こんにちは。
ランニングショップHolosの小谷です。
今日は「ランニングの習慣化」について、考えてみたいと思います。
私は今、ランニングを始めたばかりの方に向けたテキストを書いています。
私は来年の3月に、起業して法人化してから10周年を迎えます。10周年を迎えられたことへの世間様へのお礼として「走る楽しさをもっと多くの人が享受できるようなコンテンツを作ろう」と思ったのがきっかけです。
せっかく走り始めたのに、続かずにやめてしまう人は少なくありません。そんな方を「ランニングの世界へようこそ」と迎え入れる、お便りのようなテキストにしたいと思っています。
その中の「どうすれば走ることを習慣にできるか」という章を書きながら、ふと思いました。
これは初心者の方だけの話ではないな、と。
Holos通信の読者の皆さんは経験者が多く「どんな練習をすればいいか」はある程度ご存じの方が多いと思います。
それでも、「月間200km走る」と決めたのに、ついサボってしまった。
ポイント練習を先延ばしにしているうちに、練習不足のまま大会を迎えてしまった。
そんな経験はないでしょうか。
何をすべきかは、わかっている。でも、それを続けられない。多くの人が悩んでいるのは、実はここなのではないかと思います。
そこで、今日は作成中のテキストの中から、習慣化の話題をピックアップして皆さん向けにお届けしようと考えました。
方法は2つあります。行動している場面を先にイメージする方法と、その一歩手前の「どんな自分でありたいか」から考える方法です。
どちらも、行動ではなく考え方の順番を変える、というのが共通点です。
後半では、これを書いている私自身がハマってしまった最近の失敗談もお話しします。
方法1:行動している自分を、先に頭の中で見る
1つ目は「アファメーション」と呼ばれる方法です。
私が影響を受けているルー・タイス氏(コーチングの父と呼ばれる)は、習慣を「行動」からではなく「考える」ところから変えてみてはどうか、という趣旨のことを語っていました。
例えば、筋トレを継続したいと思っているとしましょう。筋トレを続けるのも結構難しいんですよね。
私自身、ジムに通い始めて3週間ほどは続くのに、何かをきっかけに行かなくなり、「自分は根気がないな」と落ち込む。そんなことを何度も繰り返してきました。
アファメーションは、いきなり行動するのではなく、行動している自分を頭の中で繰り返しイメージしておく方法です(あるいは行動と並行してアファメーションをしてもOKです)。
やり方の例
「毎週日曜日にジムで筋トレをする」という目標なら、こんなふうにします。
- 「私は日曜日になったら、ジムで筋トレをする」とカードや付箋に書き、目につく場所に置く。
- 平日も含めて毎日、たとえば朝起きたときにその付箋を読み上げ、目を閉じて以下のイメージをする。
- 日曜日のいつもの時刻に家を出て、ジムに向かい、筋トレをして、終わって達成感を味わっている自分。
そこまでの場面を、自分の目線(一人称)で思い浮かべる。
かかる時間はたった1分ほどです。これだけで新しいことの定着のしやすさが変わってくるのを私は実感しています。
大切なのは、1回の長さより「回数」
習慣化では、1回の長さよりも、繰り返す「回数」が大切だと考えられています。ジムに入会したばかりの111人を追跡したカナダの研究(Kaushal & Rhodes, 2015)では、運動が習慣になるには、少なくとも週4回を6週間続けることが目安だったと報告されています。
上記の例の場合、実際にジムへ行くのは週1回でも、毎朝1分のイメージを合わせれば、筋トレに触れる機会は週7回になります。1分のイメージが実際の行動と同じ効果を持つとまでは言えませんが、「筋トレをする自分」に触れる回数が増えるほど、それが自分にとってのリアリティになり、自然と行動に移しやすくなる。私はそう考えています。
方法2:「どんな自分でありたいか」から始める
2つ目は「Be-Do-Haveの法則」と呼ばれる考え方です。
- Be:どんな自分であるか
- Do:何をするか
- Have:何を手にするか(結果)
この順番で考えます。方法1が「行動している場面」をイメージするのに対して、こちらはその一歩手前、「どんな自分でありたいか」という自己像の決定から始めます。
多くの人は、以前の私も含めて、「サブフォーを達成したい(Have)」→「そのためにこの練習をこなさなければ(Do)」と、目標から考えます。
意志の力で頑張り続けられれば、それでも上手く行くでしょう。しかし、それではなかなか上手く行かないというときに知っておきたいのがこの方法です。
Beから考えると、行動が自然に出てくる
いったん「サブフォー」という数字を脇に置いて、「トレーニングを通じて、自分はどんな状態でいたいんだろう」と考えてみます。たとえば、
- 目標に向かってトレーニングするのが楽しく、日々の練習に達成感を感じている私
- 運動のおかげで体が元気で、毎日いきいきと動けている私
そんな自分像をカードに書き、方法1と同じように、目につく場所に置いて日々眺めます(アファメーションのように口に出して、実際にそんな自分をイメージの中で体験するのも効果的です)。
自己像がしっかりしてくると、「そんな私なら、早朝ランに出るだろう」「こういう練習を週に何回か入れたい」と、やりたい行動が自然に浮かんできます。それをカレンダーに入れて実行していく。
その先に、結果(Have)がついてきます。それがサブフォーかどうかはわかりません。でも、少なくとも以前より体力のある自分にはなっているはずです。
また、「サブフォーを絶対に達成!」と結果(Have)からスタートした自分とは行動への感じ方が変わっていることに気付くと思います。この感情の変化というのが実はキーポイントです。
12年ぶりの自己ベストは、Beから始まった
2024年、私は24時間走の自己ベストを12年ぶりに更新することができました。このときに意識していたのが、まさにBe-Do-Haveの順番でした。
まず思い浮かべたのは、24時間走という競技を心から楽しんでいる自分。自分の成長を楽しんでいる自分です。
そういう自分だったら、こういう練習をするだろうな。こういうメニューをやってみたいな。そんな気持ちが自然と湧いてきて、それを実行していきました。そして、その結果として記録がついてきた。そんな感覚がありました。
もしあのとき「自己ベストを更新したい」という思いが強すぎるところから始めていたら、どうだったでしょうか。私は過去、そういう考え方で何度も失敗してきました。「この練習をしなきゃいけない」という義務感が強くなり、無理が生じて、続けられなくなってしまう。今でも気をつけていないと、同じパターンに陥ってしまいます。
……と、ここまで偉そうに書いてきましたが。
明日の100km、走らないことにしました
ここからは少し恥ずかしい話になるのですが……。
実は、明日の日曜日、私は弘前で100kmマラソンに出場する予定でした。
しかし、大会1週間前に体調を崩してしまい、今回はスタートしない、DNSという判断をしました。
「Be-Do-Haveが大事と言いながら、もう失敗してるのかい?」と突っ込まれてしまいそうですが、まさにその通りで、私は上記で自分が書いてきた罠に、自分でハマってしまったのだと思います。
調子が良かったからこそ
ここまでのトレーニングは順調でした。でも、最後に追い込みすぎてしまったのかもしれません。体の声や心の本音を押し切って頑張った結果、直前の1週間は「走らなきゃいけないのに、体が言うことを聞かない」という状態になってしまいました。
幸い、体調不良は長引かず、今は元気に動けています。ただ、このタイミングで100kmに出場するのはどうだろうか。正直に言えば、気持ちもそこまで上がらなくなっていました。それで、一度しっかり休むことを選びました。
あと、もうひとつ、背景があります。
8月の上旬、妻の妊娠がわかりました。とても嬉しいニュースです。
ただ、その頃からつわりが始まり、今も続いています。上の2人の子どものときは2か月ほどで落ち着いたのですが、今回は3か月近く経った今も続いていて、妻にとっては本当につらい期間になっています。子どもの送り迎えや家事など、私が担う部分も増えていました。
弘前に向けたロング走の時期は、ちょうどこのつわりの期間と重なっていました。今振り返ると、夫婦ともに負担を抱えながらの数か月でした。言い訳に聞こえるかもしれませんが、私自身は「こういう状況でも、うまくトレーニングを積めている」と思っていました。そして、調子が良かったからこそ、欲が出てしまったのだと思います。
「これは自己ベストを狙えるかもしれない」。
そう思った瞬間から、「こんな自分でありたい」というBeが抜け落ち、目がゴールのほうばかりに向いてしまった。その結果、無意識のうちに自分にプレッシャーをかけ、無理を重ね、最後は体が拒否した。今回の失敗を、私はそう分析しています。
特に調子が良いときにこそ、結果に心を奪われないようにする。これが、今回私が受け取った一番大きな宿題です。
見つめ直した「私のBe」
そこで、改めて「そもそも自分は、トレーニングを通じてどんな自分でありたいのか」を見つめ直しました。
出てきたのは、こんな自分像です。
- トレーニングそのものの喜び、「こんなことができるようになった」という成長の喜びを感じている私
- その喜びを、多くの人と分かち合っている私
- トレーニングを通じてインスピレーションに満たされ、それをメルマガで皆さんに届けている私
メルマガを書くとき、私はインスピレーションをとても大事にしています。そして、トレーニングをしていると、自分がそれで満たされていくのがはっきりとわかります。
このBeを考えていると、「そういう私なら、日々の練習はこうするだろう」「食事の選び方や睡眠、生活習慣はこうなるだろう」と、具体的な行動が自然と浮かんできます。それを別のカードに書き出し、目に見える場所に置いて、実際に行動しています。
不思議なもので、こうして出てきた行動は「やりたい」と思えるので、無理がほとんどありません。やればやるほどエネルギーが湧いてくるような感覚です。
この先、良いタイミングで大会に出れば、何か結果が出るかもしれません。もちろん、出なくてもいい。なぜなら、「トレーニングを楽しんでいる自分」というBeは、もうすでに叶っているからです。
今回の弘前はDNSになりましたが、このカードを毎日見つめ直しながら、またトレーニングを楽しんでいきます。そこで感じたことやインスピレーションを、これからもHolos通信でお届けしていきますね。
まとめ:まずは「1分のイメージ」から
もし今、やるべき練習はわかっているのに続かない、ということがあれば、まずは方法1から、こんなふうに始めてみてはいかがでしょうか。
- やりたいことを、できるだけ具体的に決める
- それを「いつ」「どこで」やるかを決める
- 毎朝1分、それをやっている自分を一人称でイメージする
「いつ・どこで」を決めておくことは「実行意図」と呼ばれ、行動に移せる確率を高めることが多くの研究で示されています。そこに1分のイメージを重ねるだけで、続けるハードルはぐっと下がります。
最後に、私がとても好きな言葉をひとつ。
「三日坊主でも、再開すれば継続のうち」。
途中で止まってしまっても、自分を責めずに、また始めればいい。今回の私も、まさにそこからの再スタートです。
一緒に、長く楽しく走っていきましょう。
今日もお読みいただき、ありがとうございました。