暑いウルトラマラソンの対策|低ナトリウム血症・マルチトランスポーター法

暑いウルトラマラソンの対策|低ナトリウム血症・マルチトランスポーター法

先週末は暑い中でチャレンジ富士五湖、さくら道国際ネイチャーランなどのウルトラマラソンが開催されました。
私の友人もたくさん出場していて、SNSでは「暑さにやられた」という声が多く流れてきます。
キーワードとしては嘔吐、腹痛、下痢、頭痛が目につきます。
(そして、それにも負けずに終盤復活して完走しているとの声が笑)

今日は暑い大会で特に注意が必要な低ナトリウム血症と糖の吸収を早めるマルチトランスポーター法について紹介します。

暑いときに一番(?)気をつけたいことは低ナトリウム血症です。
「塩分不足」というやつです。
発生確率が高い上にマイナスの影響が大きいので最優先といって良いくらい注意が必要です。

低ナトリウム血症の代表的な症状は

  • 運動能力の障害
  • 手足のむくみ
  • めまい
  • 嘔気、嘔吐
  • 頭痛
  • 意識が遠のく
  • 怒りっぽくなる、混乱する
  • けいれん
  • 尿が出なくなる

です。

低ナトリウム血症になるメカニズムはこうです。

  1. 暑さ+運動で体が熱くなると体温を下げるために汗をかく
  2. 汗と一緒に体内の塩分が排出される
  3. 飲み物+食べ物で十分な量の塩分が補給できないと体内の塩分が減り、低ナトリウム血症となる

よって、エイドでの給水を真水ではなくスポーツドリンクにしたり、塩分の豊富な食べ物を摂取することが大切です。

私個人としては塩分補給に干し梅や経口補水パウダーダブルエイドという商品を愛用しています。
(塩分補給用のサプリは色々ありますが、成分を見てみると意外と塩分が入っていないことがあるので要注意です)

先日のセミナーにて体液が薄まる・減少するメカニズムを説明中

塩分補給をする意外にも、塩分排出を少なくすることも役立ちます。

塩分が体外に出てしまうのは
気温+運動の発熱で体温が上がる→汗で体温を下げようとする→塩分排出
というのが原因でした。

よって「外から水をかける」ことで自分の汗に頼らずに体温を下げることも役立ちます
エイドで水をかぶれるときは首、腕、脚などを濡らすと楽になります。
(脚を濡らすときにシューズまで濡らしてマメが出来ないように注意)

低ナトリウム血症と別にもう1つ紹介したいことは「エネルギーの吸収を改善する方法」です。
暑い大会では内臓の機能も低下し
「エネルギーがきちんと吸収されない感じがする」
「下痢、腹痛に悩まされる」
という声をよく耳にします。

そんな時に改善のヒントになるかもしれないのが
「糖の組み合わせ=グルコースと果糖の割合を変えてみる
ということです。

レース中には多くの方がエネルギー補給に糖質を補給していると思います。
糖質にも色々と種類があります。

  • グルコース(ブドウ糖):ご飯などのデンプン、マルトデキストリンのジェルなどに多く含まれる
  • フルクトース(果糖):果物やはちみつに多く含まれる
  • スクロース(ショ糖):グルコースと果糖が1:1で合体したもの

実はグルコースのみを摂取した場合のエネルギーとして利用できる量は1g/分くらいですが、グルコースと果糖を合わせた場合は1.8g/分まで上昇すると言われています
グルコースと果糖を組み合わせることで約1.8倍のスピードで利用できる可能性があるのです。
(研究としてはグルコース:果糖=2:1の割合が推奨されている)

このスピードが向上する理由はグルコースと果糖で体内で使う輸送体が異なるためです。
例えばグルコースばかり摂取している時はグルコースを運ぶトラックは全て働いているけど、果糖を運ぶトラックは暇をしている
→果糖も摂取して果糖のトラックを動かせばもっと多くの糖質を利用できる
ということです。
(これをマルチトランスポーター法という)

これが分かると一見同じに見えるエネルギージェルも違った物にみえてきます。
成分をチェックすると例えばアスリチューンはマルトデキストリン系、メダリストは果糖系のようです。

エイドでデンプン系のごはんを減らして果糖系の果物を多くする(あるいはその逆)も何か変化を生むかもしれません。

清涼飲料水は果糖ブドウ糖液糖という果糖とグルコースが混ざった糖が使われています。
果糖が50%以上なら果糖ブドウ糖液糖、50%未満ならブドウ糖果糖液糖というように名称が違います。
(アクエリアスは前者、ポカリは後者でグルコース・果糖の比率が違う)

私が24時間走のエネルギー補給で多用してきたココアは砂糖(ショ糖)が多いので、食べ物と合わせるとグルコース:果糖比率が結構良かったようです。

糖の吸収が追いつかないときは腸に糖が残って下痢や腹痛の原因になることがあります。
吸収が課題かもという人は糖の組み合わせに注目してみるとヒントがあるかもしれません。