ピッチ走法とストライド走法についてのまとめ

ピッチ走法とストライド走法についてのまとめ

ランニングのピッチ走法とストライド走法

「ピッチ走法、ストライド走法って何?」
「どっちの走り方が良いの?」
「自分に合った走り方を知ってマラソンのレベルアップをしたい」

この記事はそんな方のために書きました。
具体的には次のことについて紹介します。

  1. 2つの走法の言葉の意味と特徴
  2. 自分に合った走り方の見つけ方
  3. 自分に合った走り方を身につける方法
  4. 発展的話題~レース中に2つの走りを使い分ける~

2つの走法の意味と特徴

まず前提知識として「ピッチ」と「ストライド」という言葉の意味について理解しましょう。

ピッチ:
走っている時の足の回転の回数を表します。
一般的には1分間に何歩走ったか(何回着地したのか)の回数を表します。

ストライド:
1歩の長さを表します。

1分間に進む距離=ピッチ×ストライド
という関係が成り立ちます。

ピッチ走法とは

歩幅が小さく足の回転数が多い走り方のことです。
つまり、ピッチが多くストライドが短い走り方です。
ただし、厳密にピッチが何以上ならピッチ走法というような基準はありません
あくまで相対的に同じようなペースで走っている人と比較して「あの人はピッチ走法だ」と言うことがあるだけです。

一般的に言われているピッチ走法の特徴は

  • 衝撃が少ないので筋肉の負担が少ない
  • 負担が少ないので故障しにくい
  • エネルギーロスが少ない

などがあります。

ストライド走法とは

ストライド走法はピッチ走法の逆です。
歩幅が大きく足の回転数が少ない走り方のことです。
つまり、ピッチが少なくストライドが長い走り方です。

一般的に言われているストライド走法の特徴は

  • スピードを出すときに有利
  • 衝撃や筋肉への負荷が大きいのでそれに耐えうる強い体が必要
  • 上級者向け

などがあります。

自分に合ったストライドの見つけ方

自分にあった理想のストライドを見つけるには「理想のストライドをどうやって決めるのか」という評価方法が必要です。
これについて私が最も信頼している評価方法はランニングエコノミーによる評価です

ランニングエコノミーは直感的に言うとランニングの効率性を意味します。
厳密にはランニング中にどれだけ酸素が消費されたかを計測したものです。
酸素がたくさん消費された
=筋肉でたくさんのエネルギーが使用された
=効率が悪いフォームである
ということが分かります。

例えばAさんBさん2人が時速10kmで走っているとします。
Aさんは1分間で酸素を10消費しました
Bさんは1分間で酸素を20消費しました
→Aさんの方が省エネで良い走りができていると考えます。

つまり、酸素の消費量とストライドの関係が分かれば、理想のストライドがどれくらいかを知ることができます。
そして、それを実験したところ下の図のような結果になったそうです。
*P.Cavanagh and K.R.Williams,1979,Runners’ World,14(7),p64

ストライドとランニングエコノミーの関係

この図が意味していることは
ストライドを意図的に長くしたり短くしたりするとランニングエコノミーが低下する。
無意識に(自然に)走ることで最も良いストライドになる。」
ということです。

興味深いことにこの無意識が一番というのは体格・走力など関係なく同じ傾向がみられたとのことです。

おそらく、練習を重ねるうちに一番酸素の消費が少ない楽な走り方を自然に学習するということでしょう。

よって私からの提案は
「ピッチ走法にしようとかストライド走法にしようとか考えないで自然に走ってはいかがでしょう」
です。

無意識がベストの例外|意図的にピッチを変えて成功するケース

ピッチ数が少なすぎる傾向にある人は意図的にピッチ数を上げる練習をすることで成功する場合があります。(初心者ランナーに多い)

著名なランニングコーチであるジャック・ダニエルズ氏は著書『ダニエルズのランニング・フォーミュラ』の中でピッチについてこんなことを語っています。

ピッチの目安は1分間におよそ180回以上である。
(小谷注:エリート選手を対象に言っていますが、市民ランナーでも180くらいを目安にして良いと思います)

経験の浅いランナーには160回くらいの人もいる。

ベテランランナーの場合は自然に効率的なストライド・ピッチで走っている。
しかし、経験の浅いランナーを対象にした研究では
ピッチの少ないランナーにピッチを上げさせるとランニングエコノミーが向上することが多かった

このようなピッチ数が少ないランナーは

  • ウィンドスプリント(50~200mを徐々にペースを上げながら気持ちよく疾走する練習)
  • ジョギングの時、いつもとペースは変えずにピッチを意図的に上げてストライドを狭める

などをすると180くらいのピッチにも慣れて楽に走れるようになるだろう。

つまり、ピッチが160~170くらいの方は意図的に180くらいまで増やしてみた方がランニングエコノミーが向上する可能性があります
(慣れるまで時間がかかると思いますので、気長にやりましょう)

ピッチは最近だと時計で測れる機能がついたものがありますね。
無ければ万歩計をつけながら10分くらい走って歩数を10で割るなどでも計算できます。
特に初心者の方は一度自分のピッチが適正範囲なのか調べてみると良いかもしれませんね。

応用編:レース中にピッチ・ストライドを切り替える

普段の練習では無意識に走れば良いのですが、レース中で体が極度に疲弊した時などにはあえて走り方を変えてみるというのもありかもしれません。

トップ選手の中にも意図的に動きを変えて疲れた部位を休ませる。
その結果ピッチが変わるという選手もいるそうです。

もはやストライドとかのレベルではありませんが、疲れた部位を休ませるという意味ではウルトラマラソンの選手でも意図的に動きを変える選手はいます。

48時間走の途中で歩きを加えることで走る筋肉を回復させたという話を聞いたことがあります。

私も24時間走中に体の使い方や意識を変えることはあります。
その結果楽になってペースが上がるということもあります。

ただし、ダニエルズ氏は「強い選手はレース序盤のピッチがその後もほとんど落ちない」と語っていますので、必ずしも変化を加える必要はありません。
この件については「そういう戦略もあるんだな」くらいに思っていただければよろしいかと思います。

まとめ

  • ベテランランナーならすでに理想のストライドで走っている可能性が高い。
    無意識で走っているストライドがおそらくベストな走り。
  • ピッチ数が160~170くらいの場合は180くらいのピッチに慣れる練習をした方が効率が上がる可能性あり。
    そのためにはウィンドスプリントや普段のジョギングで意図的にピッチを高めると良いかもしれない。
    その動きに慣れるまでに時間がかかるので気長にやりましょう。
  • レース中に疲れた部位を休ませるために意図的に動きを変える選手もいる

関連データ・リンク先

小谷の24時間走ピッチデータ

小谷の24時間走ピッチデータ

私の2016年神宮外苑24時間走のピッチ数のデータです。
スタートから8時間位まではほぼ5:00/kmくらいのペースですがピッチ数は180前後です。
この日は12時間位からキツイ時間になりピッチが落ちました。
後半で時々ピッチが回復していますが、それはライバルとの心理戦でペースアップをしているからです。
あの時は本当に苦しいレースだったなぁ。→当時の完走記

ピッチ修正の成功事例

ランニングクラブ「ウルトラプロジェクト様」でのピッチ修正による成功事例があったので記事をリンクさせていただきます。

本記事では初心者の方に多いと書いてしまったのですが、経験ある実力者の方でも意図的にピッチを修正することで上手くいった事例です。
前編と後編合わせてご覧ください。

メンバーの気づき~ピッチを上げてみた~前編
メンバーの気づき~ピッチを上げてみた~後編