ウルトラマラソン ノウハウ

スパルタスロン完走記と練習メニュー

2017年11月1日

スパルタスロンの練習方法と大会完走記(2017年)

この記事では2017年スパルタスロンを35時間39分で完走した森谷充雄さんの練習過程・大会の完走録を紹介します。

私は2017年の2月に森谷さんのパーソナル指導の依頼を受けました。
依頼内容は「8月のUTMBを完走してなおかつその1か月後のスパルタスロンを完走したい」とのことでした。
そんな挑戦私でも無理っぽいんですけど(笑)というレベルの難題に挑み、森谷さんはなんとやってのけたのでした。

この記事に私が期待することは次の2点です。

  • 今後スパルタスロンを目指す方が目標達成するための参考資料になること
  • より多くの方が更なる挑戦を楽しむためのきっかけやエネルギーとなること

なお、森谷さんの8ヶ月間の練習メニューはこちらからダウンロードできるようにしました(是非文章を読んでから参考にダウンロードしてください)。
トレーニングは個人に合わせて作るのが当然ベストですが、参考や心の拠り所はなると思います。

それでは、どうぞご覧ください!

スパルタスロンを走ろうと思ったきっかけ

2016年にウルトラマラソンとトレイルランニングを初めて、とてもマラソンを楽しむことができるようになりました。
以前より岩本さんの本でスパルタスロンの事は知っていました。
越後くびきの100キロでサブ10を達成し、参加基準を満たしたので是非挑戦したいと思いました。

パーソナルトレーニングが始まる前の走力

パーソナルトレーニングは2017年2月より始めました。
それより前は2017年3月の古河はなももマラソンで自己ベストを出すべく練習をしていました。

【2017年2月直近の記録】
2016年3月 古河はなももマラソン 3時間23分
2016年10月 越後くびきの100キロマラソン 9時間49分
パーソナルトレーニング直近のレースは
2017年1月 赤羽ハーフマラソン 1時間31分
2017年1月 小山マラソン記録会 5キロ19分50秒

【2017年2月までの練習方法】
基本的に岩本さんの限界突破マラソン練習帳を元に練習をしていました。
そのため、ポイント練習は15キロのビルドアップが中心でした。

パーソナルトレーニング開始から大会当日までの過程

【指示されたメニューを見た感想は?】
当初2月のメニューを作っていただいたのですが、週に2日休みが入っていて無理なくこなせそうだと思いました。
ただ、ポイント練習はきつそうでした。
3月以降のメニューについても、こなせない印象はありませんでした。
期間ごとに目的をもったメニューを作成していただいたので、単純にやらされている感じにはなりませんでした。
頑張ればもっとできるんじゃないかと思う一方、仕事が忙しくても無理なく両立することができました。

【時系列まとめ】
2017年2月から3月前半はフルマラソンの調整期間。
とても体調がよくて、万全の体制でフルマラソンに臨めました。
古河はなももマラソンで自己ベストの3時間14分を出すことができました。

3月後半から4月中は走り込み期間。
4月中旬に50キロ走2日連続でこなすのはとてもきつかったです。
4月は1か月で360キロ走り、月間自己最長距離になりました。

5月には萩往還140キロがありました。
腹痛が生じましたが、後半で復活しました。
18時29分、587人中20位で完走しました。
萩往還では課題をいただいていて、完走後もまだ走れる感じでいるように、とのことでした。
確かに、完走後もまだペチャンコにはなっていませんでした。
ただ、あと20~30キロはしれるかな・・という感じで、スパルタスロンを完走できるような気は全くしませんでした。

5月はスピード練習が主でした。
とはいっても、萩往還の後に比叡山トレイルも入れていて、スピード練習期間は短かったです。
ただ、ポイント練習は頑張りました。

6月はレースペース走。
7月に行われる日光100キロに向けての練習をしました。
6月10日 地元の記録会で5キロ18分58秒でした。
1月より1分も更新していて、練習の成果を感じました。
小谷さんは日光で9時間切り目標とおっしゃっていましたが、とても9時間を切れる気がしていませんでした。
また、暑さが苦手なのがとても不安でした。

7月2日 日光100キロ。
6月から7月は仕事がとても忙しく、疲れがたまっていました。
レース前日はもりや眼科5周年記念パーティーを開いていて、その会場のホテルを朝2時ころ出発して会場に向かい、疲労を残したままレースに臨むことになりました。
また、気温25度くらいまで上がったのですが、私にはかなり暑く感じました。
今回のレースで試そうと思っていた梅チューブを落として十分な電解質補給が出来なかったりもしました。
結果として後半30キロほどを歩いてしまい、結果として11時間5分。
完全な失敗レースで、暑さ対策にも不安が残りました。

7月はまた走り込み期間でしたが、自分なりには結構頑張りました。
毎週水曜日には40キロ、土も30キロ走りました。最終的にはそれまでの自己最長を大幅に超える、月間500キロを走りました。
普段レースで40キロを走るのは何ともないのですが、1人での練習で長距離はしるのは気持ちを維持する面でとても大変でした。
一緒に走る人がいたら良いなぁと思いました。
最後の仕上げは70キロ×2日なのですが、スケジュール上どうにも時間がとれませんでした。
平日の夜、寝る時間を全部カットすることで時間を確保しようとしましたが、気持ちと体がうまくかみ合わなくて途中で挫折してしまいました。

70キロ連日走が出来なかったため、代わりに35キロを2日連日で行いました。
これは沖縄に家族旅行中に行いました。
これも睡眠時間を削って行いましたが、無事に完了できました。

9月1日には僕の勝負レースの1つ目、UTMBがありました。
この半年はほぼトレイルの練習をしていなかったので不安がありました。
ただ、制限時間が緩いので、完走できる自信はありました。
このレースの課題は完走と、ダメージを残さないこと。
42時間51分で無事に完走。
目標タイムよりも4時間ほど遅くなってしまいましたが、あまり追い込むことなくゴールまで楽しむことができました。
ダメージが少ない状態で終わったので、1週間後にはまたポイント練習を行うことができました。
スパルタスロンの制限時間36時間以上をUTMBで走ったので、長時間行動に対する不安がなくなりました。
結果として、スパルタスロン1か月前のUTMBが私にとってプラスに働いていたと思います。
←小谷注:不安はなくなると思いますが、疲労がたまるのでスパルタが本命ならおススメしません笑 でも、結果オーライということで!

大会完走記

スパルタスロン当日の記録は森谷さんが個人のFacebookで投稿されているのでそのリンクを貼っておきます。

スパルタスロン大会完走記

上記の完走記は森谷さんが書いたものなので、サポートとしてついていた私が感じたことをいくつか。

大会中は思考力が低下。実際の補給と選手の感覚が乖離する
レース中に「電解質をとってください」とか「エネルギー補給に注意して」と指示を出しても「いや、ちゃんと摂取していますよ」と回答が返ってくることがレース後半に何度かありました。
しかし、ポーチに入っているジェルの数などをみればその区間で想定している量を全く摂取できていないことが明らかでした。

当日の体調に合わせて選手が自分で判断することは大事なので、摂取すべきでないと判断すればそれで良いと思います。
ただ、後から振返ってやっぱり不足していたとか「えっ、そんなに食べてませんでしたか?」という反応があったこともあり、『レース中は選手の実感と実際の補給が乖離することがあるらしい』と感じました。

補給方法や事前準備が結果に致命的な影響を与える
レース中に選手は驚くほど調子が上下することがあります。
さっきまで元気がなかったのに急にペースが上がって気持ちもノリノリになるとか。
その変化は特に補給が上手くいっているか否かに左右されるようです。

補給や事前準備(今回は防寒対策で失敗した人が酷い目にあったようです)が上手くいかずにすごい練習をこなしたのに力を発揮できず悔しい思いをされた方もいらっしゃいます。
レース当日に急に強くなることはありませんが、補給や準備ミスでそれまで積み重ねてきた力が一気に発揮できなくなることは普通にあるのがウルトラマラソンなんだなとつくづく感じました。

レースで苦しかったところ、困難だったところ

120キロを超えたあたりから徐々にペースダウンしているのを感じ、この後まだまだ長いのに大丈夫だろうかと不安になりました。
小谷さんのふくらはぎマッサージは激痛でしたが、とても良かったです。

レース中は自分の順位がどこなのかがうまく把握できずに不安になりました。
時々順位をチェックしていたのですが、時間のロスにもなるので数回しかチェックできませんでした。
そのため、今の自分のペースで良いのかどうかがよくわかりませんでした。

210キロあたり以降腹痛が強くなり、完走できないかもしれないという不安が出てきました。
しかし、制限時間までできる限りのことをしようとも思いました。
結果として何とか間に合うタイムで走り切ることができました。

レースで上手くいったというところ

前日しっかり睡眠することができました。
そのため、万全の体調でレースに臨めました。
そのため、眠気はレース中全くありませんでした。

事故にあわないように、犬に襲われないようにかなり気を付けました。
結果特に事故には会いませんでした。
今大会では日本人が車に当て逃げされたようです。

サンガス山ではきちんと防寒対策ができたので快適に通過できました。

走り込みの成果もあって、170キロ以降はあまりペースが落ちずに走ることができました。

ゴールした気分・スパルタスロンの魅力

ゴールした時は、完走できてほっとしました。
私を支えてくれた方や、応援している方が沢山いたので、その人たちに報いることができた、と思いました。
大泣きするような感動はその時はありませんでした。
消耗しきっていたから、というのもあると思います。

翌日レオニダス像を見に行った時にはこみあげてくるものがありました。
また、もし完走できていなかったらどういう心境だったのだろう、と思いました。

スパルタスロンはギリシャの国を挙げて行っているレースだと思います。
そのため、レース中は一般市民には英雄扱いされ、各所で熱烈な応援を受けます。
それがとても励みになって、最後まで頑張れました。

日本人が多く、人によっては何回もすれ違うことになります。
一緒に最後まで頑張りましょう、という連帯感が生まれました。
今回レースを通じて約20人の日本人と知り合いになりました。
多分自分の宝になるものだと思いました。
いつの日かまた是非参加したいと思います。

これから挑戦する方へ

このレースはとても魅力あふれるレースです。
しかしこれに参加するにはいくつかハードルがあると思います。

走力については、まずは100キロでサブ10をしなくてはなりません。
これは市民ランナーのグランドスラムの一つともされているので、それなりに頑張る必要があると思います。
スパルタスロンに挑戦するのであれば、やはり最低限必要な走力なのだと思います。

時間の確保も必要です。
ある程度の走り込みが必要なので、休日をつぶす必要が出てきます。
私の場合4歳と2歳の子供がいるので、休日は一緒に遊ぶことが多いです。
必然的に自分の練習は子供が寝てから、午後10時くらいからになってしまいます。
そこからロングの練習をする場合、睡眠時間を削ることになってしまいました。

レース中の休日確保、航空券代などの出費、エントリーのクリック合戦など、多くのハードルを越えないとスタートラインにすら立てません。
実はスタートラインに立つ方が、レース中の困難さよりも上なのではないかと思うくらいです。
しかし、これらのハードルを越える価値のあるレースだと思います。

動画は今回のゴールシーンです。
いつ見返してもこのシーンは心を熱くします。

人の心を動かすのは選ばれたトップアスリートの特権ではありません。
スパルタスロンほどの距離も必要ありません。

自分のできる範囲で熱意をもって取り組めば、自分自身や友人の心は動くのだと思います。

私もまたそんな走りをしたいと思いました。

森谷さんの練習メニューは下記リンクから無料でダウンロードできるようにしました。
興味のある方はご参考にどうぞ!
(森谷さんのGPS時計データです。
私が作ったメニューを参考に練習されていますが、作成したメニュー原案とは必ずしも一致はしていません。
パーソナライズした体幹トレーニングなどの補助トレーニングは掲載していません)

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