食事・サプリ・栄養学

スリープロー(Sleep-Low)法|持久力アップの食事法

2018年3月3日

今日はスリープロー(Sleep-Low)法について紹介します(スリープロウと書くことも)。

スリープローはマラソンやトライアスロンなどの持久系スポーツのパフォーマンスアップに効果があるという研究も報告されている食事法です。

スリープローとは

スリープローが考案された背景

スリープローについてよく理解するためには、筋グリコーゲンと持久力の関係について知ることが役立ちます。

持久系スポーツのパフォーマンスを決定する要因の1つに「筋グリコーゲンをいかに温存できるか」があります。

筋グリコーゲンとは筋肉中に蓄えられたエネルギーです。
主にごはんやパン、麺類などの炭水化物の食事が由来のエネルギーです。

ランニング中はこの筋グリコーゲンと体脂肪の2つをエネルギー源として燃やして走ることができます。

筋グリコーゲンは貯蔵できる量が限られているので、フルマラソンなど長い運動では枯渇してしまいます。
すると、筋肉を動かすエネルギーがスムーズに作れなくなってしまいます(脚が重くなり、思うように動かせなくなる感覚に)。

よって、限られた筋グリコーゲンをゴールまでいかに温存できるかが重要です。

筋グリコーゲンの温存力を高める方法として以下の2つがあります。

  • そもそものグリコーゲンの貯蔵量を増やす
  • グリコーゲンの消費量を減らす=代わりに脂肪を効率的に使える体質にする

スリープロー法はこの2つの要素を効果的に高める方法として考案されました。

筋グリコーゲンが少ない状態でトレーニングすると、筋グリコーゲンの温存力が高まる

これまでの研究で「筋グリコーゲンが少ない状態(空腹状態と考えればよい)でトレーニングすると筋グリコーゲンの貯蔵量が増えやすくなり、さらに脂肪を効率的に使えるようになる」ということがわかっています。

なので、持久力を高めたければ空腹状態でのトレーニングが良いということになります。

一方で空腹状態では質の高いスピード練習ができない

一方でこの空腹状態でのトレーニングにはデメリットもあります。

高強度で質の高い練習ができないのです。
(なぜなら、筋グリコーゲンが枯渇してはエネルギーをスムーズに作れないから)

この質の高いスピード練習ができないことはレベルの高いアスリートとなると大きな痛手です。

つまり
「持久力アップのために空腹状態で走りたい」
しかし
「空腹状態だとスピード練習の質が落ちてしまう」
という問題にぶつかります。

そこで「こうすれば空腹状態でのランニングも質の良いスピード練習もできるじゃん!」という解決策がスリープロー法のやり方です。

スリープロー法のやり方

スリープロー法の流れ(朝と夕方の2回トレーニングとして)

  1. 朝食をとらないで低強度・長時間のトレーニング
  2. 朝食と昼食で糖質をしっかり補給
  3. 夕方に高強度のスピード練習
  4. 夕食はタンパク質、脂肪中心の糖質が制限された食事
    →夕方の練習と糖質制限した夕食のおかげでグリコーゲン枯渇状態で朝練へ

上手く考えられていますね。

このスリープロー法を行うことで、まったく同じ量の糖質を3食でほぼ均等に割り振った場合に比べて、運動中のエネルギー効率が改善し、さらに高強度運動の持続時間が延長するという研究結果が報告されている。
『スポーツ栄養学』寺田新 p98

スリープローをさらに持久力系にしたのが糖質制限

スリープローは空腹状態のランニングをしつつ、スピード練習のために糖質もしっかり食べるという食事法でした。

一方で私がやっている糖質制限はスピード練習も糖質抜きで行います。
(ただし、それができるようになるまでは2~3か月は適応に時間がかかります。)

スリープローと比べると糖質を使った速い動きに弱さはありますが、ゆっくりと長い距離を失速なく走り続けるには糖質制限の方が強いと思います。

私はウルトラマラソンがメインなのでスリープローではなく糖質制限を実施しています。

フルマラソンがメインの人ならスリープロー、ウルトラマラソンがメインの人なら糖質制限の方が効果はあるかなと思います。
(ただし、ウルトラマラソンを速いスピードで走るトップランナーはスリープローでスピード練もしっかりする方が良いかと)

あと、ウルトラメインでも糖質制限まではできないという人は普通の食事よりはスリープローを試した方が効果があるのでおすすめです。

まとめ

  • スリープローは空腹状態でのランニングによる筋グリコーゲンの温存力アップとスピード練習を両立するように考案された食事法
  • 朝空腹状態でランニングをし、朝食と昼食でがっつり食べて夕方にスピード練習。夕食は糖質を減らすというやり方
  • スリープローはフルマラソン、ウルトラマラソンを走る人におすすめ
  • ウルトラマラソンに挑戦する人はスリープローをさらに超えて糖質制限も良い

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