。
大会直前に痛みが出てしまったとのこと、さぞ、ご不安や焦りなど感じられていることと思います。
その後、痛みは回復に向かっているでしょうか?
故障までの詳しい経緯や実際の走りなどがわかりませんので、治すためのアドバイスについては言えませんが「私がMさんの立場だったらどのようなことを考えるか」についてまとめました。
痛みの出ない範囲で活動量を高めて体力の低下を抑える
練習に関しては痛みの出ない範囲の運動で活動量をできるだけ維持し、体力の低下を防ぐようにします。
例えば、ランニングは痛みの出ない距離・ペースに制限して実施する。
走ること自体がダメならウォーキングやバイクなど衝撃が少ない有酸素運動に置き換える。
脚の筋力低下を防ぐため、スクワットが大丈夫ならスクワットをする。
また、ストレッチにはそれ自体が筋力の低下を防ぐ働きがあるので実施する。
上記のどれも痛みが生じるようなら、運動はしない。
痛みが治まってきたら、再発しない(悪化しないで改善に向かっていく)程度に量と強度を調整しながら徐々にトレーニングを再開していきます。
休んでいた期間の長さによりますが、おおよそ2~3週間を目安に量を徐々に戻していくイメージでやっています。
大会の目標設定、どのように走るかのシミュレーションをしなおす
練習量が落ちると当然体力は低下しますが、多くの方が思っているよりも実際には体力は低下しないものです。
なので、大会を諦める必要は必ずしもないと思います。
ただ、「当初の目標タイムにこだわって強気でつっこむ」とすると、やはり失敗することが多いです。
直前に痛みが出てしまったということを踏まえて、その上で大会をどのように走るかを再度落ち着いて考えます。
ペース配分というよりは
「〇km地点まではこれくらいの余裕度で走り、〇km地点でこういう状況だったら勝負に出ても良い」
「仮にペースが思っていたより良くても、〇km地点までは慎重に走る」
「これくらいの痛みが〇km地点までに出たらリタイアする(撤退ラインを決める)」
というように定性的な自分の気持ちの面をシミュレーションすると良いかと思います。
長期的な視点をもって、今回の故障を乗り越える課題として楽しむ余裕をもつ
これは実際に痛みがあるときに思うことは感情的に難しいかもしれませんが、焦りや悩みは視点が「直近の大会」という短期的なことに向いているのが原因となることが多いと思います。
そうではなく、1年あるいは3~5年とかの長いスパンで「今後自分はどんなランナー(人物)になりたいか」をイメージし、それに向かって困難な課題を1つずつこなしていこうという姿勢に切り替えます。
すると
「今の痛みをどうしよう・・・。次の大会は大丈夫だろうか・・・。」
という気持ちから
「痛みを出ないようにしながらトレーニングをハードにしていくために、どんな試みが必要だったのか」
「こういう状況でどのように行動するのが、目標の自分になるための練習になるのか」
「ここから学んで壁を越えれば次のレベルにいける」
とポジティブな感情に変わっていくと思います。
私もここ数年で同じように短期的な視点が原因で上手くいかないサイクルにはまったことがありました(今でも注意しないと、また同じ罠にはまってしまう)。
「早く成果が出したい」という気持ちから練習量を一気に増やしてしまい、結局痛みが出たり、仕事・家庭とのバランスを崩して継続できなくなったりして、安定的に実力を高めることができませんでした。
ようやくその自分の悪癖を見つめて直そうと思い、今は「2028年の8月(私が40歳になるとき)までに24時間走で300kmを出したい!」と長期的で大きな夢に向かって毎日小さな一歩を重ねています。
そして、今まさに夢のためのステップとして中間目標にしている項目の1つが
「週2~3回のスピード練習を入れながら、週間840分のトレーニングを故障なく安定して継続できる土台をつくる」
です。
そのために週2回、ジムに行って筋トレやバランストレーニングをしています。
時間捻出のための仕事管理や家族とのコミュニケーションも少しずつ改善しています。
Mさん、練習で痛みが出てしまったのは、それだけハードに走って大会に向けて頑張ろうという気持ちがあったからだと私は思います。
実際に向上心のあるランナーの多くが故障に悩んでいます。
ハードなトレーニングと痛みは隣り合わせなので、上手にコントロールしていく術を経験を積みながら学んでいくしかありません。
まずは長期的な視点を持つことで感情を落ち着かせて、冷静に直近の練習や大会をどうするか計画しなおし、今回の痛みの原因や防ぐためにどうしたら良いかの仮説を立てて実行に移していってはいかがでしょうか。
Mさんが前向きな気持ちでこの壁を越えられることを信じております!
(以上、回答)
大事な場面で痛みが出て焦ってしまうこと、誰もが経験していますよね。
そんなとき、読者のみなさんはどう対応しますか?
今日もブログを読んでくださり、ありがとうございました。