食事・サプリ・栄養学

カロリー制限と糖質制限どちらがダイエットに効果的か?

2017年11月15日

ダイエットで大事なのは総カロリーか糖質量か?

昨日Facebookを見ていたら友人の間でこんな記事が盛り上がっていました。

糖尿病1000万人時代!「糖質制限」を徹底せよ~「カロリー制限だけ」は時代遅れすぎる~

記事のポイントはこうです。
「糖尿病の治療には以前はカロリー制限(食事のトータルのカロリー量を減らす)が推奨されていたが、現在では糖質制限(摂取する糖質の量を減らす)が主流になってきた」

私は医療の専門家ではないので、糖尿病云々については語れません。
ただ、記事の中にあった「ダイエットについてもカロリー制限より糖質制限の方が良いか」については関心があると思い記事にしてみました。
ランニングにおいて無駄な脂肪を減らすことは武器になりますからね。
(過度の痩せすぎはダメですが)

糖質制限の方が有効

私の現在の考えは「糖質制限の方が有効ではないか」です。
(気持ちとしては80%くらいの確信度)

そう考える理由はこうです。

まず実体験として、今私は糖質制限をしていますが、糖質を食べていたころと比べて体脂肪率が減少傾向にあるという点があります(糖質制限1ヶ月目報告書)。
食べる量を我慢しているということはなく、思うがままに食べたい量の食事を食べています(糖質を摂取していた頃と同じ感覚で食べている)。

体脂肪率の推移

総カロリーについて厳密に計算していませんが、脂質を結構な量摂っているので以前と比べて大きく減少したということは無いはずです。

また理論的に生化学(体の中で起こっている化学反応を研究する分野)の本を開いて調べてもみました。
代謝(体の中で物質が化学反応をしながら形を変えていくこと)の化学式や、その化学反応が起こる条件などを追っていくと「どうやら糖質制限の方が効果的らしい」という考えにいたりました。

以下では理論的になぜ糖質制限の方が効くのかについて直感的に分かるように説明をします。
(分かりやすさ重視のため一部厳密ではありませんが大筋を理解するには問題ないと思います)

脂肪の合成が促進されるのは血糖値が高い時

そもそも太るというのは中性脂肪(私たちが気にする体脂肪のこと)が合成される方向に化学反応が進むこと。
痩せるというのは中性脂肪が分解される方向に進むことです。

中性脂肪の合成が促進されるのは血糖値が高いという条件下である

というのが、糖質制限を支持する決定的な要因です。

*以下の説明は書籍『「代謝」がわかれば身体がわかる』を参考にしています
(↑初学者には難解ですが、ある程度体の知識がある人にはおススメの良書です)。

私たちが目にする食品のカロリーというのは「体内でATPを最大限これだけ合成できますよ」という見込みの数値です。
ATPはエネルギーの通貨だと思ってください。
「ATPを合成した量=運動や生命維持のために細胞が活動できるエネルギー量」です。

見込みの数値というのはつまり、必ずしもそれだけATPを合成するのに使われるとは限らないし、すぐに使われなかった分が全て体内に蓄えられるわけでもないということです。

ちょっと文章では伝わりにくいかもしれませんね。
ここからは小谷お得意の図で説明します。

図1:栄養素は脂肪に変換して蓄える

まず前提知識として。
食品から摂った栄養(糖質、タンパク質、脂質)は消化吸収されて体内に入ります。
それぞれエネルギーとして使われたり、体を作る材料になったりと活躍するのですが、食べ過ぎた分は余ってしまいます。
その余った分は化学反応によって中性脂肪に変換され体に蓄えられます(図1)。

この変換されるときに多くの方が抱くのではないかと思われるイメージが下の図2です。
(私も以前はこのように解釈していました)

図2:私が以前していた勘違い

この図はある勘違いを含んでいます
まずこの図の意味を説明します。
過剰な糖質、タンパク質、脂肪は体内の脂肪合成工場(化学反応)で脂肪に変換され、脂肪の倉庫(体脂肪)に蓄えられるというモデルです。

例えば糖質1kcal、タンパク質2kcal、脂肪3kcalが余っていたら、それぞれ脂肪に変換されて6kcal分の脂肪が合成されて貯まるということを図2では言っています。

何が勘違いだったのか?
図2の工場で働く人たちの言葉「Always工場稼働中」。
つまりどんな状態でも余った栄養素がしっかりと脂肪に変換されるというのが現実とは違っていたのです。

実際は図3のように血糖値で場合分けが生じます

図3:血糖値の高低が脂肪合成に影響する

血糖値が高い状態では脂肪合成が促進され、血糖値が低い時は脂肪合成が活発でない。
つまり、血糖値が高くなり過ぎないようにできれば脂肪が貯まらないので太りにくいということになります。
*この場合、余剰の栄養は脂肪として貯めないで他の用途に使われたり、排出したりされる

では、血糖値を高めるのは何か?
食事から入る糖質に他なりません。
よって、同じカロリーでも糖質のカロリーは太りやすいカロリーということになります。
*血糖値が低くても脂肪合成が完全に停止するわけではないので、トータルのカロリーオーバーが長期続けば肥満につながるとのこと

体は複雑

以上が私が糖質の量を気を付けた方がダイエット的には効果的だと考える理由です。

生化学の勉強をして気づいたことは「体は複雑である」ということです。
体ではいつも化学反応が起きていますが、その反応が起こる条件などが本当に芸術的、いや奇跡的なレベルでシステムとなって私たちは生きています。

紹介した書籍のなかで著者が
『身体について知れば知るほどに、何かを断定することは難しくなってゆく。
自分の身体について真に知ろうと思うなら、すでにわかっていること、たとえば基本的な代謝経路や調整機構を足掛かりにして、試行錯誤してゆく他ないのだ。』
と語っているのは強く共感します。

どちらかというと世の中ではシンプル礼賛というか、シンプルが良いという風潮の方が強い気がします。
シンプルは素晴らしい効果を発揮します。
ただ、頭で汗をかいて複雑なことと正面から向き合うことも真の理解のためには大切なんだと思いました。

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