小谷のブログ

「待つ力」がランナーを強くする

2026年1月17日

こんにちは。
ランニングショップHolosの小谷です。

今日は、いつもとは少し違うテーマでお話ししたいと思います。
それは「待つ力」についてです。

12月の炎症と、走りたい気持ちとの葛藤

これは先月のことです。

遅延型フードアレルギー(特定の食品を食べた後、時間が経ってから体に炎症が現れるタイプのアレルギー)の症状と思われる、膝の激しい炎症に見舞われました。

朝起きると、少しの段差のために足を上げるのも痛い。階段は後ろ向きにしか降りられないほどの激痛です。

不思議なことに、昼から夕方にかけては痛みが引いて、運動もできるようになります。

しかし翌朝になると、また激しく痛む。この繰り返しでした。

9月に体調不良のためランニングゼロだった私は、10月から再開し、10月・11月と順調にリハビリを進めてきました。

12月はより充実したトレーニングができることを楽しみにしていたのですが、この炎症によって思うように走れなくなってしまったのです。

1月には久々に大会にエントリーしていました。

本命レースではありませんが、大会の雰囲気を楽しみながら体力テストができる機会です。
11月末まで順調だったこともあり、期待値が少しずつ高まっていました。

「このくらいのタイムで走りたいな」という欲も出てきて、「もっとトレーニングしたい」という気持ちが強くなる。でも、炎症で走れない。

この葛藤の中で、自分にこう言い聞かせました。

「1月の大会はあくまでテストのつもりだった。動きが悪い中で走って本当の故障になってしまってはいけない。

長期的には炎症を完治させるのが最優先で、その上で可能な範囲で体力を維持することが最善だ」

今回はこうして、焦らず「待つ」ことを選ぶことができました。

12月はちょうど仕事でウルトラマラソンのテキストの執筆も真っ最中で、仕事に向かえば楽しかったので、それが「思うように走れない」という悩みに自分の意識を向かわせない助けにもなりました。

ランナーが直面する、さまざまな「待つ」場面

考えてみれば、ランニングには「待つ」ことが求められる場面がたくさんあります。

故障からの回復を待つ。

私のように炎症や怪我に悩んでいるとき、焦らずに完治を待つのは意外と難しいことです。

大会が近づいていたり、順調だった練習が中断されたりすると、どうしても「早く走りたい」という気持ちが先走ってしまいます。

練習負荷の向上を待つ。

真面目で努力家な方ほど、練習負荷をすぐに上げてしまいたくなります。

しかし、体が適応するには時間が必要です。
焦って負荷を急激に上げれば、故障のリスクが高まってしまいます。

成長するのも、「待つ」ことが必要といえます。

補助トレーニングの効果が出るのを待つ。

筋トレ、体幹トレーニング、ホッピング(プライオメトリクス)などの補助トレーニングを始めても、すぐにはランニングの成果として実感できません。

効果が出るまでには個人差がありますが、少なくとも3ヶ月以上。半年くらい継続してようやく「続けてきて良かった」と思えることもしばしばです。

栄養の効果を待つ。

食生活を改善しても、すぐに病気にかからなくなるわけでもなければ、快調を実感できるわけでもありません。

しかし、良い選択の積み重ねが、着実に生活の質を変えていきます。

Catalyst Cardio Performanceのような即効性のないサプリメントも同様に体質が変わってくるのを信じて待つ必要があります。

なぜ今、「待つ」ことがこんなにも難しくなったのか

最近の社会の変化を見ていると、私たちは「待つ」ことができなくなってきているのではないかと感じます。

ネットで注文すれば翌日には商品が届く。電子書籍はダウンロードすればすぐに読める。お菓子が欲しければ、すぐそこにコンビニがある。

動画もショート動画を見る人が増えていて、長い動画や書籍への苦手意識を持つ人も増えているようです。

こうした即時満足の文化の中で、農業やガーデニングをしている人たちを見ると、率直に「すごいな」と私は思います。

種を蒔いて、水をやって、雑草を管理し、収穫までじっと待つ。
その忍耐力に尊敬の念を抱きます。

正直に告白しますと、私自身も昔より「待つ」ことができなくなっている自覚があります。

子供に「ちょっと待ちなさい」と言いながら、大人の自分の方が待てない人になっているのではないか。
そんな風にハッとする場面が、生活の中で時々あります(汗)。

ウルトラ本の執筆で学んだこと

仕事の面でも、「待つ」ことを実践する機会がありました。

昨年11月に「フルマラソン栄養完全ガイド」という書籍を発売しました。

130ページを超える本書を完成させたことは、私にとって大きな成功体験となり、「待つ」ことの大切さを実感する機会になりました。

そしてこの経験が、次のプロジェクトへの勇気になりました。

現在制作中のウルトラマラソンのテキストは、メルマガ1本を書くのとは比べものにならないほどの時間がかかる大作です(なんと、450ページ以上のボリュームに!)。

今、全ての原稿がひとまず完成し、最終チェックと微修正の段階に入っています。

再来週にはテスト印刷して、問題がなければ2月上旬~中旬に発売できるのではないかという見込みです。

ウルトラ版テキストの原稿チェック中。内容の充実度も読みやすさ(視認性)もフルマラソン版から強化しています。完成をお楽しみに!

この執筆プロセスで学んだことがあります。

それは、毎日少しだけでも執筆を進めて、小さな進歩でも「やったぞ!」と自分を鼓舞することの大切さです。

また、厳密な締め切りを決めずに、自分のペースで仕事を進められたことも、挫折を回避できた理由かもしれません。

この経験は、私にとって「地道にコツコツ完成を待ちながら仕事ができた」という成功体験になりました。

そして、これはマラソンというレースを走ることや、そのためのトレーニングプロセスとも同じ感覚だと気づいたのです。

バランスの取れたエネルギー分配

では、どうしたら「待つ」ことができるようになるのでしょうか?

私もまだ鍛錬の途中なので、良い方法があれば教えてほしいくらいです(笑)。

ただ、実体験として効果があると感じているのは、「一つのことだけに関心を奪われるのではなく、幅広いバランスの取れたエネルギー配分をすること」です。

私の場合、主にエネルギーを注ぐ対象は3つあります。①ランナーとしてのトレーニング、②Holosの仕事、③家庭、の3つです。

ランナーとしての競技力向上だけを見過ぎてしまうと、「もっと早く成長するためにトレーニング負荷を一気に上げたい」という衝動が湧きやすくなります。

しかし、好きな仕事を始めると、それに意識が(良い意味で)奪われて、トレーニングを休んで待つことができるようになります。

逆に、仕事が楽しすぎて没頭しすぎると(最近のウルトラのテキスト作りがそうなりつつありますが…汗)、「この仕事を早く完成させたい」と待てない状態になってしまいます。

その結果、トレーニングをついサボってしまったり、家族との時間に集中できなくなったりすることがありました。

実際、最近はウルトラ本の執筆が楽しくて、ついスケジュールを執筆優先にしてトレーニング時間が短くなってしまったり、タイミングを逃してジムでの筋トレを休んでしまったりすることもありました。

家族とリラックスするはずの時間も、じれったく感じて、ソワソワしてしまう。リラックスに集中できなかったのです。

この3つのバランスが崩れる—何か1つに過熱的になりすぎる—と、最終的には上手くいかない。そんな失敗パターンを、私は何度も繰り返してきました。

そして、バランスを崩す原因には、いつも「早く達成したい」「早く欲しい」という「待てない心」がありました。

この失敗パターンに気づいてからは、「早く達成したい」という対象から意図的に視線をずらし、他の好きなことに没頭するようにしています。

ときどき俯瞰的になって視線をずらす。

そしてまた、今やっていることに集中する。

そんな意識のシフトをバランスよく循環させられるようになったら、成長のプロセスをより満足のいくものにできるのかなと思っています。

まだ私は「意識して気づいて、早く修正するように心がける」という段階ですが、練習を重ねて少しずつ改善できればと思っています。

「待つ力」は、意図的に鍛えるもの

「すぐに成果を」というスピード重視の潮流の中で、「待つ力」を意図的に鍛えていくことが大切なのかもしれません。

これは、マラソンという競技で成長していくためのマインド面でのヒントになるのではないでしょうか。

焦らず、地道に、コツコツと。プロセス自体を楽しむことができれば、成長の道のりがより満足のいくものになるはずです。

さて、以上が最近私が考えていたことですが、皆さんは「待つ」ということについて、どのように思われたでしょうか?

今回の内容が多少なりとも、皆さんのヒントやエネルギーに繋がれば嬉しいです。

今日もお読みいただき、ありがとうございました。

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