トレーニング・練習

ランニングと安定性の関係まとめ

2017年8月10日

ランニングと安定性に関する知識をまとめました。
安定性について理解を深めることで期待できるメリットは

  • 故障リスクを下げる
  • 競技力を向上させる(より速く&長く走る)

ためのヒントを得られるということです。

私が安定性に大きな価値を感じている背景には理論的な根拠と私自身のランナーとしての経験による裏打ちがあります。
(つまり、本を読んで安定性って大事だなと納得し、実践して結果を出して確信したということです)

その結果とは、安定性を取り入れてから(2014年春から)

  • 一度も故障の不安を感じていない
  • 月350km程度の練習(少ない)で24時間走で約240kmの記録を再現性高く走れるようになった

ということです。この成果には安定性以外に改善したことも影響していますが、安定性が重要な役割を担ったということは高い確度でいえます。

ランナーの皆さんの新しい伸びしろの発見になれば嬉しいです。

安定性とは

この記事では安定性とは体を思い通りにコントロールする能力とします。
例えば「着地の時に膝がグラグラしないか」とか「走っている時に軸がブレない」とかは安定性が関係しています。
後で説明するように安定性が低いとパフォーマンスの低下や故障リスクを高めるなどの悪影響があります。

安定性は特に神経系の働きによって左右されます。
人は体のいたるところにあるセンサーから情報(例えば関節がどういう角度でどれくらいの速度で動いているか、視覚情報からどのような体勢をとっているのかなど)をキャッチしてそれを脳に送ります。
そして、脳がその情報をもとに「こうやって動け」と筋肉に指令を発して動作をコントロールしています。

ランニングと安定性の関係

安定性がランニングに重大な影響を与える事例を3つ紹介します。

事例1.安定性が低いと筋出力が抑制される

人の体は次のように2つの部位に分けることができます。
①安定させる(動かないように固める)ことが得意な部位(その代わり大きい動きは苦手)
②動かすことが得意な部位(その代わり安定させることは苦手)

例えば腰椎(お腹の辺り)は①の安定させることが得意な部位です。
股関節は②の動きが得意な部位です。

腰はあまり動かないけど股関節はグルグルとよく動きますよね。
(逆に腰を安定させる=ガチッと固めるのはやりやすいですが、「股関節を動かないようにしてください」と言われて脚をいろんな方向にひっぱられたら固めるのは大変ですよね)

人の体の特徴として①の安定させるべき部位が本来の安定性を発揮できない時、②の動かすべき部位の動きを悪化させるということが知られています(そうして全体として安定性を保とうとする)。
これはランニングに置き換えると、体幹部分の安定性が悪いと股関節の筋出力が抑制されてしまうということです。
股関節はランニングの推進力を生む非常に重要な関節なので、ここの筋出力の低下はパフォーマンスに大きな悪影響を与えます。

2.筋肉の収縮・伸長の切替え時に安定性が低いとエネルギーがロスする

ランニング中、多くの筋肉が
引き伸ばされる→収縮する→引き伸ばされる
というサイクルをしています。

この引き伸ばしから収縮の切り替え時に体をしっかり安定させないとせっかく筋肉が発揮した力が逃げてしまい効率性が悪化するということが知られています。

例えばランニング時に接地すると接地した側の膝が屈曲→伸展します。
この膝の屈曲→伸展の切り替えの際に不安定だとどうなるか?
過度に膝が屈曲して重心が低下→ランニングの効率性が低下する。
膝が内側にブレる(ニーインと呼ばれる)と余分な筋出力が必要になります。

3.不安定だと悪い動作を誘発し故障リスクを高める

安定性が低いために動作が「理想的な軌道」から外れて故障やパフォーマンス低下を引き起こす可能性があります。
上で説明した接地時の膝の曲がりすぎや内側に入ってしまう現象もその一例です。

接地時に接地した足と反対側の骨盤が落ちる(骨盤が傾く)PSIS Dropという現象も安定性が低いために生じます。
このPSIS Dropは膝への負担を高め膝蓋大腿関節症を誘発するリスクがあるとされています。

日本ではあまり馴染みがありませんが、FMSという故障リスクを評価するテストがあります。
このFMSでは可動性と安定性を有しているかチェックをします。
つまり、安定性は故障リスクと密接な関係があるということです。

安定性を高めてランニングに活かす方法

ここまでのお話で「安定性を高めると良いことがありそうだな」と思っていただけた方もいるかと思います。
すると「安定性を高めてランニングを上達させるには具体的にどうしたら良いのか?」ということが次の関心事かと思います。

そういった方のために『ランナーの安定性強化方法』についてまとめたpdfファイルを作りました(下記リンクから無料でダウンロードできます)。

  • 独学で学ぶ場合のおススメ書籍
  • 専門家(ジム、パーソナルトレーナーなど)に依頼する場合の選定ポイント
  • 安定性に良い他のスポーツを取り入れる
  • 効率性を上げる安定性トレーニンググッズ

などを紹介しています。

走る以外のトレーニングをすることに大きな手ごたえを感じているランナーは大勢います。
まだ安定性トレーニングに取り組んでいない方は想像を超えた自分になるチャンスがここにあるかもしれませんね。

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