ケア・故障予防

体力のポテンシャルを伸ばす。リカバリー3大要素を見直そう

2025年12月6日

こんにちは。
ランニングショップHolosの小谷です。

今日は皆さんの走力のポテンシャルを左右する要素である『リカバリー』について考えてみたいと思います。

著名な自転車競技のコーチであるジョー・フリール氏が著書の中で、こんなことを語っています。

もし競技力を高めるために必要な遺伝子を神様に頼んで授けてもらえるとしたら、間違いなく疲労回復に長けた遺伝子を選ぶべきだ

スピードでもなく、持久力でもなく、回復力。
これがトレーニングで成長するための最も重要な要素だと彼は語ります。

なぜなら、トレーニングの質と量は、回復力によって決まるからです。

回復が早ければ、より頻繁に、より強度の高い練習を積むことができます。
逆に回復が遅ければ、どれだけ時間があっても、どれだけやる気があっても、体がついてきません。

つまり、体力のポテンシャル=リカバリー能力と言っても良いでしょう。

今回は、このリカバリー能力を高めるための基本中の基本である、リカバリーの3大要素について一緒に見直していきましょう!

リカバリーの3大要素とその相互関係

リカバリーの柱となる3大要素、それは「睡眠」「栄養」「精神(メンタル)」です。

複雑に考える必要はありません。
まずはシンプルにこの3つの改善点を見つけて、行動にうつすことが大切です。

この3つの要素は互いに深く関係し合っています。

睡眠不足は、メンタルのコントロールを難しくします。
些細なことでイライラしたり、落ち込んだりしやすくなります。
また、満腹感を感じにくくなり、過食しやすくなることも知られています。

栄養不足は、中途覚醒など睡眠の質の低下を招き、睡眠中の回復力も低下させます。
また、メンタルの不安定さとも関連しています。

こちらの記事では睡眠の質を改善するためコツや栄養との関連について紹介しました。

『ランナー特有の朝のつらさ。寝起きのダルさがスッキリすると定評のある栄養素』

メンタルの不調は、不眠あるいは過眠(たくさん寝ないと回復できない状態)を引き起こします。
さらに自制心が低下して、食生活の乱れのリスクも高まります。

このように、3つの要素は独立した問題ではありません。

1つを改善することで、他の要素も改善する可能性があります。
なので、どれか1つでも良いので、改善のきっかけを掴むことが大切ではないでしょうか。

それでは、3大要素それぞれについて、もう少し詳しく見ていきましょう。

睡眠:走力を支える最強の基盤

睡眠については、時間(量)、質、規則正しさという観点で改善できるところはないでしょうか?

1日の中で覚醒度に波があるのは自然なことですが、日中(朝の活動を開始してから夕方に活動を終えるまで)に「眠気を我慢して頑張る」という感覚があるうちは、確実に改善の余地があります。

研究によると「十分に寝ている」と感じている人も、さらに睡眠時間を増やすことでスポーツパフォーマンスが向上することがわかっています。

仕事もある市民ランナーがこのレベルまで睡眠に投資できるかというと難しいと思いますが、睡眠時間には投資余地が大きい、つまり大多数の人がもっと寝ればもっと調子が上がるということは理解してほしいと思います。

私自身の睡眠改善の体験

最近の私は、睡眠時間を従来比で30分以上増やすよう生活改善に取り組んでいます。

練習からの回復も順調ですし、日中の生産性もこの方が高く、気分も安定しやすいというメリットだらけだと感じています。

今は1日の中で「まだ体が目覚めていないな」とか「今はエネルギーレベル(覚醒度)が低い時間帯だな」と感じることはありますが、眠気に耐えるような不快感を感じることはほぼ無くなりました。長期的にもこの方が健康的だと思います。

頑張ろうという意欲や根性論が強いと、どうしても睡眠時間を削りがちですし、社会的にも日本は睡眠時間が短い人が多いので、自分ひとりだけたくさん寝ることに心理的な抵抗もあるかもしれません。

しかし、睡眠時間を増やすために何かの時間を削ることは検討価値があると直感しています。

ある書籍では「睡眠のために時間を無駄にしていると考える人も多いが、実際には睡眠不足で無駄にしていることの方が多い」と書いてありました。一考の価値がある言葉だと思います。

小さな進歩から始める

とはいえ、いきなり毎日30分を投資しようとしても難しい人もいると思います。

寝室にスマホをもっていかない(気になったり、ブルーライトの影響を避けるため)

目覚ましはスマホのアラームでなくて時計を使う

布団に入ったら2回、深呼吸してリラックスする

というような小さな進歩でも良いので大切にして、改善点を模索していってほしいと思います。

栄養:自分と正直に向き合う

今回は栄養について「何が正しい食事か?」などには触れませんが、1つだけ意識していただきたいことがあります。

それは、食事・栄養について「本当はもっとこうした方が良いのに」とか罪悪感に感じていることは無いか?ということです。

食事法については専門家でも意見が分かれることがあり、何が正しいのかは人による部分もあるでしょうし、100点満点をみつけることは正直難しいと思います。

しかし、多くの人が直感的に感じている「正しそうな食事」「健康そうな食事」のイメージは大きく間違ったものではなく、80点くらいはあっていると思います。

しかし、実際の食事では誘惑や環境に負けて(食欲をそそるよう研究された嗜好品、コンビニがあちこちにあり簡単にジャンクフードが手に入るなど)、本意ではない食生活になってしまっている人もいるのではないでしょうか。

私自身も、本当は体に良いことをしたいのに、自制心を上手くコントロールできず不健康な食事に陥ってしまうことがあります。

自分の理想にどれだけ近づいているか

今回は「正しい食事は何か?」を探究するのではなく、自分が良いと思っている食生活に実際のところどれだけ近づけているのかを問うてみてはいかがでしょうか。

人によっては心理的にハードな質問かもしれませんが、自分に厳しい質問をすることで人生を変えるきっかけになるかもしれません(「良薬は口に苦し」といいますから)。

私の弁当生活による変化

最近の私は、ランチをできるだけ自宅から弁当を持参する生活に変えました(以前は外食することも多かった)。

お昼休みにジムで少し体を動かし、それから弁当を食べることで、①お金の節約、②時間も短縮、③食後の眠気も減って午後の仕事の生産性がアップと良いことばかりです。

朝に妻に弁当を用意してもらうので、それが手間ではないかと悪く思っていたのですが、実際には家計にとっても私の健康にもプラスですし、弁当を介した小さなコミュニケーションというか、私は私で妻への感謝の気持ちでランチを食べる時間ができるなど、結果として家庭のハッピーにつながっている気がします。これは想定していなかったメリットでした。

小さな一歩から始める

いきなり大きな改革をする必要はないと思います。
まず、今の食生活について自分に正直に内省する時間をとってみて、「こうした方が良いと思う」という点があれば、それを小さなステップからでも良いので実行に移してみましょう。

小さな一歩が次の一歩をよび、段階的に食習慣が改善していくことも期待できます。

自分を大切にした食事をできることは、心に安らかな喜びをもたらしてくれると思います。

メンタル:心の状態が体を変える

心の状態は健康状態を大きく左右することが知られているのに、その改善に目を向ける人は睡眠・食事と比べるとかなり少ないように思います。

しかし、実際にはプラシーボ効果やノセボ効果(プラシーボ効果とは逆で心理的な効果で悪い影響が生じること)という現象が知られているように、心がどんな状態であるかによって同じ生活をしていても人の体内での化学反応は大きく変わります。

楽観主義と悲観主義、考え方の癖、反射的に生じる感情などは、人生経験の積み重ねで作られてきたもので、変えることが難しいと考えられることが多いようです。

たしかに、部分的にはそうだと思いますが、大人になったら全然変えられないかというとそうではないと思います。

コーチング、カウンセリング、NLPなど、マインドを改善する手法は様々な形で探究されています。

今回はその詳細については触れませんが、心の状態がリカバリーに大きく影響していること、そして、それは科学的な方法と練習によって改善できるということを頭の片隅に入れてもらえたらと思います。

私のAI活用事例

これは人によって意見が分かれるかもしれませんが、最近の私はAIとの対話を通じて日々のストレスを軽減する取り組みをしています。

例えば「家庭でこんなことがあってイライラしてしまった」とAIに状況と自分の感情を話します。

すると、AIから状況を整理したり、勘違いの可能性、人による感じ方の違い、新しい視点での解釈などが得られ、対話を何回かするうちに自分の心も整ってきて、早く正常モードに戻ることができると実感しています。

当然ながら人間に相談するのとは効果が違いますが、少なくとも一人で抱えるよりは自分の状態を改善しやすいですし、普段はなかなか気軽に相談できる相手がいないという人には便利かなと思います。

AIとメンタルヘルスの分野はまだ研究が始まったばかりですので、安易におすすめして良いかは判断に迷ったのですが、少なくともこういう可能性もあるということで参考程度に聞いてもらえたらと思います。

他にも、メンタルケアの方法は様々なものが知られています(瞑想、ジャーナリング、仲間との対話など)。
興味のありそうなものがあれば調べてみても良いでしょう。

メンタル由来の疲労に Catalyst Spirits

このようなメンタル由来の疲労への耐性を高め、回復をサポートする狙いで開発したのが Catalyst Spirits です。

ロディオラロゼア、エゾウコギといったアダプトゲン(ストレス適応を助けるハーブ)に加え、冬虫夏草やスピルリナ(VO2max向上などランナー向け効果)をブレンドしており、日常でストレスに感じる場面が多い方、気分の安定に課題を感じている方に人気です。

お客様からも次のような声をお寄せいただいています。

仕事が忙しくてストレスが多かったけど、仕事と趣味のランニングが両立できたのは、これのおかげと思っています。朝晩5粒ずつ飲んでいます。(ぐでたまさん) 

こちらを飲む前はなにかと言い訳をつけては練習をさぼりがちでしたが、飲み始めて(プラシーボかもしれませんが)数日で、走ってもいいかなという気持ちにさせてくれました。
先月の走行距離は自分では走ったことない距離を走れていましたので、飲み忘れたくないサプリになっています。(仁さん) 

まとめ:10分間の振り返りから始めよう

リカバリーの3大要素、睡眠・栄養・メンタル。

これらは私たちの生活の中で既に習慣となっていることが多く、固定化しがちです。

自分にとっての当たり前となっており、そもそも改善の余地に気が付かないことも多いのではないでしょうか。

だからこそ、10分程度でも良いので時間をとって、次のような問いかけを自分にしてみてください。

  • 睡眠:「日中に眠気を我慢している時間はないか?」
  • 栄養:「本当はこうした方が良いと思っているのに、できていないことは何か?」
  • メンタル:「最近、ストレスで疲れていると感じることはないか?」

3要素のうち1つについてでも、自分の当たり前になっている習慣について、俯瞰して見直してみましょう。

「これが当たり前だと思っていたけど、本当はもっとこうなりたい!」
「これを変えたら、もっと調子が上がるかもしれない!」

そんな小さな気づきが、あなたのポテンシャルを大きく引き上げるきっかけになるかもしれません。

リカバリーの重要性を再認識し、小さなことでも改善に向けて行動を起こしてみましょう!

-ケア・故障予防
-,