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カーボローディングの新しい考え方|マラソンで失速を5〜7km遅らせる科学的方法

2025年11月22日

こんにちは。
ランニングショップHolosの小谷です。

今日は大会で本調子を発揮するための大会前日の食事とカーボローディングについて考えていきたいと思います。

明日は関東では、つくばマラソンが開催されます。

私が大学生の頃、記録が出やすい大会としてサークル友達と一緒に出場していました。
当時の思い出を振り返っていたら、前日の夕食のことを思い出しました。

サークルの友人と一緒に中華を食べに行き、カーボローディングと言ってラーメン、チャーハン、餃子の中華の王道(?)的な食事をガッツリ食べていました。

レストランを出るときはお腹いっぱいでしたが、「これが明日のエネルギーになるんだ」なんて話していたことを思い出します。

当時は若かったこともあり、これくらいの食事をしても翌日に響くことはなく、朝食も普通に食べられた記憶があります。
今ではとても考えられません。やはり、若さとは凄いなぁと思います。

胃腸の強さは個人差や年齢によって様々ですので、自分にあった食事戦略をとることが大切だと思います。

私の場合は、大学時代と今(37歳)で年齢による体の変化もあり、さらにスポーツ栄養学を学ぶことで、食事への考え方が変わってきました。

前日の食事・カーボローディングへの考え方の変化

昔:前日はエネルギーを蓄えるもの。だから、主食をメインに量を食べることが大事。

今:前日は調子を整えるもの。エネルギーを蓄えるのは3~7日のより長いプロセス。量より質が大事。

なぜこのように考えが変化したのか、その根拠について紹介したいと思います。

量ではカーボローディングにならない理由

まず、量をたくさん食べることへ疑問を持った理由です。

それは、「たくさん食べても、体が必要とする以上の炭水化物やタンパク質は体脂肪に変換されて蓄えられるので、マラソンに重要な筋グリコーゲンにはならない」という事実があるからです。

もちろん、普段から食べる量が少なく、もともとエネルギー不足という人ならもっと食べた方が元気が出ると思います。
しかし、現代の日本は飽食の社会のため熱量が不足している人は少数派でしょう。

ご自身にあてはめて考えてみていただきたいのですが、ご飯をいつもより多めに食べる日を続けたら、健康状態が良くなるというよりは太ってしまうという人の方が多数派ではないでしょうか。

満タンに近いガソリンタンクにさらにガソリンを入れようとしても溢れる(体脂肪になる)だけで、レースで使えるエネルギーとしては蓄えられにくいといえます。
むしろ、体の調子を整えることができずマイナス面の方が多くなってしまうリスクもあります。

では、レースの結果につながる正しいカーボローディング=ガソリンタンク自体を大きくして使えるエネルギーを最大化するには、どうしたら良いでしょうか?

スポーツ栄養学の知見では
①筋グリコーゲンを減らすようなやや負荷の高い運動をすること
②糖質の比率の高い食事をすること
が役立つと考えられています。

筋グリコーゲンを一度減らすことで蓄えるスイッチが入る

人の体はストレスがあるとそれに適応するように体が変化します。
筋グリコーゲンが枯渇とまではいかなくとも、体がストレスに感じる程度に減少させる負荷の高い運動をすると、体が「糖質を蓄えなければ」と考えて、より多くの筋グリコーゲンを蓄えるようになることが分かっています。

練習量の豊富なランナーが後半に強いのも、日常的に練習で筋グリコーゲンを減少させるストレスがあり、それに体が適応してより多くのエネルギーを蓄えられる体質になっていることが要因の一つです。

レースのためのカーボローディングという点では、レース1週間くらい前に15~20kmのマラソンペース走をすることで刺激が入り、レースに向けて筋グリコーゲンを貯めやすい状態に体がシフトすると考えられています。

ただし、1週間前の練習がハードすぎると疲労蓄積のリスクもあるので、体力に応じてバランスをとったメニューにしましょう。

高糖質食:PFCバランスのC=70を目安にする

スポーツ栄養学の研究では、食事のPFCバランス(タンパク質、脂質、炭水化物の比率)を変えることで筋グリコーゲン貯蔵量に変化があることを示したものがあります。

おすすめの実践としては、レースの3日前からPFCバランスのC(炭水化物のカロリー比率)=70%くらいを目指した高糖質な食事にすることです。

ちなみに、2019年の国民健康・栄養調査によると、日本人の平均的なPFCバランスはたんぱく質(P)15%、脂質(F)29%、炭水化物(C)56%となっています。

よって、普段よりおかずを20~30%くらい減らして、その分の主食を増やすというイメージがC=70%に近いかと思います。

最近はAI(ChatGPTなど)に食事の内容を伝えれば、簡単にPFCバランスを推定してくれるので便利になりました。
調べたことのない人は遊び感覚でAIに質問してみると面白いかもしれませんよ。

ポイントはPFCバランスというように食事の質(三大栄養素の比率)に注目することです。
食事の全体量を増やしたり、糖質を何グラム食べようと試みることはしません。

その代わりに、比率を意識して、あくまで自然な食欲に任せて量はコントロールします(タンパク質の比率が減ると満足感を感じにくいため、通常よりは食事量が自然に増えると思います)。

キツい時間帯を5~7km遅らせられる可能性

カーボローディングには実際どれくらいの効果があると考えられているのでしょうか?

ある研究では、適切なカーボローディングによって通常より10~20%筋グリコーゲンの濃度を高められることが示唆されました。

このインパクトを私なりに推測したところ、フルマラソンでいえば、おそらく

  • ジェル(糖質25g程度のもの)1~2本分を追加で摂取できたくらいの効果
  • 脚が重くなり始めるタイミングを5~7kmくらい遅らせられるほどの効果

であろうという計算になりました。

これは、私のランナーとしての実感値、直感ともだいたい一致します。

フルマラソンを走っていて、30km地点で脚にきて「あと12kmもある」と思うのと36km地点で脚にきて「あと6km頑張ればゴール!」と思うのでは、雲泥の差があると私は感じます。

あくまできちんとカーボローディングが成功したらの話ですが、この影響を考えるとカーボローディングのやり方を見直して、自分なりの成功法を探すというのはやってみる価値があるように思えます。

ウルトラマラソンでは胃腸のコンディショニングの優先度が高まる

カーボローディングは特にフルマラソンくらいの距離で効果が出やすいアプローチのように思います。

一方でウルトラマラソンではスタート時に蓄えるエネルギーも大事ではありますが、レース中に補給できるエネルギーの量も増えます。

そのため、無理なカーボローディングで蓄えるというよりは、胃腸を元気な状態にしておいてスタートしてからしっかり食べられるようにすることの優先度が高くなるといえるでしょう。

そういった意味では、今回紹介した「量より比率」に注目するカーボローディングは胃腸の負担も少なく、ウルトラ挑戦者も十分に実施価値があると思います。

量を意識したカーボローディングでは、筋グリコーゲンはさほど増えずに胃腸の疲労も抱えてしまうリスクがあるので、注意が必要かもしれません。

まとめ

今回の実践ポイントをまとめると

  • レース1週間前に負荷の高めの練習をして一時的に筋グリコーゲンを減少させる
  • レース3日前からPFCバランスのC=70%を目安とした高糖質食をする
  • 量は無理に増やそうとせず、自然な食欲に任せて食べて、胃腸を疲れさせない

となります。

上手くやれば失速を5~7km遅らせられる大きな武器になる可能性もありますので、是非どこかのフルマラソンで試してみてください。

今日もお読みいただき、ありがとうございました!


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