こんにちは。
ランニングショップHolosの小谷です。
あなたは、レース中にトイレ(大)に行きたくなってしまったことはありますか?
私は競技時間が長いウルトラマラソンをメインで走っていることもあり、トイレに行きたくなることはしょっちゅうでした。
今でも思い出すのが大学2年生のとき、初ウルトラに挑戦したときです。
秋田の100kmマラソンに出走したのですが、当時の目標は9時間半(所属していたジョギングサークルのサークル記録更新)でした。
当時はウルトラマラソンの情報も少なく、数少ない経験者のブログを読んで参考にしながらレースの準備をしました。
「100kmはとにかくガス欠しないように食べることが大事」と学んだ私は前日はしっかりカーボローディング。
当日の朝もスーパーで買ったパンやおにぎりを詰め込み、「これでガソリンは満タンだ」という気持ちでした。
朝食後にホテルできちんとトイレ(大)をすることもでき、自分なりに「これで準備は万端」という気持ちでスタートラインに立てました。
楽にマイペースで走り出しても順調に貯金を作っていくことができるくらい練習ができていました。
30kmくらいからのややキツイ上り坂も思ったよりペースが落ちず、順調でした。
しかし、35kmくらいでトラブルが発生。
少しずつ便意をもよおしてしまったのです。
「さっきホテルで出したばっかりなのに!」
と経験不足だった私は焦り始めました。
「ここまでに作った貯金がどれくらい失われてしまうのだろう?」
「後半は絶対失速するし、減った貯金で目標を達成できるだろうか?」
「ひょっとして、1回トイレに行っても、またゴールまでに便意が出てくるのではないか?」
そんなことが頭をめぐりました。
そして、「せめてレース中はトイレ(大)は1回だけになるようにしよう」と、無理のない範囲で我慢しながら走って、42kmを過ぎたあたりのトイレに入ったと記憶しています。
仮設トイレの中で、疲れた脚で腰をかがめるのが辛かったこと、時計を気にしながら「早く早く」と焦った気持ちを今でも思い出せます。
結果としては、トイレ(大)はその1回だけで済み、9時間20分台でゴールして目標を達成できた私でしたが、その経験があって「100kmはトイレが1回は当たり前でそのロスタイムも考慮したレースプランにすること」が疑うことのない前提になっていきました。
その後、250kmのような超ウルトラにも挑戦するようになりました。
競技時間が長くなるのでトイレ(大)の回数も2~3回と増えましたが「このロスタイムはどう工夫しても改善できない」と信じていました。
でも、それが変わる出来事がありました。
私は2017年の9月から糖質制限に挑戦を始めました。
理由は24時間走の世界選手権の歴代優勝者の多くが糖質制限をしていることを知ったからです。
関連書籍を読み漁り、自分にあった方法を試行錯誤して1年経った2018年の神宮外苑24時間走で255km(当時のセカンドベスト)の記録を出し、「脂質代謝って凄い!」と感動したことを今でも覚えています。

糖質制限をするようになってからは、空腹状態で走ることが私の中で当たり前になっていました。
そして「ひょっとしたら、24時間走でも朝食抜きで走っても問題ないのではないか?」と考えた私はそれを試してみることにしました。
2024年3月に開催された宮古島ウルトラトラックレース(24時間走)を私は朝食抜きでスタートラインに立ちました。
すると驚くことに100km、160km、200kmと走っても、便意がわいてこなかったのです。
お腹の中が軽くて快適。
吐き気や食欲不振の胃腸トラブルもありませんでした。
結果としては、24時間を1回もトイレ(大)を我慢することなく走り切り優勝することができました。

ゴール後もトイレにかけこむことはなく、元気な胃腸でしっかり昼食をとることができました。
昼食からしばらくして、ようやくトイレに行きました。
スタートして30kmでトイレに行きたくなっていた初100kmのときとは雲泥の差です。
便通サイクルはコントロールできる。
そして、それができると、ウルトラはより快適に走れるようになると私は考えるようになりました。
その後、2024年11月の台湾の24時間走でも朝食抜きで走り、264kmの自己ベストを12年ぶりに更新しました(この時もトイレ大は1回も行っていません)。
先月は神宮外苑24時間走に挑戦し、別の体調不良で11時間過ぎにリタイアしてしまいましたが、やはりトイレの不要なストレスやロスタイムはありませんでした。
食事で食べたものが便になるのにかかる時間は健康な成人で一般的に24~48時間程度と言われています。
結構差が大きいですが、食事の内容や腸内環境、個人差によるものです。
また、運動や食事によって腸の蠕動運動が活性化すると、一時的に便通が良くなります。
これらの要素を掛け合わせると、レース中に不要な便意を減らすためには前日と当日の食事が重要であることが分かってきます。
私が初100kmのとき、レース当日に
- スタート前のホテル
- 42km地点
- ゴール後(すぐにトイレに行った)
3回ももよおしたのは、前日の炭水化物の食べ過ぎによってお腹の中に溜まっていたことが主な要因だと思います。
さらに朝食もしっかり食べてしまったことで、腸を刺激し、かつお腹が重くなるストレスを生んでいたと分析しています。
また、もし24時間走などより長い競技時間であれば、当日の朝食も便のかさを増すめ、トイレの頻度増につながると考えられます。
便通のサイクルには個人差がありますが、私の場合は
- 前日にカーボローディングといって食べ過ぎない
- 当日の朝食も抜く(スタート時間にもよりますが、先月の神宮は11時スタートでも朝食抜きでいきました)
ことで、24時間走クラスでもお腹をかなり快適に保てるようになりました。
もちろん、食べないことを優先しすぎてエネルギー不足になってはいけませんが、実はカーボローディングのためには食べる量をそこまで増やす必要は無いことも分かっています。
このあたりの詳細については、『ウルトラマラソン栄養完全ガイド』で解説していますので、さらに知りたい方はご参照ください。
これから始まるウルトラのシーズン。
ひとつ、提案があります。
まずはレースではなく、ウルトラを想定したロング走の練習で試してみてください。
前日の食事をいつもより少し控えめにして、当日の朝食も軽めに、あるいは抜いてみる。
走りながら、お腹の状態を観察してください。
「意外と、食事が少なくてもガス欠しないかも」
「そういえば、前日にしっかり食べたときはトイレが多かったかも」
そんな小さな気づきが出てくれば、それで十分です。
空腹状態で走ることへの慣れには個人差があります。
何度か繰り返すうちに、自分なりの感覚がだんだんつかめてくると思います。
良い手応えが感じられたら、ぜひレースでも試してみてください。
今日もお読みいただき、ありがとうございました!
