ウルトラマラソン

 糖質100g/hr補給の時代へ?ウルトラ補給戦略の新潮流

2026年2月28日

こんにちは。
ランニングショップHolosの小谷です。

今日はウルトラマラソンのエネルギー補給(糖質補給)に関して、最新の話題をご紹介したいと思います。

先日、ザック・ビター(Zach Bitter)さんのポッドキャスト『Human Performance Outliers』を聞いていました。

ザック・ビターは100マイルの元世界記録保持者(11時間19分13秒)です。

ちなみに彼がこの記録を樹立した2019年アメリカで開催された『Six Days in the Dome』に私も6日間走で出場していて、その走りを目撃しました。バネの効いた飛ぶような走りだったのが印象的でした。

私が彼を初めて知ったのは糖質制限がウルトラマラソンにどう役立つのかを調査していたときです。

書籍によると、糖質制限をすることで飛躍的に脂質代謝が高まり、それが100マイルを高速で失速せずに走り続ける持久力につながったとの分析でした。

彼が普通の食事から糖質制限へと舵を切った理由はレース中の胃腸障害でした。

走り続けるためにはエネルギーが必要ですが、補給量があるポイントを超えるとそれ以上食べられなくなってしまう。

つまり、「体が必要とするエネルギー」に「胃腸が吸収できるエネルギー」が追い付かなくなることがパフォーマンスを制限していると彼は考えました。

そこで、体に十分にある体脂肪というエネルギー源をよりスピーディに燃やせる体作りにシフトしたら(糖質への依存度を減らしたら)、この壁を越えられるのではないかと仮説を立てました。そして、先述したような大記録へと繋がっていったそうです。

しかし、ザック・ビターさんの考えが最近変わりつつあることをポッドキャストでは話していました。

「低糖質で少ない補給で走れる体作り」から「大量の糖質を補給できる胃腸作り」へのシフトです。

この180度の方針転換の背景を彼は「ウェスタンステイツ100などの主要レースで、トップ10入賞者のほとんどが1時間あたり100g以上の炭水化物を摂取しているという事実を目の当たりにしたため」と語っています。

私はトレイルの事情には疎いのですが、デビッド・ローチ(David Roche, Leadville Trail 100を15時間26分でコースレコード。ランニングコーチ)などの実例が話されていました。

このようなエリート層での実績があること。そして、ザック氏も以前は知らなかったような「胃腸の消化吸収力を高めるための方法」が知られるようになってきたことを踏まえて、彼もまた新しい方法にチャレンジしてみようと思ったそうです。

それまでの自分の考えに固執せず、向上心をもって、実験感覚で楽しむという姿勢が良いなと私は感じました。

大量の糖質を補給できるようになるための方法として、ポッドキャストでは

  • マルチトランスポーター法(ブドウ糖と果糖の比率を工夫して吸収力を上げる方法)
  • 日常の食事から糖質の比率を高めること(PFCバランスの調整)
  • レース中の十分な水分補給(脱水による胃の排出速度の低下が胃腸障害につながる)

などが紹介されていました。

「1時間あたり100g以上の糖質」という数値は、胃腸の能力が思っている以上に鍛えられる可能性を示してくれています。

トレーニングや日常の食事の工夫次第で、吸収できるエネルギー量は大きく変わるかもしれない。
これは市民ランナーにとっても希望のある話です。

ただ、100gという数値そのものをすぐにマネする必要はないと私は思っています。

エリートアスリートと市民ランナーではエネルギー消費速度(ペースに比例)も違いますし、胃腸トレーニング(大量に食べながら走る練習)を存分に行う時間的余裕がない人も多いでしょう。

  • 脂質代謝アップによる「少ない補給で走れる体作り」
  • 胃腸トレーニングによる「大量に食べられる胃腸作り」

ウルトラマラソンには2つの戦略(どちらか一つというよりはそのバランス)があります。

私はというと、まだ前者の脂質代謝に比重を置いた戦略を磨いている途中です。

最近は空腹ランニングの絶食時間を増やしていて、15~16時間くらい絶食してからトレーニングするようにしています(これが正しいのかは分からず、実験的な段階です)。

また、以前のように糖質制限はしておらず、日常生活では糖質もよく食べているので、レース中に補給できる糖質量は増えていると感じます。

目標とするレベルや食事の好み、個人差などによって、選べる戦略は様々です。

ぜひ皆さんご自身の状況に応じて試行錯誤していくことを楽しんでいってください。

今日もお読みいただきありがとうございました!

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